10月26日の大相撲広島場所。プログラム前半は稽古公開だったが、11時50分から取組開始である。まずは序二段の取組が9番組まれている。序二段といえば東西それぞれ90枚以上あるが、その中で広島場所に参加する力士はどのように決まるのだろうか。必ずしも序二段上位とは限らないし、関取衆の付き人としてか、あるいは「強化指定力士」のようなものか。
その後も三段目、幕下と取組が進む。かなりの巨漢力士や元関取、中にはショーを意識して仕切り時ににらみ合いをする取組もある(本場所なら絶対審判から怒られるだろう)。このあたりの番付にも個性的な力士、将来を期待される若手も多く、それを楽しみにするファンも多い。
幕下までの取組が終わり、再び翔大夢、もといショータイムである(翔大夢とは、この日序二段で土俵に上がった「しょうたいむ」という四股名の力士)。まずは髪結実演。モデルは翔猿である。向正面からなので力士の表情はうかがえないが、床山の手さばきで結われる後姿を見るのも新鮮である。
続いては相撲甚句。中には先ほど土俵で取組を見せたばかりの力士も。こういうところではご当地ネタを含めるのが定番のようで、一節に「カープ」の言葉が入り、会場から大きな拍手が起こる。
そして巡業で人気のイベントの初切。こちら西方から登場するのは朝天舞。後でプロフィールを見ると、序二段ながら現在43歳、最高位も幕下である。それでも現役を続けて、一つの芸である初切を務めるのだからある意味才能があるのだろう。
これに対するは千代北海。初切を盛り上げるには東西の力士、そして行司が一体となる呼吸がカギを握る。
その後も息の合った掛け合い、荒技で土俵を盛り上げる。乱闘あり、途中からはプロレスやボクシングにもなったり(ウエスタン・ラリアットも出たぞ)。もっとも、元々の相撲というのはこうした荒々しい武術だったとも言われている。
続いては綱打ち実演。照ノ富士の登場に大きな拍手が起こる。こちらも向正面ならではで、横綱の顔は見えないものの綱が結わえられる様子は見える。これも貴重なものを見させていただいた。数分のこととはいえ、本場所なら毎日、そしてこうした巡業などでも土俵入りの前には欠かせない作業。横綱も忙しい限りだ。
そして、関取衆の土俵入り。東西の花道に力士たちが並び、ファンも周りを取り囲む。
まずは東方から。赤ちゃんをだっこするのは、この日の稽古中の多くの時間を花道での握手、記念撮影、サインで終始和やかに対応し、その後はちびっこ相手に汗をかいた高安。
その後も力士たちは声援に手を振って応えながら上がる。この近さから土俵入りを観るのは初めてで、やはり力士は絵になる。
替わって西方力士は座席のすぐ横を通る。こちらで子どもを抱いているのは大栄翔。
これで広島場所の場内もいよいよメインイベントの雰囲気となる。
この後は照ノ富士の土俵入り。露払い・翠富士、そして太刀持ちは別の一門だが平戸海である。さて横綱だが、11月の九州場所への出場については明確にしていないようである。
故障続きで稽古が不十分でも、本場所にフル出場できれば優勝、あるいは優勝争いできる力はあるのだが、この先どこまで相撲が取れるのだろうか。横綱土俵入りを生で観たのがこの広島で最後・・ということになってしまうのかどうか・・・。
主催者挨拶があり、関取衆の取組。ウクライナ出身で、この巡業後の番付発表で新入幕が発表された獅司も登場する。獅司はこの数番後の取組にも登場。誰か急遽休場となった力士の代役かな。
前半で大きな声援を受けたのはやはり高安。2階席の何分の1かはどこかのこども園が団体で陣取っており、先ほどのちびっこ相撲の時も園児が出ていたようで大きなコールが起こっていた。その高安、相手の時疾風と激しい攻防の末、最後は相手を投げ倒して子どもたちを喜ばせる。
幕内力士どうしだが、時間の関係か、仕切りは1回だけ、あるいは初めに仕切った後、塩を取りに行かずにそのまま立ち合いという取組もあった。何だろう、前半の序二段、三段目、幕下以上に淡々と進んでいるようにも感じられる。
また館内が沸いたのは、宇良対遠藤。激しい差し手争いを制した遠藤の勝ち。
元大関どうしの御嶽海対正代も、仕切り時にわざとにらみ合いをしたり、激しい攻防を見せた後、正代が御嶽海を土俵下に押し出した。手を出した正代を御嶽海が一瞬土俵下に引き落とそうとするのもお約束だろう。
これより三役ということで東西の花道から土俵も賑やかになる。・・・のはいいが、巡業となるとどうしても番付順の取組とせざるを得ず、休場者もいることから連日、平戸海対大栄翔、阿炎対霧島、琴櫻対豊昇龍という小結、関脇、大関どうしの対戦となっているようだ。巡業期間中の対戦成績がどうなのかは知らないが、日によってはあえてお互い勝ったり負けたりをしているのではないかと思う・・・。
この日のこれより三役は、まず大栄翔が平戸海に勝ち、阿炎が霧島を圧倒。
結びの一番は豊昇龍が琴櫻を寄り切っての勝利。まあ、午前中も三番稽古をしていたし、巡業の取組の一番の勝ち負けに一喜一憂するものではないだろう。横綱・照ノ富士もいる中、新大関・大の里の昇進が大きな刺激になっているであろう両大関、九州場所では意地とプライドを見せてほしいものである。
これで退場。せっかくなので土俵に近づく。すると、徳俵に手をかけてはがそうとする男性の姿。最初は関係者の人が土俵の撤去作業に当たっているのかなと思うがどうもそうではなく、縁起物だから持ち帰ろうというようだ。まさかこうしたところで相撲の神事を意識することになるとは・・。
・・・さてこの後、バスと広電を乗り継いで帰宅したのだが、しばらく自宅にいた後、持ち物を入れ替える形で出発し、再び西広島駅から山陽線に乗る。
広島まで出て、鹿児島中央行きの「さくら563号」に乗る。この時間から九州行きの新幹線に乗るとは、先日訪ねたばかりの九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの続きかのための前泊か、それとも・・・。
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