わざわざ映画館に足を運んで見るほどの映画ではないが、十分楽しみました。
イタリアのヴェローナは、シュイクスピアの『ロメオとジュリエット』の舞台となった町と言われ、
ロメオとジュリエットの屋敷跡が今も残り、世界各地からジュリエット宛に年間5000通もの手紙が届くと言われ、
ヴェローナの市民は、ジュリエットの秘書たちの名でその手紙の返事を書いているという。
ストーリーは単純。
アメリカ人の記者を目指すソフィは婚約者とヴェローナに婚前旅行に出かける。
彼女はジュリエットの屋敷の壁から50年前そこに置かれた、ロンドンに住むクレアと言う女性のロレンツォ宛の手紙を発見し、
ソフィは、クレアに『ジュリエットからの手紙』を書くことになる。
手紙をもらったクレアは孫とヴェローナを訪れ、そこでソフィアと遭遇し、三人のロレンツォ探しが始まる。
三人というのが味噌で、ソフィの婚約者はニューヨークでイタリアレストランを開店するため一人別行動をとる。
映画での彼の存在=映像はとても影が薄く、ああ、この二人の婚約は破談となるなと予感させるのだが……。
さて、イタリア人の名前は、聖人から取った名前が多いそうで、ロレンツォという名の持ち主はとても多い。
とうとう見つけられなかった三人は、空港に向かう田舎道で、農場に立ち寄ることになる。
そこに白馬ならぬ栗毛の馬に乗ってロレンツォがさっそうと登場するのでした。
このちょっぴり恥ずかし過ぎるシーンはかえって笑えるのですが、おとぎ話風にして、つまりシリアスにしなくて成功でした。
クレアは彼と結婚することになってしまうのです。
クレアを演じるのは『ジュリア』のヴァネット・レッドグレイブ、ロレンツォは実の夫フランコ・ネロです。
ヴァネットはしわくちゃですが何とも上品で美しい。
他方、ソフィの運命も大きく変わるのです。
いかにアメリカ映画といえども、イタリア人が皆英語なのはさすが興ざめです。
私は、ヴェローナには行ったことがありませんが、その町並はとても美しいし、
シエナのカンポ広場などイタリアの観光地や農村風景なども見所です。
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アカデミー賞/国際映画音楽批評家協会賞/インディペンデント・スピリット賞/英国アカデミー賞受賞などを受賞したという。
でも、私としては「それほどの作品ではない」印象。
ストーリーは単純、現在のイギリスのエリザベス女王の父親の物語。
彼は、子供の頃から吃音症で、そのことから様々なコンプレックスを持っていたが、
ちょっとインチキな言語聴覚士と出会い、その障害を乗り越えて、国民に向けて"対ヒトラー戦争"のラジオ放送を成功させる、と言うお話。
イギリス上流階級の何とも鼻持ちならない、貴族趣味とおごりは腹立たしいのだが、それもかなり喜劇チックでだんだん笑えてくる。
賭のお金を請求されて「現金は持ち合わせない主義だ」とか、「私は王だ、ファーストネームで呼ぶな」とか。
他方、側近達の王へのへつらい過ぎとおべっかなど。
だが、セットなどがいかにも貧弱で迫力が感じられないのは残念な。
吃音は、コメディなどでは「お気軽なアイテム」として"笑い"の題材によく使われる。
ウディ・アレンの機関銃のようなおしゃべりと吃音の対比もその一種だと思うのだが。
この映画は喜劇ではないのだが、ユーモア・皮肉もたくさんあってこの場面の笑いは、吃音とは無関係?、
笑って良いの?と迷うような感じが私にあったのも事実だ。
そう、吃音はそうでない人にとっては軽い笑いの題材となりうるのだが、それが吃音症の人をどれだけ傷つけているか。
その点から映画の題材として吃音症は難しいと思うのだが、よく取り上げたなとは思う。
私は、イギリスの貴族趣味は嫌いだが、イギリス英語はなんともきれいで耳に心地良い。