風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画2本/黄金のアデーレ、ミケランジェロ・プロジェクト

2016年04月29日 | 映画

英語題名は、Woman in gold
普通作。ナチスに没収され、後オーストリア政府所有となったクリムトの"黄金のアデーレ"を取り戻す映画です。
主人公のマリアの発音はガチガチのイギリス英語でした。私は、イギリス英語の発音が好きですが、
彼女の役はオーストリアからアメリカ渡った人、本当にイギリス英語を話す人だったか知りませんが、
ちょっと違和感がありました。

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英語題名は、The monuments men
こちらも、ナチスに渡った芸術品を取り戻すと言う映画、普通作です。
「オーシャンズ11」のイメージが強いクルーニー、おまけにマットデイモンで、この映画はその続編といった感じでした。
日本語題名は、ミケランジェロの「聖母子像」奪還から付けられた様です。
取り返した名画などをもう少しゆっくり紹介して欲しかったです。

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芸術品を含めた、諸国の富を略奪したのはナチスだけではありません。
かつてのイギリス、スペイン、フランス、ロシア、アメリカなどの強国は全てそうでした。
「保護」したお陰で、「破壊から免れた」などと盗っ人猛々しいです。彼らは、「無条件で返還」するべきです。
大英博物館は「無料」などと威張っていますが、多くは略奪品です。
タリバンの「バーミヤン遺跡」破壊について非難する欧米諸国はそもそも「この地の豊かな文明」を尊敬せず、
お構いなしに侵略、破壊して来ました。
また、著名な芸術品には想像を絶する価格が付いていますが、それらは決して個人が所有し、秘する物ではありません。
2本の映画を見て、そんなことを感じました。       【4月25日鑑賞】

金沢八景を歩く

2016年04月19日 | ウォーキング

4月18日、金沢八景を歩きました。
金沢八景は、中世から海と丘陵の織りなす風景が美しいことから名勝地でした。



品川駅で京急本線快速特急に乗り換え(10:21発)、金沢八景駅着10:58、シーサイドライン線に
乗って野島公園に向かいました。
私は、野島を知りませんでした。横浜市内で唯一残っている自然海岸の砂浜の島です。
公園などもありますが、かなりの住宅密集地です。
 
シーサイドライン金沢八景駅                    野島公園駅
 
野島(シーサイドライン線の電車の中から)
 
染王院・真言宗御室派
 
野島神社                               掩体壕(横須賀海軍基地の一つで飛行機を隠していたと言う)
 
旧伊東博文金沢別邸(月・休み)
 
日本キリスト教団金沢八景教会                  八景島を望む
 
京急本線の金沢八景駅に戻り歩き始めました。

金龍禅院・臨済宗                          泥牛庵・臨済宗
 
泥牛庵本堂                             上行寺・日蓮宗
 
上行寺本堂                             長生寺・真言宗
 
光傳寺・浄土宗  京急逗子線の六浦駅まで歩きました。   京急本線・金沢八景駅
 

瀬戸神社                               龍華寺・真言宗御室派
 
龍華寺境内では「ぼたんまつり」が行われていました。
 
    
                     洲崎神社
 
安立寺・日蓮宗                            町屋神社
 
天然寺・浄土宗                            傳心寺・曹洞宗
 
金沢八幡神社                            薬王寺・真言宗御室派
 

宝蔵院・真言宗御室派 
 

称 名 寺・真言律宗別格本山、金沢北条氏一門の菩提寺 赤門      光明院表門
 
称名寺仁王門
   
                                     金堂
 
金堂内                                 鐘楼 
 
釈迦堂
 
称名寺境内                           

八角堂(称名寺山頂) 急勾配の山道・石段を登ります。
  
石仏群
  
称名寺山頂より八景島を望む                   金沢文庫の町
  
称名寺開祖・北条実時像   北条顕時の墓         金沢文庫に向かう隧道
  
隧道内の金沢八景の絵
  
  
  
