風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

4ヶ月、3週と2日 & やわらかい手

2008年08月31日 | 映画
4ヶ月、3週と2日

2007年のカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞。
というので、期待して行ったのだが、残念であった。
それほどの出来ではなかった。

時代は、1987年、チャウシェスク政権下のルーマニア。
オティリア[左]とガビツァは女子大生で、寮のルームメイト。
ガビツァは妊娠していて、違法な中絶をしようとしている。
その二人の中絶を巡る一日を描く。
このガビツァはすごい美人なのだが、
ノーテンキで、無責任、と言うより馬鹿者で、妊娠何ヶ月かの計算の仕方も知らないし、出まかせの嘘ばかりついている。
中絶費用が工面できず、足りない分をなんとオティリアにそのインチキ医者とのセックスで負担させるのだ。
オティリアは、賢そうなのだが、どうしてこんな馬鹿なガビツァのために命を張るのか、僕には全くわからない。
独裁政権下のチャウシェスク政権だから、何か特別なことがあるってことでも無いような気がする。
緊張感あふれる映画の作りだが、いかにも薄っぺらで私にはB級映画であった。
ルーマニア映画。

やわらかい手

2007年ベルリン国際映画祭で大喝采だったという。
原題は、IRINA PALM。
IRINAとは源氏名=ステージネーム、パームとは手のひら。
孫が難病にかかり、お金を作るためにおばあちゃんが風俗店で働く。
顔は見せることはない、手でいかせるお仕事、彼女はその達人となってしまう。
で、ペニス肘にまでなってしまう。
「愛はどんな世界でも何よりも強く美しく、どんなときも誇りを失わずに崖っぷちで踏ん張る勇気を与えてくれる。無償の愛の強さ。」
などと、映画評はもっともらしく言うが、
シリアスな映画では決してない。これは全くのコメディなのだ。
で、文句なしにおもしろい。
この商売、日本で開発され「日本式」といい、ジャパニーズと言っていた。
英国映画で、綺麗なイギリス英語であった。
can't はカーントであり、r は巻き舌発音ではなかった。

池袋文芸座。


蔵王・月山・鳥海山のウォーキング

2008年08月20日 | 国内旅行
蔵王・月山・鳥海山のウォーキング  2008/8/17~19


妻と娘と私の三人で阪急『蔵王・月山・鳥海山さわやかフラワーウォーキング』に参加した。
息子は休暇がとっれなかったので留守番した。
時間が無かったので良いツアーはもう無かった。
安い料金では仕方ないが、長距離バス移動であった。
天候が悪かったので、ウォーキングはほとんど楽しめなかった。

一日目
新幹線、大宮発8:10、郡山には9時過ぎについて、バスで磐梯白石で超早い昼食を取って、
蔵王山頂・お釜へ。

刈田山頂上の刈田山神社

普段でもお釜周辺は天候が悪いそうだが、
雨・霧なので馬の背などへの散策はしないで、10分ほどの刈田山神社だけに
行った。

ロープウェイやリフトを乗り継いで
観松平・いろは沼雨の中を散策した。カッパを着てたが、暑くはなかった。

いろは沼

又兵衛平

追分の松

ひょうたん池

リフト


一日目の宿は、蔵王温泉の松金屋アネックス
ここの源泉は硫黄100%で、これぞ温泉っていう感じであった。

二日目
天気は回復した。

湯殿山神社[口外禁止の聖地]
湯殿山神社鳥居

口外禁止、裸足で参拝と仰々しいが何のことはない。
ご神体が、温泉と茶色の大きな岩、である。
おそらく鉄分を豊富に含んだ温泉なのだろう。
その熱い温泉が流れる岩を歩く。
僕の想像では、鉄の産地であることを隠すために、
この神社のことは口外するなと言うことなのではないかと思う。
鉄分を含んでいても水であったら、こけなどが生えるので歩けないが、
かなり熱い温泉なので、急斜面の岩を上り下りしても全く滑らない。

羽黒山・出羽三山神社
鏡池から観た出羽三山神社本殿[立派な茅葺き屋根である]

月山・羽黒山・湯殿山の三神社をいう、月山・湯殿山は冬期には雪で閉ざされてしまう、
それで羽黒山にそのあとの二つを集めた、という。
天皇家の蜂子皇子が開いたという。
旧参道

昔は道路が無く二千余段の階段を上り下りしなければならなかったという。
それは、大変なことだったろうが、信者にとってはそれが修行の意味もあったろう。
蜂子社

霊祭殿[旧仏立堂・地蔵堂]

神社群                    

その中でもユニークなのは建角身[たけつねみ]神社で履き物の神社

博物館[ここは時間が無く入らなかった]


月山・弥陀ヶ原湿原
庄内平野を臨む

弥陀ヶ原湿原から庄内平野

月山中之宮御田原神社


二日目宿は、新潟県に近い、あつみ温泉の『つたや長兵衛』その露天風呂[転載]

