風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/Get Out

2018年04月29日 | 映画


おもしろいです。
ジャンルは、ホラーとサスペンスの中間です。社会派の要素も。
さて物語は、
白人女性・ローズは、恋人クリスが黒人であることを家族に隠したまま彼を実家に連れて行きます。
彼女の実家は、ニューヨーク郊外の高級住宅街で広大な敷地を持つ豪邸でした。
母は、心理学者で催眠術を操り、父親は脳外科医、息子も医者です。
家族はオバマ三選があれば彼を支持すると言うのに、黒人の庭師とメイドの使用人がいるのです。
ローズの家族は、二人につきあい始めてどのくらいかと聞きます。
すぐ「おかしい」と思います。家族に恋人のことを全く話していないなんて…。
半年ほどと二人は答えます。
映画は、以後も、二人がつきあい始めた経緯などは全く触れません。
しかし、実は、家族は彼のことを詳細に知っていたのです。
夫は、妻に催眠術をかけられ禁煙させられたと自慢気に話します。
こうして、はじめから彼に催眠術をかける様々な暗示をかけているのです。

彼女は、クリスが気がつかないうちに催眠術をかけ、彼の深層を探り出します。
私は、実は家族は黒人に偏見を持っていて、術策を弄して二人の中を割くのが目的と思い始めました。
翌日、彼に黙って準備した家族の知人の集まり・パーティが開かれます。
皆胡散臭そうで怪しげで金持ちの白人ばかりです。
一人だけいた若い黒人男性の脇には彼の倍以上の年配の白人女性がしだれかかっていました。
別の初老の女性は、「たくましいのね」とクリスの体をなめ回すようにさわるのでした。
こんな怪しい空気なのに、ローズは帰ろうとは言いません。
このあとの展開は、サスペンスですから………。
何度も催眠術をかけられ、恐怖に襲われ始めたクリスは、ふと紙箱を目にします。
そこには、ローズが、二人の黒人使用人をはじめ何人もの黒人と二人で写っている写真が
何枚も入っていました。
最後はあっと驚く結末です。
この映画は、いろいろな読み方が出来る映画と思います。
やはり根本は、アメリカ社会に今なお根付く白人の黒人への強い偏見・差別があります。
そして、裕福なアメリカの「上流」階級のもつ傲慢さと恐ろしさです。
蛇足ですが、監督のジョーダンはクリスが射殺されるところで映画の終わりを考えていたそうですが、
トランプの大統領の当選で、それをやめて彼を生還させることにしたそうです。  【4月23日】




映画/Eternite「永遠の花たちへ」

2018年04月24日 | 映画


何とも退屈な映画でした。
舞台は19世紀末というのですが、ほとんど現代の感じ、貴族ブルジョアの家の女性達の物語。
ストリーと言えるものは無く、ただ結婚し、子どもを産み、死んでいくのを情緒的に綴るだけです。
貴族ブルジョアですから、家事などは召使い、生産的なことと言えば子どもを産むだけ、
それを「愛と悲しみの珠玉の人生賛歌」とは、なんと空々しい。
最後は、現代のパリ、エッフェル塔の見える橋で抱き合う男女、大なる蛇足でした。
邦題も原題(永遠)も、大げさで陳腐。
オドレイ・トトゥ主演だけが楽しみというだけの映画でした。
グレイの髪の彼女がすこしだけ登場しましたが、老婆姿の映像はなしでした。
 【4月16日】


映画/婚約者の友人[FRANTZ]

2018年04月20日 | 映画

面白かったです。ミステリーですが、謎解きより、人間への深い共感を感じました。
時代は、第一次世界大戦後のドイツとフランス、長い間争いをして来た両国民は相互に憎しみ合って来ました。
ストーリーはそんなに複雑ではありません。時々色彩が入りますが、ほとんどモノクロで、
この質素な感じの映像がサスペンスを醸します。
アンナ役のパウラ・ベーアは超美人とも言えませんが、吸い込まれるように美しく、魅力的です。
一方、彼女の婚約者・FRANTZを戦場で殺したことで深く心に傷を負い、精神を病んでいるアドリアン
の危うさははらはらです。
彼の後悔、出口のない苦悩、虚無の気持ちが共感と恐ろしさを与えます。