  
金沢文庫(月・休館)                           金沢文庫正面
 
三室寺                                カトリック聖ヨゼフ教会
 

庚申塔がいくつかありました。
 
小雨が少し降り始めたのでこのまま帰るか迷いましたが、もう少し歩くことにしました。
正法寺・真言宗御室派                        赤井不動
  
十三仏                 正法寺から金沢文庫の町
 
手子神社

金沢文庫駅まで歩き、京急の電車で帰路につきました。
午前中は、初夏のような日差しでしたが、昼過ぎから強い風の曇り空になりました。
気温は高く、からっとしていました。
常々、金沢八景、金沢文庫周辺は歩きたいと思っていたところですが、いつでも行けると伸び伸びでした。
金沢北条氏菩提寺・称名寺を除いて大きな寺や神社はありませんでした。
鎌倉とは、ちょうど三浦半島を境に反対側にあります。海岸沿いの平地部分は狭く、すぐ丘陵地が連なります。
鎌倉時代には、様々な武士集団・豪族が割拠していた地域です。
私は真言宗御室派についてはよく知りませんがそのお寺が多かったです。
ウイークデーなのに街の人の出は多く、賑わっていました。住宅も多いです。
野島の存在も知りませんでしたが、狭い島の中に住宅が密集しているのには驚きました。
AGT路線のシーサイドライン(金沢八景駅と横浜の新杉田駅を結ぶ)の存在も知りませんでした。本数も多いです。
埋め立てた海岸線の上を走っています。
折しも、熊本地震が群発しています。道を歩いていると、「海抜○○m」の標示があちこちに、
地震のよる地滑りや津波の恐ろしさを感じるのですが、ここに住む人々はどう感じているのでしょう。
後半は、ちょっと急ぎ足になりましたが、腰も足も痛くならず良かったです。
5月の連休後、ドイツへの旅行を計画しているのでその訓練を兼ねました。  【終わり】

映画/マイ・ファニー・レディ

2016年04月17日 | 映画

日本語題名は、もちろんヘップバーンの"マイ・フェア・レディ"のパロディですが、
原題の「She's funny that way」は何と訳すのでしょかわかりません。
とにかくハチャメチャなドタバタ喜劇です。
主人公が、元エスコートレディ(コールガール・娼婦)の映画俳優のお話で、下ネタのギャグ連発が下品ですが…。
単純だけど入り組んだ人間関係と機関銃のような会話ですが、ウディ・アレンのような難しい単語が出てこないので、
英語もわかりやすいです。

セラピストと判事のキャラクターがユニークでおもしろいです。
判事は罪を犯して刑務所に行くのですが、かつて判決を下した受刑者と再会することになりますし、
セラピストが実は最もセラピーが必要というおかしさです。
もちろん、映画の各所にこれまでの映画のパロディ・パクリがあって楽しいです。
各男女が新たなパートナーとまとまる結末はありふれて予想された結末ですが、
イジーの恋人がどう見ても不細工な男なのはシャレていました。
コールガールの元締めの女性もアーノルドの同じ手口で「成功」したのもおもしろいです。
しかし、わざわざ映画館に行って見るほどの映画ではありません。    【4月11日鑑賞】

映画/夏ゆく人々(Le meraviglie)

2016年04月14日 | 映画

2014年の第67回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞作ですが、主観主義的でとても秀作とは言えません。
原題:Le Meraviglie はイタリア語で驚き ですが"宝物"の意味もあるようですがよくわかりません。
トスカーナ地方の片田舎に、養蜂業を営むドイツ系移民の家族がやって来ます。
テレビ局がエルトリア文化についての現地ロケイベントをしていました。
この家の長女・ジェルソミーナはこの「不思議の国」イベントへの出場にあこがれ、家族に隠れて申し込みます。
非行歴のある少年が更正プランとしてこの一家に預けられています。
彼は、人との接触を嫌い、人と言葉を交わしませんが、口笛の名手で、ジェルソミーナだけに親しみを感じています。
思春期にある少女の一夏の出来事と家族愛と自然のハーモニィなどと表されていますが何とも大袈裟です。
ジェルソミーナと言う名は、イタリア映画の名作「道」(1954年)の薄幸の主人公の少女と同じ名で、
その名が何度か館内に響く時、「道」の哀愁が流れます。
エルトリアは馴染みが少なく余り知られていませんが、古代ローマ以前のトスカーナ地方に栄えた古代文明です。
昔、イタリアを旅した時、「エトルリア」縁の地を訪れました。
その時のブログは、イタリアの旅・エトルリア を参照(クリック)して下さい。     【4月11日鑑賞】

