風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/グリーンブック Green Book

2019年10月19日 | 映画



佳作です。ドナルド・ウォルブリッジ・シャーリーはカーネギホールのアパートに住む裕福な
ジャマイカ系アメリカ人のクラシック及びジャズピアニスです。

彼は2つの名誉博士号を持つエリート知識人です。1962年代、彼は専属ドライバー兼ボデイガ
ードとしてイタリア系アメリカ人の警備員トニーを雇い、黒人人種差別が根強く残るディー
プサウスにコンサートツアーに出かけます。当時、黒人は、白人専用のレストランやホテルや
トイレなどに入ることはできませんでした。彼は、最終公演をすることになっていたホテルの
レストランで入場を拒否され、沈着冷静な彼ですが堪忍袋の緒が切れます。
著名な音楽家だけど粗野で無教養の白人とインテリジェンスのある黒人運転手というコンビ
の二人のドタバタ劇ならこれまでありそうなパターンですが、この映画では逆です。この「ミ
スマッチ」が深刻な社会問題の背景を斜めにとらえるコメディロードムービーになりました。
シャーリーには、孤独が常につきまとっています。彼は、貧しい黒人コミュニティの一員にも、
またエリート白人社会の一員にもなれず、また同性愛者というだけで逮捕されもし、成功して
いながら、「自分は何者か」と悩み、自分の居場所がないと思っているのです。しかし、トラブル
を通して二人は心を通わせ始めます。
私は、10月7日、同時に『ブラック・クランズマン』も見ました。2つの映画は両方とも、人種差
別を扱っていますが、正面から人種差別を扱えば、観客も限られます。コメディタッチのエン
ターテイメントにするのは苦肉の策です。ブラックの方は差別の恐ろしさのいわば直球です
が、グリーンの方は差別はやはり深刻なのですが、変化球気味です。トニーが白人ながら差別
されるイタリア系移民も味噌です。陽気なラテン系でなければ二人の心の通い合いも生まれ
なかったかもしれないと思いながら見ていました。映画で流れるピアノ音色はとても素敵な
のですが、この現実は現代でも、との思いが併存し物悲しくもありました。   【10月7日】

台風19号後の荒川土手を歩きました。

2019年10月15日 | ウォーキング

10月14日午前、小雨が降っていましたが、台風19号通過後の荒川土手を歩きました。



黄色部分の道路を歩きました。
 
散歩していた家族連れに聞くと「流されてきた草木が溜まっているの土手の部分まで水が来た」、と話してくれました。
 
河川敷の標識などが根元から倒されていました。    河川敷グランドのネットなどです。
 

上の地図の三領水門当たりです。茶色の線の橋の先は、ぬかるみで行けませんでした。
 
 
            途中戸田市の道路で、氾濫すると電柱の上部の赤線(4m)まで水が来るとありました。
 
堤防の高さは15mほどあるそうです。また、脇を流れる菖蒲川は調整川にもなっているようです。
私は、もう少し水が来ているかと思いました。
ヌカルミには入りませんでしたが、靴が泥でぐちゃぐちゃになりました。泥は、下水の臭いがしました。
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蕨駅から歩きました。地図は用意しませんでした。2つの大きなお寺がありました。
常福寺・浄土宗                   観音堂
 
本堂内
 
正覚院・真言宗真言宗豊山派
 
【終わり】

映画/ブラック・クランズマンBlackkklansman

2019年10月14日 | 映画

コメディタッチの映画ですが、いろんな問題を投げかけている刺激的映画です。Blackkklansman を
BlacKKKlansman と書き換えると読み解けると思います。KKKは’Ku Klux Klan’の略ですが、語源・
語意は諸説あるようですが、アメリカの黒人奴隷制度を支持しその後黒人を人種的に差別、更にユダ
ヤ人や共産主義者などを憎悪するする集団でまさにアメリカ版「ナチズム」とも言えると思います。
KKKに所属する黒人と言うのですから、すさまじいものです。この問題を正面から取り上げ、切り込
んだら「あいちトリエンナーレ」どころではない猛反発と攻撃を受けたでしょう。この映画では直球
ではなく、コメディタッチにしたのだと思います。
 映画では、アメリカではすでに忘れ去られている「ブラック・パンサー党」、「ストークリー・カーマ
イケル」を登場させ、このグループにも潜入捜査します。1960~1970年代は、社会変革の世界的うね
りの時代でした。マルティン・ルーサー・キングJrさんやマルコムXさんらの公民権運動もその一翼
を担いましたが、その運動に飽き足らない黒人たちは、「ブラックパワー」を爆発させます。
 1968年のメキシコオリンピックのブラックパワー・サリュート(アメリカ公民権運動で黒人が拳
を高く掲げ黒人差別に抗議する示威行為)は衝撃的でした。ふたりの黒人メダリストは、その後、ア
メリカ陸上界から追放されました。
 

