まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

本土再東端へ

2008年03月02日 | 旅行記A・北海道

未明の釧路駅。前日は北海道~東日本にかけて大変な強風だったというが、札幌からの「まりも」号も運休になったという。釧路から終着駅の根室に向かう始発列車も「まりも」からの乗り継ぎがあればもう少し乗客があったのだろうが、ガラガラで出発。北海道オリジナルのキハ54系である。

P2246355釧路の市街地を抜けると、少しずつ夜があけるが人家も何もない山の中を走っていく。猛烈に吹雪いており、気動車もあえぐように走る。牡蠣の産地である厚岸湾で一時集落は現れるものの、その後は広大な、というか荒涼とした台地が続く。このあたりはほとんどが牧草地なのだろうが、日本離れした風景だ。

P2246280釧路から2時間あまり、強風の影響で少し遅れたものの無事、本土最東端の街、根室に到着。列車から降りると強風と地吹雪が身体を覆い、たまらずすぐに駅舎へと駆け込む。

P2246283根室を訪れるのは学生時代以来十数年ぶりで、この日は夕方の列車まで根室を回ることにする。その足ということで駅のレンタカーを手配したのはいいが、ここまで強風になるとは思わなかった。運転は大丈夫かな・・・。対応してくれた駅員によれば根室でもこの日は悪天候に属するようで、気をつけての言葉に送り出される。まず目指すのは納沙布岬だ。

大きな除雪車の後をくっついて市街地を抜けると、また荒涼とした牧草地帯に放り出される。風が強いのと、雪が北海道独特のパウダースノーのために、道路上に砂嵐が吹くように見える。どうしても慎重な運転ということで制限速度より落とす感じで走るのだが、そんな私を平気でビュっと追い越していく地元の車。そりゃ、地元で慣れているとはいえ無茶な運転ではないか。

P2246286P2246287右手に見えるのは太平洋。歯舞、珸瑶瑁という、前回バスで通った時に聞き覚えのある集落を過ぎる。そろそろ、北方領土返還を訴える看板が目立つようになる。しっかりとした看板で公的に立てられたもの(千島に生息するラッコのイラストで、やけに柔らかい感じ)のほかに、「島は奪われた」と、殴り書きの書体に毒々しいイラストで立てられたもの(許可を得ていない看板であり撤去を求める警告がなされていた)も目立つ。改めて、北方領土に近づいたことを感じさせる。

P2246290根室駅を出発して40分ほどで、納沙布岬着。まずは岬の碑を見ようとクルマから降りるが、その途端猛烈な風。防寒具で武装していてもそんなの関係ねぇというもので、カメラを構えて踏ん張っていても飛ばされそうだ。北方領土返還を訴える各種の石碑も見るが、この強風ではたまらずすぐにクルマに避難する。

P2246298P2246300それでも本当の本土再東端はこの先の灯台ということで、クルマを先に進める。こちらももちろん横殴りの風。何とか灯台の建物までたどり着くと、灯台が風除けとなってくれて多少は落ち着く。目の前の海は右手が太平洋、左手がオホーツク海ということになり、正面にうっすらと貝殻島の姿を臨むことができる。その向こう、水平線と一帯となったようなのは水晶島になるだろうか。

P2246297目の前の貝殻島との間は正確には「国境」ではないということになるのだが、現実はソ連~ロシアの統治下にあるということであればどうしても「国境の海」を意識せざるをえない。

P2246303灯台を後にし、望郷の岬公園へ。北方領土早期返還の願いをこめたというモニュメント「四島のかけ橋」を眺めた後、岬を見下ろす展望タワー「平和の塔」に向かう。あの笹川良一が立てたというやつである。ところがどうだろう。「年中無休」とあり、開館時間も過ぎているはずだが、入り口の扉は閉ざされたおり、そこに雪の吹き溜まりができていた。冬の間は閉めているのか、あるいは営業を停止した・・・?周りには誰もいないので確認することはできなかった(他の人のブログで、結構最近の記事として「平和の塔に上った」というのを見かけるのだが・・・)。

P2246306「さい果て」を体で感じた後、今度はオホーツク海側に沿って根室市街に戻ることにする。こちらのほうは集落するほとんどなく、ひたすら荒涼とした海沿いを走るのみであった・・・。

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