中日新聞の月に1回掲載される諏訪哲史さん(作家)のスットン経、今回のタイトルは「ボールペン、出る出るくん!」。
街でギャルどもが扇風機&スマホを両手で顔に近づけ涼む様子になぜかイラつく今日この頃、皆様お元気ですか。
コロナは第七波が来そうだし、選挙では日本がまた他国人を殺す国に戻りそうだし、お先真っ暗な世情ですが、心を鬼にして、ボールペンのインクについて論じましょう。
以前、未使用のボールペンの油性インクが出なくなると哀しい、という話をしました。
すると大学気付けなど、様々な読者からボールペン蘇生術の書かれたお便りを頂きました。
例えばペンを紐の端に括りつけ、ペン先を頭にしてブンブン振り回し、遠心力でインクを出す技など。
そこで、家の前の道路で夜、うぉりゃーっと唸りながら未使用の、秘蔵で不能の四十七本に試しました。
結果四本復活。
でも四十三本は依然不能です。
インクの入ったあの透明な芯の筒。
モッタイナイ。
ポッキンアイスや菓子のマンボみたいに歯で扱(しご)き、ちゅーちゅー吸える物でもないのです。
お便りの中に一通、実に大胆な裏技がありました。
インクの入った細く硬い透明な筒から、ペンチで不能のペン先(金属部)だけを引っこ抜き、代わりに、インクは尽きたがまだ書ける有能のペン先を、えいっと嵌(は)め込むという、神をも畏れぬ「移植手術」で、術後例のインク筒まで丁寧に同封されていたのです。
確かに筒径の同じ製品は多い・・・。
手紙は、名古屋市港区の合板加工会社の封筒に入れられ二月のサイン会の前日、書店に託されたものでした。
末尾には「こんなセコイこと、今まで誰にも聞かせたことはありません」との添え書き。
僕は強く胸を打たれたのです。
Sさん、あなたこそ真に尊敬すべき正統的な名古屋人だと僕は思います。
この倹(つま)しくも気高いケチり根性。
僕も「ケチり道」においては長年、人後に落ちぬ自負がありましたが、あなたには脱帽です。
手紙でS氏は「明日は歌劇(オペラ)鑑賞のため、サイン会は失礼します」と・・・。
参った!
まさにハレとケ!
全てのケチりはオペラに通ず!
ペン先を移植までしてインクをケチり使い切る執念の禁欲的に地上と、華麗な祝祭的奢侈(しゃし)!
これぞ名古屋!
ビバ名古屋!
全ての人間よ、インクは使い切れ!
以上です。
この話には、笑いました。
名古屋人はケチいんだ😁
まぁ、倹約家ともいえるかな。
私もインクはあるのに、使えないペンがありましたが諦めていました。
これじゃ名古屋人と言えないようです。😁
>インクの入った細く硬い透明な筒から、ペンチで不能のペン先(金属部)だけを引っこ抜き、代わりに、インクは尽きたがまだ書ける有能のペン先を、えいっと嵌(は)め込むという、神をも畏れぬ「移植手術」
この方法で使えるようになるんだ!
最近 私が使うボールペンは性能がいいので、インクがあるのに出なくなるなんて起こりません。
せっかく教えて頂いた移植手術も、使用する必要がないようで。😁
桑田佳祐 – 白い恋人達(Full ver.)