三里塚空港反対運動の思い出の地を巡るツアー

2016年04月12日 | ウォーキング

4月9・10日「三里塚空港反対運動の思い出の地を巡るツアー」があり参加しました。
今年は、政府が成田空港建設を決めた50年目にあたり、このツアーが計画されたと私は思います。
12時半JR成田駅集合、車に分乗して出発です。
JR成田駅前は、再開発されきれいになり、かつての古ぼけさはなくなりました。 
成田山新勝寺で「成田太鼓祭り」が開かれていて、周辺は大変な人出でした。
  引用
駅を出て、すぐ左に交番があり、その裏に権現神社があります。
 


東峰神社と三里塚物産             木の根ペンション
  
案山案山子亭と横堀鉄塔

京成成田駅と千代田駅を結ぶ日本で一番短い"芝山鉄道"(2.2km)の千代田駅に向かいました。
途中の、東成田駅は地下通路を通じて京成の空港駅に歩いて行くことが出来ます(10分ほど)。

南に10km程行くと、芝山古墳・はにわ館があります。そこから南西に10km程行くと外房海岸です。
はにわ館あたりは古代は海岸で、あちこち貝塚や古墳があるそうです。
航空科学博物館 1989年、日本で初めての航空科学博物館です。(入らず外観のみ) 成田空港空と大地の歴史館(無料)
 
この二つは、成田空港滑走路の南端延長上にあり、かつて60mほどの鉄塔が立っていました。
成田空港空と大地の歴史館内
 
1991年、都はるみさんのコンサートが畑のど真ん中で行われ大盛況でした。
着物姿で舞台狭しと走り回って歌った都はるみさんは実に感動的・鮮烈でした。

東峰十字路周辺 1971年、この地で3名の機動隊員が亡くなりました。
 
その脇にこんな一角があります。この道の先に反対派の共有地があるのですが、道路は行き止まりで、
その先にはトンネルがあり、その上は飛行機の通路になっています。
 
東峰神社(東峰神社の石碑の後ろに、消されてますが航空神社とありました。)
 
三里塚物産(らっきょうの甘酢漬けなどを生産販売しています。)などに行く道路  左が三里塚物産
 
                                    小泉英政さんの家
  
東峰共同墓地
  
 
小泉よねさんは、三里塚農民で唯一、田畑・家屋敷などが強制収容されました。
貧農なら良いだろうと彼女を狙い撃ちし、他の反対派農民への見せしめ、脅しの狙いがあったと言われます。
よねさんは、その数年後66歳で病死しました。小泉英征さんは、そうしたよねさんの生き様に共鳴して、
妻と共によねさんの養子になり、よねさんが残した畑や墓地を今も守っています。

今日の宿、木の根ペンション                    木の根ペンションのロケーション
 
芝山鉄道の東成田駅を出て、空港に下を通る道路を10分ほど歩くと左にあります。
その二階からの風景
 
 
 
夕飯は、バーベキューとカレーでした。

人数が多かったので、ペンションと「ワンパック出荷場」に分かれて泊まりました。  
4月10日
朝ご飯は、卵かけご飯、サラダ・豚汁・納豆・ハム・ヨーグルトなどとても立派でした。
午前中は、「三里塚に生きる」(DVD)を見ました。140分は、長過ぎです。
私は、柳川秀夫さん、小泉英征さん、石毛宏道さんのお話が印象に残りました。
かつて「労農合宿所」と呼ばれる団結小屋があった所(三里塚農業研修センターなどがあります。)  案山子亭と横堀鉄塔
 
案山子亭の周囲                            案山子亭に行く道路
 
案山子亭も共有地です。周辺・道路は、成田国際空港株式会社の敷地です。

原勲さん、江口さん、上坂さんらがこの地に眠っています。
原さんは、管制塔占拠の運動で逮捕され、出所後「自死」しました。江口さんは、団結小屋活動の後、
多古で生活していましたが3年ほど前に病死しました。
 
