そろそろか、ということで招集され招集しの逆いきものがたり定例会。
まずは、オヤジ同級生の健康チェック。何といっても難病を3つも抱え込んでいるからそれが大事。そんなだから、
「あんた、行くとこあって(病院ね)退屈せんでいいねかや」と冷やかすしかないの。
その後は、硬軟取り混ぜてのあちらこちらの話。
若かりし頃、飲んで騒いでの帰り道、大声で話しながら家に帰ったら、翌朝、町内はもちろんのこと、えっというようなところの人にも知れ渡っていたって。
「もうそれからはの、家に帰るまでは声を出さんようにしとったっちゃ」
とオヤジ同級生が言えば、店番友が、
「あんたの、私はさ、家に帰っても自分の部屋までこっそり行ったや。ダンナの親の部屋の前を通らんと自分の部屋に行かれんからさ、明日、なんか言われちゃならんと思うから、足音たてんようにしたが」
って、負けてはいない。
そおかあ、って私。
佐渡汽船の船に乗ると、たとえ用事でもほっとするがなあ、って。
二人はどこまでも意気投合。
「一歩船の中に入ったら、頭の重しがとれたようだっチャ」
「自分の顔が明るくなるのンが分かるがなあ」
ウキウキするんだって、ルンルンするんだって。
「そらしの、知っとるもんがおると、はやそれだけで嫌だわ。なるべく知らん顔して会わんようにするよね」
店番友の知り合いは、船に乗った途端、イヤリングやらネックレスやらアクセサリーをじゃらじゃら付け、帰りの船の中で速攻はずすんだって。そうなんだ。
新幹線降りてさ、新潟駅に着くと佐渡に帰って来たなと実感し、佐渡汽船待合室にきたひには、もう佐渡に着いた気がすると、そして、それはそれでほっとするとはオヤジ同級生の弁。店番友、激しく同意。
「あんた、船に乗ると重しがとれて頭が軽くなったような気になることなんか分からんでしょ」と言われたけれど、うん、分からん。
何といっても二人は地元で四十年の生活、おまけに本家筋の家。
世間を教えてもらったつもりでいたけれど、まだまだまだまだ。底が浅かった。