この旅館はかなりの老舗で、料金も高いらしい。
食事、室内設備等良くできている。
リーピーター対策など細かな努力と配慮が感じられる。


三日目
朝から雷雨。
あつみ温泉では朝市が開かれているそうだが、雷雨では散歩もできず。
バスで鳥海山へ向かう。
日本海を左に見て、鶴岡、酒田、にかほへ。
曇天だったが、日本海は穏やかであった。
酒田市内では、米蔵や本間家屋敷跡をバスの中から見た。

道の駅象潟[サキカタ]から陸の松島を臨む。
[昔ここは入り江だったが鳥海山の噴火で埋まってしまった、点々と残る丘はかつては島だったという]


鳥海山5合目の山荘[ものすごい霧、私たちは歩き回らず食堂でゆっくりお茶にした]

鳥海山大物忌神社中之宮

国民宿舎・大平荘でかなり豪華な食事、皮肉なことに雨もやんできた。
晴れていたら、海からゆっくり裾野を広げる鳥海山からの眺望は定めし美しかっただろう。
いつか訪れて見よう。

御嶽神社

玉簾の滝[ちょっと前までは道路が整備されていなかったので40分ほど歩いたという]

駐車場トイレの入り口にツバメの巣が


ここから最寄りの新幹線駅から帰りと言うことだと楽なのだが、
出発点・郡山まで戻らなければならず、この約4時間のバスが苦痛であった。
これは、ツアー料金を安くするためなのだろうか。
郡山駅で1時間以上時間があるのでここで食事をしようと思ったのだが、
駅ビルは8時で終了、レストランは7時半でオーダーストップ、であわてた。
たった一軒スパゲティ屋が9時まで開いていて、おかげで何十年振りで
スパゲティを食べた。

今回のツアーは31人で、バスなどもゆったりしていた。
うるさい人がいなかったのは何よりよい。
バスガイド・添乗員も余計なことをあまり言わ無かったのも良い。
盆過ぎのせいか、観光客はどこでもほとんどいなかった。
気温も低く、一日目は寒いくらいで、薄い布団を掛けて寝た。

お釜は仕方なかったが馬の背周辺は歩きたかったし、
鳥海山五合目のウォーキングができなかったのは誠に残念だった。

月山、鳥海山、蔵王はそれほど高い山ではない。
だが、冬期には豪雪で閉ざされる。
昔は道もなく、人々が神秘の自然に畏敬し、神を感じたのは不思議ではない。
今回は仏寺を訪れなかったが、日本海側の仏教寺院・神仏習合はどうだろう。

旅して感じるのは、東北だけでなく、日本は山国だなと思う。
そして、日本は決して狭くなく広い、ともつくずく思う。
牧畜は森林を破壊して牧草地にしてしまう。
その点、森林から平地・水田はかなり大変なので、
ヨーロッパと比べると遙かに山林・森林が残ったのだと思う。

映画・ノーカントリー&ミスト

2008年08月08日 | 映画
映画・ノーカントリー・ミストを見た。
原題は、NO COUNTRY FOR OLD MEN / THE MIST

ノーカントリーは世界各国でいろいろな映画賞を受賞した。
評判に違わず、佳作だ。
主演は、ボスコーヒーのCMで好評のトミー・リー・ジョーンズ[左]。

真ん中は、バナナマンの日村みたいな髪型の殺し屋のバビエル・バルデム[中]。
右は、追われるジョジョ・プローリン。

ひょんなことから、モスは麻薬取引のトラブルに遭遇し200万ドルを手に入れる。
殺し屋のシガーと保安官のベルが、モスを追いかける。
ただそれだけの映画だ。
最初の15分ほど、たくさんの死体が横たわるそのトラブル現場を無機質に描く。
退屈な映画だなと思っていると、その後は緊張の連続だ。
時代背景だとか、異常さなどはこの映画では関係ない、
ただ追いつ追わつのスリルとサスペンスを味わうだけ、
その単純さがおもしろいし、それでよい。
結局モスは殺し屋に殺され、殺し屋は逃亡する。
保安官ベルは、殺し屋を捕らえることなく、引退する。
保安官役のジョーンズは、ボスコーヒーのCMみたいな善人=OLD MENで、
もはやこの地にはカントリー[古き良き時代のノスタルジー]はない、ってことなのか。

ミスト
ミストとは霧のこと、真相は闇ならぬ霧の中ってことか。
単純なはホラー映画では無いことは確かだ。
軍が秘密研究で第四次元との扉を開けてしまう。
だが、その実態はあかされない。
ただ、異常に巨大化した昆虫様の物体がその扉から霧とともに襲ってくる。
スーパーマーケットの閉じこめられた人々を襲う恐怖を描く。
その恐怖は、エイリアンへの恐怖と言うより、
危機を迎えた人間と人間集団の異常さ=狂気から来る恐怖の方が遙かに恐ろしい。

