「WEST EXPRESS銀河」で下関までやって来て、折り返しまでの約9時間をどのように過ごすか。九州に渡ることも含めてさまざまな動きが取れるところだが、まずは駅前の大衆食堂で郷土料理の鯨で一献。時刻表を見て、山陰線~美祢線をたどって下関に戻ることができることがわかり、現在不通区間を代行バスでたどることにした。青春18きっぷの期間中にたどることを検討したこともあったが、今回下関まで来たことで、ついでと言っては失礼だが行ってみよう。
12時05分発、下関から山陰線の小串行きに乗る。キハ47の2両編成。山陰線ではICカードは使えないので、券売機でとりあえず長門市までの乗車券を購入した。それぞれのボックス席に1~2人という乗車数で発車する。
幡生から山陽線の複線の間に潜り込み、上りの線路をくぐって山陰線へと入る。この区間、直近に乗った時は観光列車「〇〇のはなし」を利用しており、普通の列車で揺られるのは久しぶりである。こちらはこちらで国道191号線に沿って町並みが続く。「梶栗郷台地(かじくりごうだいち)」という、いかにも最近の名前らしい駅もある。
吉見からは内陸に入り、本州最西端の毘沙ノ鼻への案内標識も見える。ここは最初の広島勤務時代、クルマで行ったことがあるようなないような、曖昧である。本州の最南端とはいえ、すぐ先には九州があるからそこまでアピール力はないかな・・(ならば大間崎も本州最北端のすぐ先に北海道があるではないかというところだが、そこは言葉の響きの差かな・・)。
それなりにいた乗客も駅ごとで下車し、川棚温泉で車内は数人だけになった。次は終点の小串である。
山陰線の下関からの列車は元々小串、またはこの先の滝部までの列車が多く、長門市方面へは乗り継ぎとなっていたが、2023年に起きた大雨のため鉄橋の橋脚が傾き、小串~長門市間が不通となった。それからおよそ1年が経ち、小串~滝部間、人丸~長門市間は朝夕の通学時間を中心に列車の運転が再開された。残りの区間の復旧は2025年度中を見込んでいるそうだが・・。
駅には係員が出て、長門市行きの代行バスの案内がある。次は13時ちょうど発だが、バスは駅前からは出ておらず、いったん横道に出て、国道191号線の地下道を通り、国道沿いの空き地に臨時のバス停が設けられている。待っているのは地元サンデン交通のバス。手前の川棚温泉駅から国道191号線を通って豊浦、豊北方面に向かうバス路線も元々あるが、これから乗るのは「鉄道代行」である。停車するのは駅前、もしくは駅近くに元からあるバス停のみで、乗り降りがあってもなくても停車するとの案内がある。運転台にはICカードの読み取り機があるが、鉄道代行ということで使用できないようだ。
4~5人の乗客で発車。旅の人らしいのは私以外にもう一人くらいのようだ。長門市の到着予定は14時48分で、本来の鉄道で行くより20分ほど余計にかかる。国道での距離表示は長門市まで51キロ。まあ、途中渋滞で遅れることはないと思うが、バスの長旅はそれなりにしんどそうだ。
小串を出ると二見まで響灘沿いに走る。これを福徳稲荷神社の千本鳥居も見える。気分としては「〇〇のはなし」とさほど変わらない。
次の湯玉は国道に面しており、ちょうど駅前に停車。ここで一人下車する。次の宇賀本郷はさすがに駅前にバスが入れないため、国道のバス停に停車。
宇賀本郷から今度は国道が海沿いを行き、二見夫婦岩もちらりと見ることができる。鉄道の旅とドライブの両取りの感覚である。
長門市に向かうならこのまま国道を海沿いに走るところだが、あくまで鉄道代行ということで線路に合わせて右折して県道のトンネルに入る。抜けたところが長門二見。
そのまましばらく線路と並走し、現在の鉄道区間の終点である滝部に到着。ここで数人乗客が入れ替わる。下関からここまで結構走って来たと感じるが、まだ下関市内である。
美祢方面からの国道435号線に入り、次の特牛では駅前が狭いため乗り入れず、国道上で停車。次の阿川までは線路とは並走せず、特牛の港近くで再び国道191号線に合流する。ここから国道191号線で少し西に進んだところに、人気の道の駅「豊浦街道豊北」がある。また国道沿いには人気観光スポットの角島大橋の案内も見える。この辺りの札所めぐりを兼ねたドライブで出かけたことがあるが、さすがに海の色が鮮やかだった。
次の阿川には国道からいったん側道に入る。バスがギリギリでも通れるようで、いったん踏切を渡り、狭い道に入る。その先にある駅に到着。
阿川は老朽化した駅舎の建て替えの際、人の集まるスペースを作ろうということで新たに開放的なつくりのカフェ「Agawa」がオープン。「〇〇のはなし」も阿川で数分停車し、カフェで飲み物や軽食を買い求める客で賑わっていた。
ただ昨年不通になってからはどうだろう。バスの窓からだと店の人や客の姿は見られなかったのだが、店のSNSによるとこのところは日曜日限定で開店しているようだ。列車の復旧はまだまだ先だが、休業していなかったのはよかった。
次の長門粟野の手前で粟野川を渡るが、ここに架かる鉄橋の橋脚が傾いたことで運休が長期化している。ここもギリギリでバスが入れるようで、国道から脇道に入り、踏切を渡る。ただし駅前では折り返せないので、そのまま漁港まで突っ切り、防波堤に沿ってぐるりと回り、仮設のバス停に到着した。あくまで駅に近づけるところまで近づくのが鉄道代行バスたるところだろう。
さてここまで来てようやく下関市から長門市に入る。「○○のはなし」に負けず劣らず、こうして旅行気分で来る分には面白い話ではあるが、日常で利用する地元の人にとっては不便、大変なことであろう。長くなったので、長門市までは次の記事にて・・・。
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