風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/リリーのすべて

2016年08月31日 | 映画

秀作です。

映画の出だしの制作は難しいものです。
この映画は、ちょっと「いかがわしく」、「妖しい」雰囲気で始まります。
舞台が、デンマーク・コペンハーゲンのニューハウンなのに言葉が英語、何とも不自然で大なる違和感でした。

ニューハウンは、デンマーク・コペンハーゲンの中心、港町で一大観光地です。[私が撮りました]

若い画家夫婦のアイナーとゲルダは、まさにこのニューハウンのアパートに住んでいます。
ある日、女性のモデルが都合でその日は休んだので妻は夫にモデルの代わりを頼みます。
夫は、ストッキングをはき、ドレスを足に掛けます。その時彼に、不思議な感情がこみ上げます。
夫婦は、すっかりゲーム感覚で夫の女装を楽しみ、ついにそのままパーティーに出かけます。
LGBT(性的少数者)の名称が使われ始めたのはほんの最近です。
心と体の性の不一致(Gender Identity Disorder, GID)が社会的に認められるようになったのも最近のことです。
それらの定義や意味合いや使われ方はまだ一定=確立されていませんし、それらへの偏見と差別は現在も根強く、
容認されているとは到底言えません。
映画の舞台は、第一次世界大戦の傷跡もまだ癒えない1920年代、十数年後にはナチスが台頭し始める時代、
そうした人々は全く排除されました。
夫は、次第に自分の心の奥底から自分の本当の"女の性"(感情、精神、性意識)が彷彿とわき上がるのを感じます。
ゲーム感覚で夫の女装を楽しんだ妻は、次第に夫の変容に苦しみます。
夫(アイナー、リリー)を演じるエディ・レッドメインは『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
ぞっくとするほど美しいです。そして内面の苦しみ、女性の仕草、嬉しさ、恍惚感を見事に演じました。

妻(ゲルダ)は、夫のその変化、内面を初めは全く理解できませんでした。
しかし、彼女はその後もアイナーを支え続けます。
アイナーは世界で初めて男性器を切除し、膣を作る手術を選んだ人と言われます。
彼は、リリーとなって、膣成形手術を受けるのですが術後が悪くしばらくして亡くなります。
彼は、リリーの名前で日記を残し、この映画となりました。
妻を演じたアリシア・ヴィキャンデルはデンマーク人で2015年アカデミー助演女優賞を受賞しました。
アカデミー賞に冷淡な私ですが、エディ・レッドメインは主演男優賞、アリシア・ヴィキャンデルは主演女優賞と思います。
しかし、アイナーが映画のように美男美女でない、を考えると彼の苦しさ・どうしようも無さ・絶望感を感じます。
とても重いテーマですが、映画は「説教せず」、「極端な反対者を登場させず」、「啓蒙にならず」に描きました。
                                【8月29日鑑賞、併映は先日のブログ『キャロル』】 

映画/キャロル

2016年08月30日 | 映画
 



女性同士の同性愛の映画、現代では特に珍しいテーマではありませんが、原作・映画舞台は60年前です。
「ブルー・ジャスミン」のケイト・ブランシュエットは大昔のハリウッド時代の美人のイメージを持ちます。
他方、ルーニー・マーラは「ドラゴン・タトゥーの女」のイメージを脱し、ちょっと小悪魔的イメージです。
同性愛は、今日では特別目新しいテーマではありませんが、生活感の無い金持ちケイトと庶民のルーニーの設定は、
あまりにありふれていて、新鮮味も無く安易です。
当時の車はまだ暖房が普及していなかったのでしょうか、車内で分厚い毛皮のコートを着ていました。また冬なのに
コンバーチブルの車に乗っていました。
アカデミー女優のケイトはカラミでおっぱいを見せませんが、ルーニーはきれいなおっぱいを見せます。
このシーンが必要とは私には思えませんが…。
ストーリーに特に新鮮味はありませんし、悩みを内面深く探ることはテーマでは無いようでごくありふれた映画です。
【8月29日鑑賞、先々週は満員だったので映画を見ないで帰り、先週は台風で自宅でした。】

