「かえりたくない」

娘からは「生意気になってなかなか手ごわいからよろしくね」のライン。
息子からは「熱が38度もあって行かれるか分からない」と電話。
何を言ってる！父ちゃんが何時に来るのだ2時か？なんて楽しみに待ってるんだから顔だけは見せろと強要する。ま、息子もいい迷惑だ。

ああ途端に私はがっくり来た。
刺身を2品減らし、お嫁さんの好きな蓮の焼き物もパスしてひっくり返った。
あらあ、意外に私は息子の来訪を心待ちにしていたのね、と自分の心情に気が付いて。
夫も弱っちい奴だと悪態ついて。広島から贈られた獺祭を一緒に飲もうと待ち構えていたのに。

それでも息子は顔だけを見せて、一応は家族全員揃い新年を祝う。よかったわ。
チュッパはバスを降りて恥ずかしそうにしていたから、打ち合わせ通りさりげない対応で済ます。
息子はほんのちょこっといて車で夫が送っていった。
（二家族からのお土産）

　他にもお酒やワイン、もみじ饅頭など。

家に入ってからのチュッパは、今まで通り二階でかくれんぼして私を呼ぶ。
去年の10月の不機嫌なさまがうそのようよ。何だったんだろうね。
お嫁さんからのプレゼントのしゃべるパンダに大喜びで大笑い。
何度も何度も誰彼が話しかける言葉をオウム返しするパンダに大笑い。
用意していたこんなの出す間もない。

それからも私は紙風船バレーに突き合わされて。
お婿さんが見ていたテレビの真似して「私は100パア充電中だよ」とやめる気配がない。
「ばあばは0パーセントだからね」と言っても許してくれない。
夫が「寝る」と立ち上がるとすかさず「歯を磨かないの？」と訊いたりして。
「お風呂も入ってないよ」なんてことも。
その前には「まだ5時なのにもう食べてるよ」と、よく見ていてよく話した。
家に来ても何しても、ひと言もしゃべらなかったチュッパはどこにいったかのよう。
ああ、子供って突然変化するときがあるんだなあ、としみじみ思った。

娘とお嫁さんが話に夢中になっているから、もう帰りなさいと促す。
二人して「これだけ長く休むと月曜日からがつらいです」だって。二人とも共稼ぎだからね。
頑張れ、また3連休が待っている。

帰り、チュッパが私に、
「帰りたくない」と言うから「お泊りしていく？」と訊くと「うん」と返事するから可愛い。
孫の態度に一喜一憂するのもなんだけど、可愛さが戻ってきて私は嬉しい。
駅についても「帰りたくない」と言っていたそうだ。そっか。