2020年6月12日、アベノマスクが届きました。「コロナ非常事態宣言」解除後のなんとも「間の抜けた」と時機でした。
アメリカのミネアポリス市で5月25日、丸腰の黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官らによって圧迫死虐殺され、
6月8日彼の追悼式が行われました。
カナダのトルドー首相 アメリカペロシ下院議長
フロイドさんのイラスト バンクシーさんの作品
そして今回とは直接関係ないですが私の大好きなこの写真はどうしても掲げたいです。
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「映像の時代」です。刺激的で素晴らしい映像がネット上でたくさん見ることが出来ます。
私は、黒人差別にかかわる映画をいくつか見てきました。そのうちのいくつかの私のブログは以下です。
映画/Moonlight
映画/グリーンブック
映画/ビール・ストリートの恋人たち
映画/ブラック・クランズマンBlackkklansman
映画/スリー・ビルボード
映画/Get Out
映画/ラビング[Loving]-愛という名前のふたり
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私が少し若い時、私は「
ろう文化宣言への意見」のなかで、手話と黒人問題について次のように書いたことがあります。
アメリカの黒人解放運動・公民権獲得運動は第三世界の「民族」解放運動から多くのことを学んだ。学ばざるを得なか
ったという方が正確かもしれない。
アメリカの黒人にとって、ベトナム民衆の戦いは人ごとではなかった。ベトナムに派兵された兵士の中に多くの黒人
がいた。国内で差別され抑圧されて来た黒人が、今度は、自分たちよりはるかに体格は貧弱で、身なりもみすぼらしい
アジアの黄色人種を侵略し殺戮するという現実に直面せざるを得なかった。
軍事力・財力・国力・体力のない遅れたベトナムの民衆が、強大な軍事力を持ち、装備も優れた、常勝先進大国アメリカと
真っ向から対決し、退却するどころか逆にそのアメリカをうち負かしている。しかも、自分たちは女・子供・老人までも無
差別に殺している。
このことは黒人達の倫理観・道徳観・良心、そして何より自分たちのアイデンティティーを大きく揺れ動かし、混乱させ
た。そして、物や金や力より、精神・志・大儀・正義を求める心理の方が何より強い、という単純ではあるが明快な真理を学
んだ。
抑圧され続けてきた黒人たちにとってそれは屈折しながらも翻って、自分たちの過去と現在を照射せざるを得なかった。
ブラックパンサーのスローガンは「ブラック イズ ビュティフル」であった。「ブラック」、それはかつて自分の黒い皮膚を
白くしようと、肌から血が出てもなお石で削って白くしようとした自分たちが一番嫌っていた色であった。それが一番美
しい、この180度の自己の転換を勝ち取ったのである。
マルコムXは、イスラームの息吹を黒人に注いだ。
マルコムXらの武装闘争の実践=失敗と敗北は、キング牧師に引き継がれていく。キング牧師はインド・ガンジーの“非暴
力・不服従”を打ち出し、勝利する。こうした一連の運動の中で黒人達は、自分たちを「ある種の民族」と呼んだ。そこには、
ベトナムの奇跡=ベトナムの人々が自分たちを新しい「民族」=人民へと自分たちを育てた、これまでとは全く違った人間集
団の新しい概念の発見・創造があったのである。こうして黒人たちは、自分たちをアメリカの多数者=支配者である白人と
は違う、ある種の「民族」と読んだのだ。
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NHKのニュース番組の特集で、フロイドさんに触れました。その時、黒人差別の歴史的背景を解説するイラストを流したそうで
す。それが「差別的」だとの批判があって削除したそうです。その謝罪文は「視聴者からこのアニメーションについて、問題の実態を
正確に表していないなどというご批判をいただき、掲載を取りやめました。掲載にあたっての配慮が欠け、不快な思いをされた方
にお詫びいたします。」と言います。つまり、「批判があり、配慮が欠け」たから、謝罪し、削除するというのです。このイラストが黒人
への偏見に満ちていて、そのことに気が付かなかったから、謝罪するのではないのです。
私は、黒人の母親が息子への【
若い黒人が従うべき暗黙のルール・16】の報道に触れた時、少し情緒的過ぎますが、涙を禁じえま
せんでした。
・手をポケットに入れてはいけない ・パーカーのフードをかぶってはいけない ・シャツを着ないまま、外に出てはいけ
ない ・一緒にいる相手がどんな人か確認する。たとえ路上で会った人でも ・遅い時間まで外で出歩かない ・買わない
ものを触らない ・たとえガム一つだったとしても、何かを買ったらレシートかレジ袋なしで店を出てはいけない ・誰か
と言い争いをしているように見せてはいけない ・身分証明書なしに外に出てはいけない ・タンクトップを着て運転して
はいけない ・ドゥーラグ(頭に巻く、スカーフのような布)をつけたまま運転してはいけない ・タンクトップ、もしくはド
ゥーラグを巻いて出かけたりしてはいけない ・大きな音楽をかけて車に乗ってはいけない ・白人の女性をじっと見ては
いけない ・警察に職務質問されたら、反論してはいけない。協力的でありなさい ・警察に車を停止させられたら、ダッシュ
ボードに両手を乗せて、運転免許証と登録証を出してもいいか尋ねなさい
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イギリスでは、奴隷商人の像が撤去されたり、アメリカでは奴隷制度を支持した南軍の将軍の像やその名をつけた基地の名称変更
なども議論されているそうです。
さて、翻って日本には、かなり特有の「宗教観」があります。歴史的「偉人」・著名人を「神」として祀るのです。上杉神社や豊国神社な
ど戦国武将を祀った数多くの神社があります。
山口県に伊東博文さんを祀った束荷神社があります。日本では、彼は、偉人ですが、韓国では違います。1909年、初代前韓国統監であ
った伊藤博文さんをハルピンで射殺した安重根は、韓国では英雄です。ソウルタワーを下った所に「安重根記念館」があります。次の写
真は私が、2007年と2010年にこの記念館を訪れた時のものです。
【おわり】