松山駅前の「喜助の湯」に浸かった後、松山13時26分発「しおかぜ20号」に乗る。この列車の岡山着は16時11分。駅前のビアガーデンの開店前だが、駅前で少しゆっくりして、それから繰り込めば・・というつもりだった。「しおかぜ20号」にも十分な空席がある。
改札口の向こうのホームに赤と黄色の車体が見える。観光列車「伊予灘ものがたり」である。JR四国の中でも人気の列車で、私はリニューアル前、キハ47改造の「伊予灘ものがたり」には一度乗車したことがあるが、現在のキハ185系になってからはまだである。これから出発するのは13時31分発の「八幡浜編」で、車内ではフレンチのミニコースをいただくことができる。伊予市~伊予長浜間は「愛ある伊予灘線」を経由し、海沿いの景色で知られる下灘駅にも停車し、八幡浜には15時50分の到着である。本日は満員御礼だが、この列車で松山から八幡浜まで往復した場合、松山から広島には最終のスーパージェットで何とか帰宅できそうだ。またいずれ乗ってみたいものである。
さてその向こうには高架ホームが姿を見せつつある。今年の9月29日に開業予定で、完成時には自動改札機の導入や、高架下には飲食、物販のテナントも入る。その一方で現在のじゃこ天うどんのコーナーはどうなるだろうか・・。
「しおかぜ20号」が5両、その前に2両編成の高松行き「いしづち20号」をつなぎ、合計7両で発車。在来線特急にある程度長い時間乗車するのも楽しいものである。発車直前、同じホームの先に宇和島からの「宇和海14号」が到着し、同一ホームでの乗り換えが行われる。これも高架ホームになると対面乗り換えとなる模様だ。
まずは松山の市街地を抜け、堀江、そして伊予北条から瀬戸内海沿いを走る。伊予北条の沖合いには鹿島があり、渡し船が出ている。島では海水浴や釣り、展望台からの景色を楽しむことができるが、野生および飼育の鹿も生息している。以前、四国八十八ヶ所めぐりの際に立ち寄った時、柵の向こうに野生の鹿も姿を見せていたのを覚えている。
先ほどフェリーで通った景色を四国側から見る形で走る。SOLATO(太陽石油)の製油所や新来島どっくの工場設備も車窓の一つである。
今治が近づき、岡山理科大学今治キャンパスも見える。こう書くと別にどうということもないのだが、「加計学園獣医学部」と読み替えると、「そういえば」と思い出す方もいらっしゃるのではないだろうか。一時期、「森友・加計(モリカケ)問題」として、当時の安倍政権への攻撃材料になっていたあれである。文書改ざんを強要された財務局職員が自殺したり、国や大阪府などの補助金をだまし取ったとして理事長夫妻が逮捕された森友問題はともかく、加計問題とは結局何がどうなったのやらよくわからない。加計学園の理事長が安倍首相の友人で、獣医学部キャンパスができたのは「最初から加計ありき」「忖度」とかいろいろ言われていたが・・。その獣医学部も今年の春、初めての卒業生が誕生したそうである。その卒業生の心境はいかがなものだろうか。
今治からは東予地区に入る。石鎚山や、予讃線沿線の四国札所を回ったのも懐かしいところだ。現在のところ、四国八十八ヶ所の2巡目を行おうという予定はないが、何らかの形でまた四国一周をしてみたいものだ。
水のきれいな町で知られる伊予西条といえばアサヒビール四国工場があり、併設のビール園でビールとジンギスカンをいただいたことがある。ただこちらはビール需要の減少にともなう生産体制の見直しにより、2023年1月に閉鎖となった。
さてここからだが、ちょうど心持がよくなるタイミングだったか、ウトウトしたようだ。
気づけば横に長い愛媛県の区間が終わり、さらには観音寺も過ぎたようだ。ちょうど目が覚めると再び海岸べりで、遠くに桟橋と小島が見えるのは津島ノ宮のようだ。夏の大祭に合わせて年に2日だけ臨時営業する駅もある。