ここで毎年、墓参を兼ねた花見が開かれています。
鉄塔の上からの景色                         管制塔
 
大森武徳さんが焼き芋を、また光本さんが竹の子をたくさん取ってきてくれ、豪華なお土産をいただきました。
参加費は、6000円と安かったです。
車の移動は仕方ないですが、芝山鉄道の体験乗車と三里塚公園訪問もあっても良かったかと思いました。
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さて、少し蛇足気味ですが、
1966年7月4日、佐藤栄作政府は成田市三里塚に新しい国際空港の建設を決めました。
2016年の今年は、その50年の節目です。
1960年の安保改定とエネルギーの石炭からの転換(三井三池闘争)、1965年の日韓条約締結を経て、
日本が戦後復興を一定程度成し遂げ、東アジアでの大国化を目ざし始めました。
東アジアのハブ空港はその一つの象徴でもあり、長期の公共事業景気のための核として一大事業でもありました。
建設用地を公にすると用地買収費用などが高騰するため予定地を秘密裏に選ぶことは行われがちです。
東京には用地がないからと霞ヶ浦、木更津など選びましたが頓挫し、千葉県内に絞り始めました。
初めは富里町を選んだのですが議会の反対など反対運動が強かったため、三里塚に変更したと言われています。
大まかな空港の敷地型紙を地図上で動かすと天皇家の御料牧場と県有地が多いこの地がピタとはまり選んだ、
と言われるほど、その根拠はいい加減で杜撰であったと言われています。
閣議決定後の3日後に、三里塚反対同盟と芝山反対同盟の二つが生まれ、その後その二つは合同し、
クリスチャンで彫刻家でもある戸村一作さんが委員長となる合同反対同盟が結成されました。
この地域は、北総台地の一部で、肥沃な関東ローム層で覆われています。
天皇家の御料牧場、豊かな農民の古村と戦後の農地解放に伴う開拓の新しい農村の二つが混在していたそうです。
御料牧場の名残

自民党保守の農民が多かったのですが、同時に小作争議・農地解放運動を担った社会党・全日農も強力でした。
そんな社会的歴史的風土の中で、当初の反対運動は、政党色のない地域ぐるみの運動として進み、
1000世帯3000人の同盟員とも言われました。社会党はその政治的影響力を強く発揮しました。
この時期に始まった一坪共有地運動は今も大きく強い力を発揮し続けています。
特に、木の根ペンション、開拓道路、案山子亭などの共有地は今なお横風滑走路建設予定地に存在して、
その実現をほぼ敢然と阻んでいます。
政府自民党は、当初の計画のずさんさや地元への根回しも不十分なまま推し進めたため、
用地買収は思うように進まず、事を強権的・暴力的に推し進めました。
農民は、いわば体を張る抵抗運動を切羽詰まってせざるを得なくなるのにつれて、社会党・共産党との乖離が生まれました。
1967年反対同盟は、いわゆる新左翼勢力の運動への参加を認めました。
1971年2月から始まる強制代執行の強行はこの運動の新たな局面を迎えました。
1971年9月三人の警官が死亡し、その報復とばかりに大木(小泉)よねさんの田畑・家屋の強制代執行が行われたのでした。
柳川秀夫さんが「三里塚に生きる」の中で、「戦い続けるわけは?」と問われ、「死んだ者がいる」、と語っています。
その言葉の私の理解は、「死んだ彼らの思いや彼らへの私の思いが、今生きている私の中にある。」と言うことではないかと…。
三里塚では多くの人々が亡くなっています。
三宮文夫さん、新山幸男さん、原勲さん、龍崎泰子さん、受けた傷などでその後亡くなった人々、そして三人の機動隊員。
半世紀・50年の時の流れは、私には当時見えなかったものが見えたり、右か左かだけでなく、
多角的・相対的に物事が見えるようになったように思え、上のような感想を認めました。  【終わり】
追記:
このツアーの2年後、現地調査が行われました。そのブログです。三里塚現地調査ツアー(2018年)、原勲さん墓参り


