7月21日、依然として猛暑。この日の午後帰るので南禅寺と知恩院だけを参拝することにした。
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地下鉄烏丸線・烏丸御池駅で地下鉄東西線に乗り換え、蹴上駅で下車した。
蹴上駅前に琵琶湖疎水に関わる諸設備=水力発電所・琵琶湖疎水記念館などがある。
線路のみが残る「インクライン」=船を線路上の船台に乗せて運ぶ鉄道。 南禅寺に残る水路閣
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この二つは、何気ない風景だが、お薦めです。
この水路閣は、なんと南禅寺の境内にあるんです。計画段階では、古都に似つかわしくない建造物と福沢諭吉らに反対されたという。
私にはローマが連想されてとても素敵でした。
京都駅も新しくなりました。これも古都京都には「似つかわしくない」建造物と言われるのでしょうか。
構内はとてもしゃれていますが、今回は撮り忘れました。
南禅寺 臨済宗南禅寺派の大本山である。
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まず、金地院[南禅寺の塔頭の一つである]の三門 明智門
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東照宮
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開山堂
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方丈
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庭園
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拝観料400円だったと思う。
大本山南禅寺総門 勅使門
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三門
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この三門は500円の拝観料を払うと、楼上に登ることができ、京都の町を臨むことができます。
登ることのできる三門は少ないと思います。お薦めです。
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三門楼上には見応えある釈迦座像他の仏像が安置されている。
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本堂
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方丈と庭園[拝観料500円]
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如心庭 六道庭
地下鉄蹴上駅に戻り、次の駅東山駅で降りて、知恩院まで歩いた。
知恩院 知恩院は、法然上人が開いた浄土宗の総本山。
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知恩院前の古門
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三門
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三門の後ろにこんな天女が 霊塔
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阿弥陀堂
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御影堂
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納骨堂 経蔵
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写経塔 一心院
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智恵の道[法然上人御廟に行く道] 門の奥に見えるのが勢至堂
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勢至堂
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御廟の門 その中
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御廟 手前右に白砂で小山が築かれていた、「清め」らしい
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濡髪神社 千姫の墓
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北門
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知恩院には、有料の二つの庭園があるが私は入らなかった。
さて、浄土宗について一言
「月影の いたらぬさとは なけれども ながむるひとの こころにぞすむ」は法然上人の歌、"阿弥陀仏のお慈悲の心は、すべての人々に注がれている、
手を合わせて「南無阿弥陀仏」と念仏を称える人のみが阿弥陀仏の救いを得ることができる"という教えである。
この法然上人・浄土宗の教えは、当時の仏教の教えに対して革命的であった、と私は思う。
というのは、それまでの仏教はどちらかというと、民衆を救済すると言うより、民衆を支配する道具としての宗教、権力者・支配階級のための仏教であり、
仏に救われるためには厳しい修行や出家が必要であり、多額の寄進をした者が救われるという考えが強く、
権力誇示のための巨大な仏像や伽藍といういうことが支配的であったように私には思えるから。
特別な修行・出家・寄進は必要ない、ひたすら仏を信じ、「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで救われるという教えなのだから。
当時の仏教界の反発は強く、法然は僧籍を剥奪され、四国に流刑される。(後、許された。)
こうした思想は、弟子の一遍上人(時宗)、親鸞(浄土真宗)に引き継がれ、新しい大衆的な仏教が広まった。
冷房の効いた涼しい地下鉄で京都駅に戻り、駅ビルでのんびり食事をし、14:16の"のぞみ"で帰った。
「夏の京都に行くの?」と家族からは"?マーク"を投げつけられたのではあった。
今回は、京都のほんの一部の洛南・洛中・東山地区、その中のほんの一部の古刹・大きいお寺を見ただけだ。
いずれも各派の大本山だけに広大な敷地とたくさんの塔頭を抱えている。
敷地内の一部とわずかな塔頭を見たに過ぎないけれど、私はとても楽しかった。
今回、禅宗のお寺が多かった。
禅宗のお寺は、他の宗派とちょっと趣が異なるように思う。
禅寺では、方丈の比重が大きいと思う。
方丈とはもともと僧の小さな居室と言う意味だったが、次第に檀家・客を迎える応接間の空間となり、
客を接待するための施設、庭や襖絵で飾られた豪華な部屋が作られるようになったらしい。
本尊や仏像より、方丈や庭園への関心の方が強くなったように、私には感じられる。
それが現代では拝観料を支払って見る価値があるということになっているようではあるのだが。
一口に禅宗と言っても色々な宗派があって一様ではないが、臨済宗に特にこの傾向が強いように私は思う。
確か金閣寺・銀閣寺・竜安寺なども臨済宗のお寺であった。
中国語で経を読む黄檗宗や曹洞宗なども禅宗だが、臨済宗の趣はだいぶ違うように思う。
私は、当時の支配階級の武家が臨済宗を支持、支えたからではないかと思うのだが、どうであろうか。
臨済宗のお寺と、浄土宗の知恩院のお寺は、同じ仏教・仏教寺院ではあるがその様子は大きく違っていると思う。
今回は行かなかったが、浄土真宗の東・西の両本願寺と禅宗・真言宗・浄土宗のお寺とはまた違っていると思う。
これは、どちらが良いとか興味深いとかと言うことではない。
例えば、竜安寺の庭は、一般の民衆には開放されてはいなかった。
ところで、私は、お寺が庭園や襖絵や宝物などを一般観光客に観光させるために拝観料を取ることに抵抗はない。
だが、本尊や仏像などは見せて欲しいなと思う。
それらの保存や警備に維持費がかかるので協力維持費が必要だとの求めは当然とは思うが、
写真を撮っては行けないというのはよく理解出来ない。
今回、下調べの時間が十分で無かったのでかなりな安易なコースの選択ではあった。
京都にも、利便性のある格安のビジネスホテルはたくさんあり、宿については全く問題ない。
"金券ショップ"の新幹線回数券安売りチケットを初めて利用した。通常より片道で500円ほど安いだけだが、
時間に余裕があるなら使わない手はない。座席の指定は窓口でしか出来ないが、その手間は仕方ない。
京都に二本の地下鉄が走っている。上下・左右という感じである。
環状線になっていないこととこの二本だけでは利便性が小さいと思った。
朝のラッシュ時に乗ったが、人に触れずに乗降が出来る程度であった。
折しも京都に滞在中、京都地下鉄の赤字をテレビが報じていた。
初乗り210円と高額である。東西線はかなり深い地下を走っているようだ。
二本しかない地下鉄だが車両の幅が違うようで、東西線はかなり狭く、東京の大江戸線の感じであった。
バスも210円である。バスは事前の調査も実際の利用も私には大変難しい。
いずれにしても、京都は公共交通機関の利便性が良くなく、しかもわかりにくい。
一日千円のレンタサイクルは良いかもしれない。駐輪場の問題は残るが。
とまれ、今回は格好の学習であった。猛暑でない、より良い季節に一週間ほど気楽に出かけよう。 【終わり】