真ん中の女性が持っているものは、聖書である。
彼女は、これは神の怒り、贖罪が必要だ、生け贄が必要だと人々を煽動する。
このグループは、多数派となり、主人公らは
宗教=カルトの狂気とエイリアンから逃れるため、スーパーマーケットを脱出する。

昔のハリウッドなら、主人公の英雄的活躍で危機を脱し、美女とキスして終わり、
と言うことになるのだが、最近のアメリカ映画ちょっと違う。

逃げるのを決めたのは数人だが、何人かはエイリアンに殺され、
残ったのは、彼と、その息子、年寄りの男女、新任の美人教師。
彼の妻はエイリアンに殺されていた。
逃げ通して、美女とキスで終わりかな、って思っていると、
ガソリンも切れ、死を覚悟する。
残された弾丸は四発、彼はあっという間に四人を射殺する、
その後現れたのは、軍隊であり、彼は一人生き残る。
正義・現実直視したかのような彼も、狂気となっていた、ということか。
ここまで生き延びたのだからサバイバルに賭けると思うのだが、
息子の「僕を怪物には殺させないで」という要求にしたがったというわけか。
エイリアンに勝利した軍隊なのだろうか、それとも単に逃走する軍隊なのだろうか。
関係者はこの結末を傑作と威張っているが、私にはもう一工夫がない、陳腐と思う。

アメリカ人は、ナショナリズム[国旗と国家]の前には無力と言うよりファシズムになり、
いとも簡単に他国に侵略し、人々と大地を破壊する。
アメリカ人は、困難・不思議なことに直面すると、神の前に無力と言うより、
神の名を語って、カルト的になり、
自分たちだけが善意の神の子だと言わんばかりになる。
と、それは、かなりのステロタイプだが、そんな印象を強くし、
アメリカ・アメリカ文化への恐怖を感じた。

CG、特撮技術も今一だし、
人々の内面を探るには人間の類型、描き方があまりにも単純過ぎるし、
エイリアンをどうして退治できるのかもよくわからないし、
といったような不満は残るが、
神を信じて団結して危機を乗り越えようではなく、
神・宗教を救いではなく人間の愚かさとして描こうとしたことは、良し、だ。
だが、映画としては、A級とまでは行かない。

池袋・新文芸座、シニア二本で千円。

百万円と苦虫女

2008年08月02日 | 映画

2008/8/1 ユナイテッド・シネマ浦和[浦和パルコ]

ただ蒼井優のためだけに作られた映画って感じ。
蒼井優は、美人ではない、ナイスバディでもない、どころか貧弱な体だ。
そんな彼女が2時間観客を引きつけるのだから不思議だ。
監督原作は、タナダユキ。
だが、残念ながらB級の映画だ。
後半まで映画はテンポ良く順調に進む、
だが、森山未来の恋人が登場するや、一挙に間延び・駄作となってう。

普通以下の21歳の鈴子はひょんなことから「前科者」となる。
鈴子は「自分探しではない、世間の前科者と見られる煩わしさを逃れるため」転々とする。
100万円貯まれば引っ越しできると言うが、アルバイトで100万円貯めるのは簡単ではない。
まっ、そんな細かいことはどうでも良いことで、気にしてはだめ。
百万円貯まる頃には周囲との人間関係も濃厚になってしまって、
どうしても過去のことが話題になってしまっていられなくなってしまう。
まっ、一種のロードムービーではある。
鈴子は、恋人中島と分かれて再び旅に出るが、
その最後が珠玉であって、
「来るわけないか」と言って一瞬見せるその鈴子の表情を見るだけでも
この映画を一見する価値がある、とは蒼井優のほめすぎだろうか。

このシーンの後なのだが。

鈴子は初めて実家をでるときカーテンを自分で作り、それをずっと持っていく。
作者のタナダはこのカーテンに何か特別な意味を持たせたのだろうか?

チケット売り場で、シニアです、と言ったら、
今日は一日で映画デーなので皆様1000円です。
夏休みでもあり、14時の開始だったが結構混んでいた。
ほとんどが若い女性だった。
シリアスな映画では決してなく、喜劇っぽいところもたくさんあるのだが、
場内は笑い声は全く起こらなかった。
肩を張らずもっとのんびりしてよ、ってかんじ。
セックスシーンが無いのはよい。
時々、ワンシーンがゆっくり流れる。
とりたてて意味あるとは思えないのだが、
のんびりする時間の流れを感じさせる。



時には、こういう、他愛ない映画も良いものである。
浦和駅東口が再開発され浦和パルコができた。
その6、7階に新しいシネコン=浦和ユナイテッドができた。
これで、埼玉県南には新都心・浦和・川口と三つのシネコンができた。