動画/ニュージーランド航空機内安全ビデオ

2016年08月12日 | 雑談
ニュージーランド航空の機内安全ビデオが大傑作です。いくつかをご紹介します[全て引用]
「ハリウッドで撮ってみた」編



Bare essentials of safety from Air New Zealand


「メン・イン・ブラック×オールブラックス」編


ニュージーランド航空「さらば あぶない友達」キャンペーン動画


機内安全ビデオ『パラダイス編』メイキング


ニュージーランド航空機内安全ビデオ『パラダイス編』


ニュージーランド航空機内安全ビデオ エドとメラニーの機内安全スケッチ


ニュージーランド航空機内安全ビデオ Old School Style


ニュージーランド航空 B787-9型機 『Fly Happy』ビデオ


ニュージーランド航空機内安全ビデオ「サーフィン!サーフィン!サーフィン!編」


「壮大すぎる機内安全ビデオ」メイキング動画#AirNZHobbit


壮大すぎる機内安全ビデオ#AirNZHobbit


787-9成田就航便


Kia Ora from Sayaka - Air New Zealand Flight Attendant


Bear Essentials of Safety video


Mile-high madness with Richard Simmons! #RICHROLL


ニュージーランド専用英会話直行便 - Kiwi English Lesson -


ニュージーランドの星空をめぐる旅


ニュージーランド流雪合戦


Meanwhile in New Zealand - Winter Ice Cream


ニュージーランド丸ごと旅Logan Dodds: KiwiDaze 2016 #MyKiwiOE


ホークスベイ・マラソン応援PV-Pimp My Trolley編

映画/ヘイトフル・エイト

2016年08月04日 | 映画

タランティーノ監督の面目躍如って感じ、密室ミステリーの面白いストーリーでした。
ヘイトフル、日本語では忌々しい極悪人とでも言ったら良いでしょうか、ネタバレですが8人ではなく9人でした。
黒人・メキシコ人の人種問題など放送禁止用語・「ヘイトスピーチ」の様、こんなこと言って良いの、でした。
でも168分は長過ぎです。そして暴力・怪我・死体・血糊そして首吊りなどどぎついシーンがこれでもかと多過ぎです。
導入部分などは冗舌すぎ、途中の中だるみなどがカットされればテンポがもっと良かったでしょう。
店のセットは隙間だらけなのに、雪やほこりが動かず臨場感が今イチなのも残念でした。
舞台がアメリカ西部劇でなく、日本だと犯人捜しがネチネチの屁理屈物となるかも知れません。
リアリティは当然無くて良いのですが、南軍の将軍のキャラ・描き方は変ですし、略奪団の目的が、囚人奪取なら
もっと手っ取り早い強攻策があるでしょうが、そうすると映画にならないのですが。
台詞がゆっくり語られるので、英語の聞き取りが少し出来たのは良かったです。【8月1日鑑賞】

独裁者と小さな孫

2016年08月03日 | 映画

ジョージアの映画は初めて見ると思います。題材としては面白かったのですが、佳作とは到底言えません。
失敗の一番の理由は、制作者が言いたいことが多すぎて整理できていないこと、啓蒙主義的すぎることでした。
映画の最後の方に、開放された政治犯達が出てくるのですが、その描き方が何とも情緒的で興ざめでした。
「愛に生きる政治犯」が戻ってみると、彼女には別の家庭がありました。すると彼は目の前で自死します。
「独裁者」で無くとも、権力者は大なり小なりの独善と傲慢さを持つもの、それを茶化すか笑い飛ばすのがいいです。
上述の解説に「独裁者が人間性を取り戻すヒューマンドラマ」などと在りますがとんでもない話です。 【8月1日鑑賞】