映画/家族はつらいよ

2016年04月05日 | 映画


十分楽しみました。久し振りにMOVIXで封切りで見ました。
リメイク盤・東京家族はテレビで見ましたが、これは普通作でした。
「家族のために頑張ったオレ」なんて言ってわがまま・頑固・威張り散らす父親はもう大分古くさいです。
離婚を言い出した妻が、「お前と一緒で幸せだった」の一言で、離婚を止めるなんてなんて安直な終わり方でしょう。
ダメ親父は離婚されて、何も出来ずひからび、そして心を入れ替え、わびを入れ大変身を遂げるオチがイイです。
吉行和子、蒼井優、妻夫木聡のまったり系と大声でわめき散らす橋爪功、中嶋朋子、西村雅彦、そして
夏川結衣、林家正蔵は普段はおとなしく穏やかなのですが、普段我慢しているのでキレるとわめき散らすなど
キャラクターはステレオタイプですが、それなりに工夫されて、その対比はおもしろいです。
出色は蒼井優、そしてやはり風吹ジュンはきれいで役もイイですねぇ。

下手くそ小林稔侍は税務Gメン窓際太郎風で登場しましたが違和感を放ち不要でした。
正蔵が父親・林家三平の真似をして「どうもすいません」したり、皿を割って連れ合いの愛情を探る落語ネタや、
フウテンの寅の歌を歌ううなぎ屋、カルチャーセンターの壁に「東京家族」、「男はつらいよ」の映画のポスター、
「これが目に入らぬか」と水戸黄門の印籠のように浮気現場の写真を差し出すシーンなど
あちこちパロディっぽい細かいところもたくさんあって笑えます。
しかし、教訓的には家族、人の心の奥底は計り知れないもの、「心穏やかに」ありたいものです。         【4月4日鑑賞】

映画/あん、恋人たち

2016年04月01日 | 映画
 
私の好きな永瀬正敏が出演しています。そのことを割り引いても文句なしの佳作です。
私は河瀬直美さんの映画はこれまではあまり好きではありませんでしたがこの映画は素敵でした。
樹木希林は、文句の付けようのない上手さですし、永瀬ももちろんです。
内田伽羅は樹木の孫だそうですが、とても良い味でした。
樹木、永瀬、内田の三人の台詞がスローモーションのようにゆっくりなのが何と言っても素敵でした。

この穏やかな時の流れのゆっくりさはとても心地よいものでした。
徳江(樹木)は、ハンセン病の罹患以来、つい最近まで強制隔離され、一切の自由は無く、働くことさえ許されませんでした。
彼女は、ワカナ(内田)が飼えなくなって譲り受けたカナリアを逃がします。
そして、彼女は、しみじみと語ります。
「私達は、この世を見るために、聞くために生まれてきた。この世は、ただそれだけを望んでいた。
…だとすれば、何かになれなくても、私達は生まれた意味がある。」
自分個人の責任ではどうしようも出来ない出自、差別や偏見、そしてこの世の不条理過ぎる出来事に私が見舞われる時、
私は上のような思いを抱く自信はありません。
川瀬さん、原作のドリアン助川さんは、重いテーマを深刻にならずましてや説教せず、まことに淡々としみじみと描きました。
冒頭、英語でスタッフなどのコピーが流れました。「何気取ってんだろう」と思っていたら、日仏独の合作映画でした。
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予告編を見て期待したのですが、全くの期待外れの駄作でした。
何よりテンポがなく、繰り返しの台詞が饒舌で、内面の葛藤や不条理さを深く掘り下げもせず、描きもせずです。
「もがき苦しみながら懸命に生きている」とは何と大袈裟な。
そんな退屈な映画が延々140分も続き、何度も席を立とうとしました。
その上、喫煙シーンが多すぎで気持ち悪くなりました。
唯一、黒田大輔を演じた黒田大輔の静かな穏やかさが出色でした。
この映画が大きないくつかの賞を得、「あん」が無冠という不思議さです。   【3月28日鑑賞】