風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

トスカーナの贋作/親愛なるきみへ

2012年02月23日 | 映画

面白かったです。
主人公は、名前が明らかでない「彼女」と英国人作家のジェ-ムズ。
二人の出会いは、ちょっと不自然で・安易過ぎ、一ひねり、二ひねり欲しかったです。
ジェームズは「芸術におけるオリジナルと贋作の問題」と言う本を書き、そのイタリア語訳が出たので、
南トスカーナの小さな村に来て講演・サイン会を行ったのです。
骨董店を営む彼女は、その講演会に来て、「店に来て欲しい」と言うメモを残し、中座します。
こんな誘いは普通は無視されるのですが、ジェームズはのこのこ出かけて行きます。
最前列に座った彼女の色気に負け、鼻の下を伸ばして…と思わせるのですが。
彼女の骨董店を訪れた彼は、トスカーナのモナリザと呼ばれる絵が展示されている美術館に案内されます。
その絵は、50年ほど前に、贋作だと分かりました。
二人はカフェに入ります。
この映画の特徴は、カメラカットしないで、まるでドキュメントのように二人の姿を写します。
二人の会話はかなり騒々しいのですが、沈黙=無言の間もかなりあってとても新鮮です。
この映画の小道具は、携帯電話です。
長いシーンが続いた後、携帯電話が鳴ると、話の佳境でも何の挨拶もなくそこで会話が途切れ、
全く違う世界が侵入し、場面が変わります。
カフェで、二人は共通の言葉・英語で話しています。彼に電話がかかり、彼は店の外に出ます。
英語の分からないイタリア人の女性店主は、「良いご主人ですね」と話しかけ、
彼女は、この虚構にちょっと嬉しくなり、夫婦であることを装い、彼にもそう話し、彼もそれいに従います。
この時彼女に訪れた表情は初々しくもあり、かわいらしさがにじんでいました。
彼女はフランス人で、15年前にこの地で結婚式を挙げ、5年前にこの地に引っ越してきたそうです。
この映画、英語・フランス語・イタリア語が入り交じります。
この映画の宣伝文句は"ラブ・ストーリー"、たちまち二人は一目惚れしあい、求め合う、と想像してしまうのですが、
15年目の結婚記念日をすっぽかされた彼女は、その愚痴を彼にぶつけます。
二人はウッディ・アレンの映画のように屁理屈をこねくり回し、けんかのように言い合うのです。
私たちは、日常では些細なことに腹を立てて喧嘩しますが、
本音で言い合うことはほとんどありません。
この言い争いによって、二人の間には微妙な空気が流れ始めます。
夫婦と間違われた彼女、ジェームズが電話している時に、トイレに入って、変身です。

真っ赤なルージュを引き、髪を手入れし、イヤリングを付けます。
歩き疲れた二人は、階段で休憩。彼女は、彼の肩に頭を倒すのでした。
彼女は、いつしか目の前の現実と昨日までの現実が混雑し、まがいの“虚”が“現実”となってしまうのです。
目の前にある教会に入った彼女は、そこでブラを外してきます。大胆な第二の変身です。
その階段は、15年前に泊まったホテルでした。
ジェームズは、最初に夜9時までならつきあうと彼女に、言ったのですが、ベッドに誘われたジェームズは、
トイレに行って長いおしっこをして画面から消えます。時計台がまだ明るい9時を示し、映画が終わります。
さて、ポスターには「夜にたどりつけない男と女」とありますが、トスカーナの夜はなかなか暗くなりません。
その後の二人は?
私は、途中でカメラカットがとても少ないことに気がつき、どのように撮影したかとても不思議でした。
長い台詞をよどみなく演じた俳優、カメラマン、見事でした。
ジェームズ役のウイリアム・シメルはオペラシンガーだそうですが、良かったです。
さて、題名は、トスカーナの贋作の絵のことですが、まがい物・本物、虚と実は微妙です。
偽物の夫婦を装っているうちに、嘘と実の境が混沌としてしまいました。        【2月20日】
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うたい文句は、「全米No.1を獲得した珠玉の恋物語。世界で最も読まれた恋愛小説の映画化」だが、
ごくありふれたメロドラマ的恋愛もの。

成田空港・空と大地の歴史館

2012年02月19日 | ウォーキング
2月15日、『成田空港・空と大地の歴史館』に行って来ました。
ここにはかつて、成田空港滑走路の南方に仁王様のように屹然と立つ岩山大鉄塔がありました。
1977.5.06 岩山大鉄塔が撤去され、その後紆余曲折を経て、その跡地にこの歴史館が建てられました。
これはそのリーフレット[芝山町ホームページから]。
 

 
 
 
 
