昨夕、お酒のつまみにしようとスルメイカの刺身をつくっていた。
イカはどんな種類でも好き。刺身がいちばんおいしいが、焼いても煮物にしても飽きない。
イカのトンビ(私たちはイカの歯と言ってた)だけを串に刺して焼いたのなんて最高。
丸太干しといって、イカを丸ごと干したものをさっと焼いて腸ごと食べるのも最高。
何しろ佐渡育ち、しかも父は戦後自前の船を作ってイカ場漁師をしていた。
子どもの頃、朝ごはんのおかずはとってきたイカの刺身。飽きるほど食べた、実際飽きた。
夏になると、実家近辺は加工場があったからどこもかしこもイカであふれていた。
丸太干し、一夜干しの匂いが浜辺に漂って顔をしかめたものだ。
そんな子供時代を送ってきたから、魚屋にイカが売られているとつい手が出る。
で、昨日も私が唯一つくる刺身のイカをさばいていた。
薄皮を剝いで包丁入れて開いて、イカにへばりついている諸々をきれいに洗って。
そうだわ、眼鏡をかけ忘れたわ、と気が付いた。
ちょと面倒だなかけなくてもいっか、とは思ったけれどいやいやと思い直して。
(結果的にこれがすごくよかった、よく見えて)
老眼鏡をかけてイカをよくよく点検する。何の点検かって?
それはもちろんアニサキスがくっついているかどうかよ。イカは多いんだから。
夫が、自分でつくったアジの刺身でアニサキスにやられてできた蕁麻疹のかゆみの
凄さを見ているからね。夫はそれ以来絶対刺身をつくろうとしないからね。
内側をまずは目視、それから手でしっかり触りくっついているものは残らずとる。
大丈夫。それから薄皮がついていた外側を同じ手順で。
ん?これはなんだ!引っかかるものがある。
白く丸くくっついているものがあるの。そうね1、2ミリというところか、柔らかい。
ぐいと摘まみ上げて人差し指にのせて触って確認。おかしい。
しばらくすると動くじゃないの。あちゃあ、これだ、まぎれもなくアニサキスだわ。
私、夫の時、ネットで穴があくほど実物写真見ていたからね。間違いない。
すぐに夫を呼んで「これよこれよ」とのびたり縮んだりしている指の上のやつを見せて。
もう気持ちが悪いのなんの、眼鏡取りに行ってる夫に早く見てよと急かす。
「これがアニサキスか」と感慨にふける?夫。
そうだっていうの、これがあの猛烈なかゆみをもたらした正体よ。
伸び縮みしているこいつ。のびると4ミリくらい、縮むと2ミリくらい。気持ち悪い。
幸い1匹だけで済んだけれど。写真なんて撮れないわ、無理。ああ気持ち悪い。
もう刺身で食べる気なんてしない。バタ焼にしてつまみにした。あああ、とんだ騒動。