カンヌ映画祭で好評を博したと言いますが、私としてはイマイチと言います。
両親を交通事故で亡くした5人姉妹は、お祖母さんと叔父さんの家に引き取られます。
舞台はイスタンブールから約1000キロ離れた北トルコ・黒海沿岸のとても保守的な小さな村です。
しかし、いつの時代かは私にはわかりませんでした。
学校帰り、姉妹達は海で男子生徒の肩車で騎馬戦のような遊びをします。
導入のシーンはこの映画の一つの象徴的シーンでした。
監督で脚本のエルギュベン監督は若い女性で、彼女自身もこの遊びを経験したと言いますが、
ブラウス一枚の少女達が海水で濡れる様子は「性的」刺激が強すぎます。
この出来事以来、姉妹達は、家の中に監禁状態になります。
トルコでは、女性は常に「性の対象」としてしか捉えられていないと監督は言います。
それは、トルコの固有なことなのか、イスラームの教えそのものに由来するのか私はわかりません。
監禁された姉妹達が部屋でくつろぐ姿も、かなり性的に描かれています。
結婚もすべて大人の都合で決められ、初夜に出血しないと「処女かどうか」の検査もすると言います。
映像では描かれませんでしたが、その叔父は姉妹達に性的虐待もしているようでした。
三女は、精神的に追い詰められ、自死します。
四女と末っ子は意を決して、決死の脱出を行います。
映画は、イスタンブールに住むかつての女教師を無事訪れたところで終わります。
姉妹は、自由に向かって旅立ちましたが、中学生1年生ほどの彼女が今後無事生きていくことは簡単では無いはずです。
これ以降の物語は、この映画のテーマでは無いのかも知れませんが、これだけでは私には後味の悪い映画でした。
私は、女性が置かれている世界の実情・真実を十分に認識してはいません。
限られた情報の中で思うには、私は多くの女性が今日なお耐えがたい差別と虐待を強いられていることは、そうだと思います。
内戦下の若い男性兵士は、「俺たちは銃を撃ち人を殺し女は犯すこと」しか知らないと言うそうです。
男も女も教育を受け、まっとうな仕事に就けることがやはり大事なのだとつくづく思います。 【12月26日】