風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/ネブラスカ

2014年07月13日 | 映画

ロードムービーです。
デイビッドの父、ウディは「100万ドル支払う」という雑誌社の手紙を受け取ります。
でもそれは、「当選番号と一致すれば」の条件がつくジョーク=インチキなのですが。
ウディは一人で歩いて遠く離れたネブラスカに賞金を取りに出かけます。
同棲相手から三行半を貰い落ち込むデイビッドは「長くない親父と少しつきあうか」と軽い気持ちで、ウディを車に乗せます。
彼は軽度の認知症気味と私には思われます。
死ぬ前に、もう一度故郷を訪れたいとの思いに駆られたのでは無いでしょうか。
二人の珍道中が始まります。
途中から身を案じたウディの妻・ケイトとデイビッドの兄も合流し、両親の故郷(ホーソーン=架空の都市)に立ち寄ります。
何十年ぶりに訪れた彼らは、かつての隣人達と懐かしい再会をします。
ウディが「くじに当たった」と知るや、「昔、彼に金を貸したので返せ」、と彼らは豹変します。
「皆私のパンツの中身を狙っていた」が口癖の彼女の「Fuck you!」(字幕は"くたばれ")の一言で、
無心に来たかつての隣人は退散です。
ケイトのキャラクターが傑作で、彼女がこの映画を非常に魅力ある映画にしました。
全編モノクロが落ち着いた雰囲気を醸しだし、デイビッドの穏やかさと優しさがそこに上手く溶け込んでいます。
二人が強盗に襲われ、「当選した手紙」が奪われるシーン不要でした。
それを除いて、特別なドラマチックな出来事がないのも良いです。
ロードムービー2作でした。「旅人は夢を奏でる」は、珍しいフィンランド映画でしたが、
私は、「ネブラスカ」の方に軍配をあげます。                   【7月7日鑑賞】


映画/旅人は夢を奏でる

2014年07月10日 | 映画

原題はフィンランド語でTie Pohjoiseen 、意味は、「北への道」
日本の題名、「旅人は夢を奏でる」は、陳腐です。
ティモは、有名で人気のあるピアニストです。彼の元をみすぼらしい姿の男が訪れます。
彼は、ティモが3歳の時、家を出た実の父親レオでした。
ティモの妻は、彼に愛想を尽かし、実家に戻っています。
レオに足が悪いので北のウルフランドまで送ってほしいと無理強いされたティモは向かいます。
その車は、レオが駐車中の車の窓を開け盗んだもの、普通はそんな車には乗らないのに。
ティモは、その存在を知らなかった異母姉、次に祖母の元に案内されます。
彼らとの話の中で、彼は実の母と育ての母がいるらしいことがわかります。
次々と明らかにされていく彼の過去に彼は戸惑いを覚え始めます。
にわかに映画は、ロードムービーからミステリアスになっていきます。
途中、妻の実家に立ち寄ると、妻は男性と親しげに話しているのでした。
最後に、二人は、ティモの実母のもとを訪れます。
レオは、彼女と結婚したかつての銀行強盗仲間に銃で撃たれ、そして死にます。
「北への道」は、自分の人生はそう長く無いと感じたレオが、ティモの出生の秘密、
別居するティモの妻のところに彼を連れて行く道だった、でした。
飲んだくれで、不良のレオが「善良な父親」って言うことなのでしょうか。
レオの声は、気味が悪いほどの低音で、魅力的でした。
ティモはレオの音楽の才能を受け継ぎ、同時に糖尿病も受け継いでいました。
映画は、ティモがピアノを弾く場面で終わります。
その曲名を私は知りませんが、冒頭の濃厚なクラシックでは無いシンプルな音楽でした。
ノーネクタイで演奏する姿は、彼の一皮も二皮もむけたティモを示すのですが、
出て行った妻と簡単に"寄り"を戻してしまうなんて…。
おいおい、それは無いだろっ、です。
偽造パスポートを所持するレオ、万引きしたパンストを被りコンビニ強盗、車を盗み、ガソリン代を踏み倒す、大麻(?)を吸う、
最後は銃での殺人など、それらはただ映画を面白くするための小道具としか言いようがありません。
そんな異や奇の衒い過ぎは不要で、フィンランドの雄大な自然の中、
レオやティモ達の揺れ動く内面をシリアスにならない程度にコミカルに描く方が私の好みではあります。
でも、それだと違う映画になってしたでしょうが。
フィンランドでは大人気を博したそうですが、普通の出来です。  【7月7日鑑賞】