アンナとアドリアンは最後には、お互いを理解し和解します。
アンナは、婚約者・フランツの呪縛から自己を解き放ち、フランスに留まり、自立します。
いくつかの映画評は、この映画を「嘘」で論じていますが、私は、そうは思いませんでした。
どこまでが真実、嘘なのかの謎解きは関係ありません。
私は、この二人をフランスとドイツに置き換えました。
戦争直後、両国国民はお互いを憎しみ、愛国心に支配されます。
フランツの父親は言います。若者を戦争に送ったのは、我々親世代だ、と。
一時、独・仏は和解しますが、その後の第二次世界大戦でまたもや殺戮し合います。
ヨーロッパは有史以来、争い・侵略・殺戮・戦争の繰り返しの歴史です。
そして、今やっとEUで両国は一つのヨーロッパに行き着きましたが、「移民」問題で亀裂、憎悪、
排外主義的ナショナリズムという「妖怪」が徘徊し始めています。
自殺を試みたアンナとアドリアンは、ルーブルのマネの絵・「自殺」で生きる希望をもらったと言います。

この絵に、衝撃的ですがそんな力・意味があるのか私はわかりません。
制作者は、そのことにどんなメッセージを込めているのでしょう。 【4月16日】

映画/蝶の眠り

2018年04月16日 | 映画

2018年4月12日舞台挨拶付きプレミア試写会券が当たり見に行きました。
場所は、新宿4丁目にある角川シネマ新宿・シネマ1、座席数は400とのことですが65%ほどの入りでした。
上映前、中山美穂、勝村政信、永瀬正敏、チョン・ジェウン監督らの挨拶などが30分ほどありました。
 引用
スチール撮影のものすごいフラッシュに驚きました。光が強すぎて、公表されたスチール写真の出来は良くないです。
出演者の舞台挨拶を見るのは初めてでしたが、華やかさは感じませんでした。
わたしの好きな永瀬正敏さんの服装が良くなく残念でした。
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第22回(2018年)釜山国際映画祭正式出品作品だそうです。
在日マオリのパフォーマンスグループNga Hau E Whaが、4月24日釜山国際短編映画祭の
オープニングでパフォーマンスをするそうです。
さて、映画は、若年性アルツハイマーとなった売れっ子美人女性小説家が、「美しい記憶」を残すために
若い子恋人から身を引くと言うだけの話。
チョン・ジェウン監督は韓国で人気のある中山美穂を意識して制作したとのことですが、
彼女は確かに美しく魅力的顔立ちですがそれだけで観客が呼べるでしょうか?
一番の難点は、ストーリーにリアリティがなく、主題がさっぱりわからないことです。
また、中山美穂はお世辞にも演技・台詞が上手いとは言えません。
それ以上に台詞の音が大きすぎる音声の悪さです。
若年性アルツハイマーの迫り来る「不安・恐れ・絶望」感をまるで描いていません。
これをテーマにしっとり描けば彼女の魅力が何倍も広がったと思います。
ディテールも気になりました。
いかに売れっ子の美人作家であっても15cmもあろうかというハイヒールはおかしいです。
居酒屋で落とした愛用の万年筆を居酒屋のアルバイト店員が自宅に届けるなんて、変です。
どうして住所がわかるのでしょう、さらにほとんど初対面のそんな彼に愛犬の散歩を頼んだり、
彼に小説のアシスタントみたいなことを頼んだり、してしまうんです。
学生のレポートを「下らない」とシュッレダーしてしまうなんて開いた口がふさがりません。
「出会いはいつも偶然」なんて台詞も陳腐です。
万年筆派の彼女にペンだこがまるで無い指先の映像を平気で映すんです。
しかし、自分の病を明かす時の彼女の表情は、印象的で実に美しかったです。

唯一光を放っていたのは、私の好きな永瀬正敏さんのとぼけた味でした。

ストーリーの結末は、記しません。
神楽坂にある赤城神社や新宿中央公園などおなじみの映像もあります。
でも、久し振りに訪れた新宿の地理はまるでわからず、でした。
沢山の人が行き交い、多くの外国人も目につきました。
華やかなお店が林立しています。どんな人が利用するのだろう?私には無縁だな、でした。
伊勢丹でトイレを借りました。1階化粧品売り場は、客より店員のほうがはるかに多く、
店員の服がみな真っ黒で不気味でした。                  【4月12日鑑賞】

映画/ドリーム[Hidden Figures]

