
かなりちゃちな作品でした。実話というだけで、面白い映画になるとは限りません。
当時も、そして現在もアメリカはイランをはじめ自分に敵対する国々や人々を理解しようという姿勢はありません。
差別意識の背景には、自分たちと異なる文化・価値には、拒否と恐怖があるのだと思います。
イランでは、この映画は「歴史的背景をしっかりと描ききれていない、反イラン的」映画だという意見があり、
アタオラ・サルマニアン監督による「The General Staff」の製作が発表されました。
来年より制作が開始される予定だそうです。
贔屓目に見ても、イランは遅れていて野蛮だとアメリカは思っています。
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イラクで民間兵・ガードマンとして働くファーガスは親友・フランキーの死の真相を探り出そうとします。
フランキーは、自分たちの仲間がイラクの子どもを「テロリスト」と思って殺す現実を認められませんでした。
会社の幹部はそんなフランキーを殺害します。
ファーガスも彼らとほとんど同類なのですが、彼らに復讐するのです。
映画としては『ARGO』よりスリリングで面白いのですが、何とも後味の悪い映画でした。
真の敵・悪は、暴利を得る企業とアメリカ政府なのですが、映画にそれを求めるのは無理なのことはわかるのですが。
ファーガスは決して善き人ではありません。ほとんど精神を病んでいます。
彼がフランキーの彼女と出来てしまうのはま不快です。こんなストリーは全く不要です。
善意に解釈して、彼も、企業もそしてアメリカも「心を病んでいる」と言いたい映画なのでしょう。
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イラク・イラン・アフガニスタンなどに浸出する欧米諸国の目的は、自分たちの権益を守ることでしかありません。
アメリカは、イランの腐敗したパフラヴィーの独裁と暴力を支持し擁護しました。
その結果、アメリカはイランから追放されたのです。
こうした事例はベトナム戦争でも同様で、アメリカは全く反省も学んでもいないのですね。
ちょうど、アルジェリアでの出来事が起きました。
「テロとの戦い」と言いますが、『テロが起きる社会的要因との戦い・根絶』こそが重要だと思うのですが。
それなしには「テロ」がなくなることはありえないのですから。
欧米諸国にメソポタミア文明を作り出した人々への崇高の念があれば、こんな破壊は起きないはずです。
イタリアを除いては、イギリスもフランスもアメリカも彼らのような古代文明を作ってはいないのです。
フランスでは最近、女性モスリムのスカーフを禁じました。
キリスト教徒もかつては多くはスカーフをしていましたし、十字架のネックレスなどをしているのにです。
この二本の映画を見て、つくづく大国、とくにアメリカとロシアとイギリスはいやだなと思いました。【1月21日鑑賞】