また、パンサー党は、武装闘争に取り組みますが、その後の大弾圧などで分裂やがて消滅していきます。
 1968年のメキシコオリンピックはソ連のプラハ侵攻直後に開かれました。チェコのチャスラフスカ
さんはそれまでの赤いレオタードから、抗議の意を示すために濃紺のレオタードで競技を行いました。

映画では、エリートの黒人青年ロン・ストールワースが警察官になります。配属されたのは資料室、ここ
でも彼は白人同僚から人種差別を受けます。彼はふと目にした、KKK勧誘の新聞記事を目にし、電話で加
入を申し込みます。彼の白人的英語と差別的話しぶりが高く評価され、面接の許可を受けます。でも彼は
黒人ですから面接できないので、同僚刑事に代役を頼みます。その同僚がなんとユダヤ人です。こうして
ハラハラドキドキの潜入捜査が始まります。私は、南部黒人と白人の英語の発音の違いがあることなど
知りませんでした。You are の黒人の発音は語尾に少し強いr音が入るらしい、などです。これらの下りは
面白かったです。最後は二人は無事生還、解決します。
 映画のエンディングで、突如、2017年のヴァージニア州の白人至上主義者の行進が突如映し出され、次
に行進に抗議するデモの列に向かって一台の車が突っ込む衝撃的シーンが映し出されます。一人の女性
の命が奪われます。トランプ大統領が「どっちも悪かったしね」と平然と発言する映像が流れ、反転された
白黒のアメリカ国旗が無音で映し出され、映画が終わりました。
 コメディの世界から現実の世界に引き戻されるこのシーンが必要だったかどうかについては評価が分
かれるようですが、私はこの映画の作者たちの勇気を称えたいと思います。
 蛇足的に、主人公の名前、Stollworth の意味を調べたら、stoll は失う、worth は価値、とありました。
 この映画の背景時代から半世紀が経ちます。キング牧師やカーマイケルさん、マルコムXさん、そして
チャフラフスカさんらの思いは、人々の願いは前進しているのでしょうか。    【10月7日】

映画/ドント・ウォーリーDon't Worry, He Won't Get Far on Foot

2019年10月13日 | 映画


私は、キャラハンを知りません。彼は72年、21歳の時交通事故で胸から下が麻痺してしまいます。
彼は小さい時、母親に捨てられそのトラウマと事故で自暴自棄になり、酒に溺れます。ふと描いた
ブラックユーモア的風刺漫画が人々の目に留まり、人気漫画家となって行きます。彼の自伝がベ
ースだそうですが、同性愛者でエイズ患者のドニーの「禁酒セラピー」に参加しますが、この部分
がちょっとシリアスでそれ以上に長すぎで退屈してしまいました。「悩み」部分は軽妙にしもっと
コメディタッチにすればより面白い映画になったと私は思います。私としては「並みの出来」の映
画でした。           【9月30日】
彼の漫画  
 

映画/パリ、嘘つきな恋 Tout le monde debout

2019年10月11日 | 映画


面白かったです。女とみると見境無くナンパするジョスランが恋した女性・フロランスは、
車椅子テニスを楽しむオーケストラのバイオリニスト。どう見てもフロランスがジョスナ
ンに惹かれるなんてのはあり得ない、不釣り合いなのですが、映画ですから。彼女は、すぐ
彼が車椅子生活者では無いことを見抜きます。彼のスニーカーが汚れ、かかとがすり切っ
ていた、のオチです。ともあれ、さすがフランス映画、「障害」を特別視もせず、深刻ぶらず、
軽妙なコメディになりました。 Tout le monde deboutの意味は「みんな立って」のようです。    
                                 【9月30日】

映画/天国でまた会おうAu revoir la-haut

2019年10月04日 | 映画


傑作です。上の案内では「クライムドラム」と紹介されていますが、確かにその一面はありますが、
喜劇的であり、それ以上に、深いテーマ性を感じました。戦場で、鼻以下の顔を失ったアルベール
は、絶望し、自死のみを思います。彼を助けたエドゥアールの励ましで何とか生き延び生きがいを
得た二人は、戦争犯罪人達からの大金奪取に生きがいを見いだします。銀行の頭取で戦争大犯罪
人の一人であるアルベールの父への「断罪」に成功するのですが、アルベールの「思い」は父には通
じず、彼は自死してしまいます。私は、この結末を選んだ意図や思いは今でもわからない不満が強
く残りますが、…。エドゥアールは、「無事」フランスを脱出し、「めでたし」で終わります。【9月8日】