2018年04月13日 | 映画


映画はかなりよく出来ていますが、アカデミー賞は取れないでしょう。
邦題のドリームは陳腐ですが、原題の「隠れた人物・数字」もピントきません。
figure には、人物、数字という二つの意味があるようです。
ストーリーは、三人の黒人女性の素敵なお話しです。
1960年代初頭、米ソ冷戦下、宇宙開発でソ連に後れを取ったアメリカは世界と宇宙の覇権を求めてがむしゃらな競争に打って出ます。
数学の天才であるキャサリン達三人の黒人女性は、NASAに計算係として採用されます。
しかし、アメリカでは黒人は、専用トイレ、専用水飲み場、専用バスシートしか使えない時代でした。
加えて、彼女たちには、女性蔑視・差別も重くのしかかっていました。
男性優位の職場で、女性・黒人は一人とかごく少数でした。
ハイヒール着用、ネックレスは真珠のみとか、スカート丈は膝下という「日本の校則」のような下らない規則もありました。
他方、マーチンルーサーキング牧師達の黒人解放運動の歩みも徐々に進んで来た時代でした。
彼女たちは、そうした運動とのコミットはありませんでしたが、その有能さを遺憾なく発揮し始めます。
キャサリンは、700メートル離れた黒人専用トイレに行くしかありません。
なぜ長い時間職場を空けるのかと問い糾された彼女は、この映画唯一と言って良い差別を糾弾する「情熱的アジ演説」を行うのでした。
そのことを、知った上司(ボス)は、トイレは誰もが使用できるようにし、コーヒーポットも「白・黒」の区別を無くします。
しかし、それは、彼が「反人種差別主義者」だったからでは決してありません。
彼女がトイレに行く時間がただ惜しかったからです。
しかし、この事件を契機に、彼女たちへの「蔑視・偏見」は少しずつ溶解して行きました。

   「単純計算係」不要をみこし、コンピューターのプログラミングを学んだ女性達が新しい職場に向かう場面
黒人差別を扱った映画はこれまでもかなりの数作られました。正面から差別問題を取り上げたものから、
やんわりと訴えた作品などたくさんあります。
この映画は、楽しいのですが、感動は残りません。その訳は、社会派的映画では無く、かなりきれい事の
サクセスストーリーだけの映画だからです。
主人公達の内面の怒りや葛藤、いろんなことへの強い思いなどが描かれていませんし、彼女たちを取り巻く
白人男性の差別や偏見の描き方もきわめて平面的で、彼らの意識が次第に融解していく内面などは
ほとんど描かれていないからです。
もっともそれらはこの映画制作の目的ではありませんが…。
題材は、きわめて魅力的なのに、結局普通作で残念でした。
この映画は、ごくごく一部のエリート黒人達のサクセスストーリーです。
アメリカ社会は、黒人エリート達のこうした活動や公民権運動、過激なブラックパンサー運動やマルコムXさん達の運動などの
多様な活動が少しずつ風穴を開け、ついにオバマ黒人大統領を生み出しましたが、今なおアメリカ社会には根強い人種差別が
依然としてあり、トランプレイシスト大統領を生み出してもいます。    【4月2日鑑賞】

三里塚現地調査ツアー(2018年)、原勲さん墓参り

2018年04月09日 | 学習

岩山鉄塔跡
2018年4月7日、「三里塚現地調査ツアー」に参加しました。

JR成田駅12時集合でした。
 
4月4日、東峰にある三里塚物産・らっきょう工場の隣に建っていた樋ケさん宅の家が火事で全焼しました。
 
隣接する三里塚物産の冷蔵庫・倉庫、らっきょうの一部も焼けたそうです。
 
すぐ近くにある小泉英政さん宅           東峰共同墓地入り口
 
小泉よねさん墓
 
小泉よねさんは、三里塚農民で唯一、田畑・家屋敷などが強制収容されました。貧農なら良いだろうと彼女を狙い撃ちし、
他の反対派農民への見せしめ、脅しの狙いがあったと言われます。よねさんは、その数年後、66歳で亡くなりました。
萩原家の墓                    島村家の墓
 
東峰神社
 
元は伊藤音次郎さんが津田沼町(現在の習志野市)の伊藤飛行機製作所に建立した神社で、戦後、伊藤さんがこの地に
入植した際、当地に移設されたそうです。東峰地区は戦後開拓による農地開発が行なわれた地域で神社がなかったため、
開拓集落の産土神社となったそうです。【ウィキペディアより】
ワンパック出荷場
 
開拓道路                       
 
東峰十字路                    9.16闘争で亡くなった警察官の碑
 
空と大地の歴史館(無料)、前回の展示と少し変わりました。見やすくなったように感じます。
 
 
 
 
1991年、都はるみさんの「星空コンサート」が畑のど真ん中で行われました。
着物姿で舞台狭しと走り回って歌った都はるみさんは実に感動的・鮮烈でした。
 
航空科学博物館(200円、時間が無く入りませんでした。)
 