  
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2月12日、私の友人(Eさん)が癌で亡くなりました。享年57歳、あまりに早すぎる死でした。
彼は、22歳の時、農民支援のために大阪の地からこの地に馳せ参じ、その後隣村の多古町に住みました。
約半年前、食道癌と診断され、千葉市内の病院で苛烈な闘病生活を送ってきましたが、とうとう力尽きました。
15日通夜、16日告別式が行われました。

ゴーストライター/ミケランジェロの暗号

2012年02月09日 | 映画
 
おもしろかった。
ブレア元イギリス首相を連想させる架空の元首相が、ゴーストライターに自伝を書かせていました。
その首相がアメリカCIAとつながっているのではないかという秘密を探り出した彼が何者かに殺されます。
折しも、元首相はアメリカの戦争に協力し、さらにテロリストを拷問死させた罪などで国際法廷で訴追されます。
新たに雇われた新しいライターが、残された彼の資料の中から事の真相に近づきはじめます。
最後に、予想外のどんでん返しがあります。
元首相の妻が、ゴーストライターを誘惑するのはすごくアヤシイです。
フィクションなのはわかっているのですが、アメリカCIAならやりかねないと、恐ろしさを感じます。
イギリス英語の発音がとてもきれいでした。
元首相はアメリカに滞在しているのですが、暗い雨が多く、まるでイギリスのような陰鬱な空でした。
 
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『ヒトラーの贋札』の「二匹目のドジョウ」を狙ったのですが、ストーリーに無理がありすぎで失敗でした。
画廊を営む大富豪のユダヤ人一家は、バチカンから大昔盗まれたミケランジェロの絵を秘匿しています。
ヒトラーがその絵を手に入れイタリアのムッソリーニにプレゼントしようとし、彼のご機嫌を取ろうとしています。
画廊の息子ヴィクトルの親友ルディがナチ親衛隊になり、彼をだまして絵のありかを探り出すのですが、
父親は巧妙に絵を隠していたのでした。
ここまでは良いのですが、ルディの護衛の元、ヴィクトルはベルリンに飛行機で護送されることになるのですが、
その飛行機がパルチザンの手によって墜落させられや、ヴィクトルはルディに成り代わって延命を図ります。
ルディの婚約者がヴィクトルの面通しに現れるのですが、彼女はヴィクトルが婚約者だと彼を選択したり、と
あまりの荒唐無稽にアングリで、映画を見る意欲は減退です。
金持ちのユダヤ人とその使用人で上昇を夢見るドイツ人と言う対比は、当時の社会を象徴的に現しているとは言え、
大富豪で上流階級のユダヤ人が、貧しいドイツ人に勝利して微笑むのは何とも後味の悪い映画でした。
もっとストーリーに工夫と掘り下げがあればな。                        【2月6日鑑賞】

北京故宮博物院200選

2012年02月04日 | 学習
2月2日、上野国立博物館で開かれている『北京故宮博物院200選』に行って来ました。
この展覧会の目玉と言われる「清明上河図」展示は1月24日までと知っていましたが、
スゴイ行列が出来ているとのことだったので、その後にしました。
本館、本館の左奥が平成館                    北京故宮博物院200選が行われている平成館  
    
【以下全て、引用です】
    

紀元前10世紀以上前の青銅器などの展示はありましたが、主力は最も栄えた乾隆帝の時代のものが多い。
故宮・紫禁城は満州族が打ち立てた清王朝の宮殿でした。
面白かったのは、満州語、ウイグル語、チベット語、漢字など辞典のような書物。
中国は多民族国家ですが、圧倒的多数を占める漢民族を押さえて、満州族が長く北京で中国を支配したのは面白い。
蒋介石は内戦時代、故宮博物院の宝物の一部を台湾の故宮院に移しました。
逃げ惑いながらだったので小さい物が多く、多くは移すことが出来ませんでした。
従って、台北故宮院はそれほど大きくはありませんが、北京故宮院は相当大きいらしい。
中国には、この他に、天安門広場東側に中国国家博物館と言う大きな博物館があり、
紀元前17世紀の殷代の遺物も展示されているといいます。
この博物館も広く、中国は広大だから、この二つをゆっくり巡ったらどの位の時間を要するのだろう。
ただ、今回の特別展もかなり「羊頭狗肉」的で迫力・ボリュームに欠けます。
私は、書や壺については興味がないので余計そう思ったのかもしれません。
チベットから持ち込まれたと思われる仏像は、いずれもとても小さい金属製の物で数点ありました。
琺瑯といわれる細工物はとても鮮やかな色彩できれいでした。
洋の東西を問わず、権力者は贅の限りを尽くすのですね。
ただ今回は、金や装飾品などは少なかったのですが。

今回の展示会の目玉と言われる清明上河図の展示は終了し、実物大のコピーと、ビデオで拡大されて紹介されていました。
コピーはおそらく現物をかなり忠実に反映していると思うのですが、変色が進んでいてきれいではありませんでした。
私は、現物を見なかったのですが、それでもいいかなと思いました。
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