3月15日のダイヤ改正。先の「銀河」廃止の記事で、「消える列車があれば、新しく誕生する列車がある」と書いたのだが、その一つが小田急・東京メトロ千代田線直通のロマンスカーである。
新しい「MSE(マルチ・スーパー・エクスプレス)」は「青いロマンスカー」というキャッチコピーであり、日本の地下鉄で全席指定の特急列車が走るのは初めてということで話題になっている。平日は通勤ライナーとして、土日は都心から箱根への観光の足となる。通勤で普段利用している地下鉄千代田線を特急が走るというのも妙な感じだ。実は小田急のロマンスカーというのにはこれまで乗ったことがなかったのだが、いい機会だろうからと出かけることにした。
15日の朝9時から行われた1番列車の出発式には用事があって見に行くことができなかった(報道では、1番列車の指定席は発売開始からわずか5分で完売したとか)が、初日とはいえ14時43分に北千住を発車する第2便「メトロはこね23号」は、15日当日でも空席があった。1番列車と2番列車でこうも差が出るものか。私も通路側ながら特急券を購入することができ、一度帰宅して再び北千住駅に現れる。
いつもは朝の通勤で大混雑する北千住駅ホームだが、土曜の昼間にも関わらず「その筋」の人たち、子ども連れなどで混雑している。普通に地下鉄を利用して北千住に降り立った人たちが「何の騒ぎ?」といぶかるような表情をした後「箱根に行く特急が今日から走るんだっけ?」と妙に納得したように過ぎていく。
綾瀬方から入線してきたブルーの車体。最後部に陣取っていたのだがこの人ごみである。まあ車両の表情は到着後に眺めるとして、とにかく乗り込むことにする。
木目調の暖かな感じの内装に、背もたれの高いシート。観光列車らしく、日本語、英語のほかに、繁体字中国語、ハングルによる案内字幕が流れる。ちなみに中国語では「浪漫特快箱根列車」。中央特快は通勤列車の語感だが、浪漫特快とは旅情をそそる字面である。
北千住を発車し、地下区間を走る。特急とはいっても地下鉄内で先行列車を追い越すわけではなく、スピードは通常の地下鉄並み。その地下鉄の中であるが車内販売のワゴンがあり、ビールを注文。地下鉄の中でビールを飲むなんてのは初めてのことだ。途中、大手町、霞ヶ関、表参道と停車するが、ここからの乗車も結構あり、ほぼ満席となった。
代々木上原で乗務員の交代のため運転停車し(この駅にもすごい数の「その筋」の人たちがホームに群がっていた)、いよいよ小田急線へ。複々線の中を快走する。小田急はいろんな種類の特急型車両を走らせており、それらとすれ違うのも楽しみだ。
北千住から1時間、町田で半数以上の客が下車し、車内は一気にガラガラとなった。どうやら箱根まで行こうという客よりは、新型車両の初日に乗ってみたかった客のほうが多かったようだ。まあ、箱根湯本着が17時前とあらばそういうものか。
町田からはノンストップで小田原着。快適だった時間もあっという間だ。ここで、10両編成のうち後部4両が切り離される。実は私が乗っていたのも小田原までの車両だったので、ここで下車する。下車客が一斉にホーム最後部まで行き、先ほど北千住駅でできなかった車両撮影会となる。
なかなか面白い一時を過ごした後、この日はもう少し西を目指してJRに乗り換えることにした・・・・。