航空機と多目的広場が博物館前にあります。家族連れで賑わっていました。コスプレ撮影会も行われていました。
 
案内板
 
水辺の里、博物館の南側の湿地は、里山をイメージした水辺の里公園が広がっています。
 
                     ここから更に南部は、たくさんの古墳・埴輪地帯が広がっているそうです。
 
水辺の里公園の南側の高台にかつての岩山鉄塔の一部が残っています。
  
                         岩山団結小屋
 
  
春日神社(千代田・菱田)
 
731部隊の石井四郎勤書の忠魂碑(裏に、私たちの知っている人の家族と思われる戦死者の名前が記されています。)

木の根ペンション                 電気は、太陽光発電です。
 
プール                      二階からの景色 入口の道路
 
新しい管制塔      
 
自炊が基本で、宿泊代は寝具付き1泊1000円です。 食堂 新しい薪ストーブも入りました。
 
夜の行事は特になく、お酒をいただきながらいろいろ交流、話しました。
2階の部屋 慣れないところで寝たため、地上移動する飛行機のエンジン音でな何度も目が覚めました。

翌4月8日午前中、3本目の滑走路地域をめぐりました。 右上部の薄水色部分

国と空港会社等からなる四者協議会は、今年3月、「3本目の滑走路建設と運用時間の延長」などを決定しました。
実の広大な面積です。
横堀農業研修センター(旧労農合宿所)  この竹林の中にあります。     入口 
 
 
犬を連れて竹の子掘りに来ていた石井紀子とばったりお会いして、沢山の野菜をいただきました。 
ここで、現地調査ツアーは終了です。
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ここからは、原勲さんのお墓参りと横堀お花見
 
上は案山子亭入口と横堀鉄塔
案山子亭は、こうした道路、空港の地下を通った先にあります。
  
  
左、橙色の囲みの下の道路が右写真道路です。(横堀鉄塔から)
左のパイプの建物は空港会社の監視塔です。      鉄塔からの景色
  
 
横堀鉄塔下には、修復を終えた金城実さんの「抗議する農民像」
 
金城実さんは、沖縄在住の彫刻家。
 左写真は[引用] 
原勲さんのお墓
 
江口さんのお墓
 
原勲さん、江口さん、上坂さんらがこの地に眠っています。
原さんは、管制塔占拠の運動で逮捕され、保釈後裁判に出廷するため上京中、「自死」しました。
江口さんは、団結小屋活動の後、多古で生活していましたが5年ほど前に病死しました。
京成成田駅で、全く偶然に柳川秀夫さんに出会いました。この日、「地球的課題の実験村の年次寄り合い」が行われ、
その後、夕方から「柳川秀夫・石井恒二・小松巳規男さん三人の古希を祝う会」も開かれそこに向かうところでした。
私は、この会には参加しませんでしたので、二言三言挨拶して別れました。
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ずっと昔、空港建設で豊かな自然と大地が削り取られていく様を青年行動隊の人々は“壊死する風景”と表現しました。
今、私たちが目の当たりにする風景をなんと言い現わせばいいでしょう。
木の根ペンションの第七代管理人で現在三里塚物産の大森武徳さんが面白いお話をしてくれました。
空港問題と全く関係ない人々、多くは若い人たちですが、年代を越えて、この地にやってきているそうです。
農業をやりたい、有機農業をしたい、音楽のライブ活動としてペンションを使いたい、など動機や思いは様々だそうです。
しかし、かなりの悲壮感や決意とはほとんど無関係に、だそうです。しかし決して軽い気持ちでもなく。
青年行動隊や何人かの農民は、空港反対運動の過程で「新しい農の在り方」を模索しました。
微生物農法、有機農法、産直販売などかつて撒いた種が今こうして全く想像外の形で結実しているのかもしれません。
大森さんは、火事で冷蔵庫などかなりの損害が出たけれど、「打たれ強い私です。」と静かに締めくくりました。
ビールを少し飲んだだけですが、帰りの電車では爆睡でした。
今回も光本さんがたくさんの竹の子を掘ってきてくれました。石井紀子さんのほうれん草などたくさんのお土産を
いただいて帰りました。
私の2016年のツアーの私ブログは、『2016年・三里塚空港反対運動の思い出の地を巡るツアー』 です。   【終わり】

映画/Dunkirk

2018年04月04日 | 映画



制作の意図がよくわからない映画でした。
戦闘のリアルさ、個々のエピーソードのおもしろさ、スケールの大きさなど特筆することはありません。
戦争の悲惨さ、無意味さ、愚かさを描くのでもありません。
映画の最後のコピー、「チャーチルは偉大だった、イギリスは負けない」という「尊大な英国」を言いたい、
のでしょうか?     【4.2】