やっぱり正解だったわ。
ドラマ『独身貴族』はツヨシクン観賞と決めていたこと。
7話。
ツヨシクン社長は弟進専務からゆきちゃんと正式に付き合うと聞かされ、がむしゃらに仕事をすることで自分の気持ちに蓋をする。
過労で倒れた病室でゆきちゃんから専務と脚本を作っていくと聞き、決定的に自分のゆきちゃんへの想いを封印する守社長。
この時の映像がね、ベッドに寝ているツヨシクンを徹底的に照らしていて、ゆきちゃんの表情は陰になっているのよ、だからゆきちゃんの表情は分からない。
で、専務と一緒に作っていくと初めて守社長を振り向いたときのゆきちゃんは笑顔。
翌朝。
ツヨシ社長は平岩紙ちゃんの玲子さんに打ち明ける。もちろんゆきちゃんへの気持ちも。
ここからが凄いのなんの。
長い長い独白。
ツヨシクンはベッドの上。陰になった顔の彼の下向きの長いまつげが何とも印象的な横顔のみ映し出され、低い声で声が震えながらもとつとつと正直に告白。
もうそれだけで守社長とツヨシクンが持つ人間性がリンクして、どちらがセリフ言ってるのか分からなくなってきたくらい。上手い下手を超えて芝居に入り込ませてくれるヨシクンの演技力。
大げさでも大仰でもなく、淡々とした佇まいそこにすべての感情が込められているという演技。
好きだわ見応えあるわ。
横顔ツヨシクンの独白の間中、ゆきちゃんの時と同じく玲子さんは後姿のみ、表情が分からない。
「正直、僕とあなたは世間のカップルとは違うかもしれないけど僕らのやり方で、僕らの関係を築けませんか?」
このセリフからツヨシ社長は婚約者玲子さんに向き直るの。そこで初めて玲子さんの顔アップ。
玲子さんの目にはいっぱいの涙。どんな感情かは分からない涙。ゆきちゃんの笑顔とは徹底的に違う。
守社長はプロポーズ。
玲子さんをしっかり見て、温かみのある誠実なプロポーズ。
「僕は、あなたにとって必要な人間になりたい。そして、これからふたりで、穏やかな人生を歩いていきたいと思っています。」
ゆきちゃんへの思いを封印した残酷で美しいプロポーズ。
美しくて残酷なプロポーズ。美しいそして哀しいプロポーズ。
紙ちゃん、ツヨシクンのひと言ひと言のたびに言葉もなくひたすら涙を流すのよ。
やっぱりどんな感情が浮かび上がっているか分からない。
対する、守社長のツヨシクン。
穏やか人生を歩いていきたいと思っています、と言ったた後、目にいっぱいの涙。
涙は浮かんでいるけれど零れ落ちないの。ガラス玉のように光っているだけ、そこにどんな感情があるのだろう。
余白の演技。
高齢者のおばさんだって胸が鷲掴みされて泣きそうになる場面だったわ、静謐で。
今でもまだその余韻が残っていて切なくなるくらいよ。
ツヨシクンが泣くシーンって今まで何回となく観ているけれど、7話のそれは今までと全く違った次元。
いやいやこの後もストーリーなんてどこへ行こうと転がろうとどうでもいいの。
迷惑でしょうけれど、ツヨシクン、どこまでも付いていきます見させていただきます。