ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ようこそヨハン!

2009年08月30日 | 友達とわたし
昨日までの鬱陶しい雨が去って、なんとも気持ちのいい、秋の気配が漂う快晴の日曜日。
昨日の半日のマンハッタン行事と、二ヶ月空けて突然やってきた生理のすごさに完全にノックアウトされたわたしは、九時まで大寝坊。
わたしが起きた頃には、旦那は外回りの掃除やら、枯れた木の根っこの処分やら、草引きやらを済ませ、一汗後の朝食を食べ始めたところでした。

「今日は大雨が降った時に水漏れする窓の周辺を修理してみる」

なんとも美しく感動的な予告だこと!
男が家の主になるというのはまさにこういうことなのだと、絵に描いたような変革を遂げた旦那。
あのズボラで、年中昼寝がしたくてしたくてたまらなかった、日本滞在中の旦那は、いったいなんだったのでしょうか?
いや、こっちに来てからも、借家住まいの九年間は、家のことなんかまるで興味ありゃせんがな~な男でした。
それがどうでしょ。ゴミ出しから雑草抜き、果てはご近所さんからはしごを貸してもらっての窓枠の点検と修繕、ときたもんだ。
あ~引っ越して良かった良かった!

午後からは、今だに買わずにいるベッドを見に行こうかということになり、休みの日に買い物に出かけてもいい気になってる旦那の気が変わらないうちにと、せっせせっせと身支度しているところに電話がかかってきました。

「ハイ、ケリーだけど、今日ちょっと遊びに行ってもいい?」

ケリー&ウーヴェ、そして彼らの14ヶ月の息子ヨハンの三人が遊びに来てくれました!
もちろんベッド探しは中止。わたしは慌てて台所だけチャッチャと片付け、三人を迎えました。
ウーヴェはドイツ人。旦那がアメリカに戻るきっかけになった会社の社長であるダンの会社創立時からのパートナーです。
マンハッタンで会社を立ち上げる際に、ドイツに留学していたダンと一緒にアメリカにやってきました。
穏やかで知的で、ウィットに富んでいてとてもお洒落。のっぽで美しいケリーとはインターネットのお見合いサイトで知り合いました。
彼らが四年前に買った家もとても古くてチャーミングです。彼らの趣味はわたし達のそれと合うところがいっぱいあるので、彼らにはぜひ、この家を見てもらいたいと思っていました。

風の流れ、気の流れのいい、すてきな家が見つかって良かったと、心から喜んでくれる二人を見て、とても幸せな気分になりました。
ヨハンはもういつの間にか歩けるようになっていて、ケリーをママ、ウーヴェをパパと呼んでいました。
アメリカではダディ、マミィなのにと聞くと、ドイツではママ&パパなんだそうな。
へ~、それやったら日本と同じやん、と言うと、二人ともびっくり!
日本の片仮名言葉って、ほんとにいろんな所から来ているのがごちゃ混ぜになっていて、それがいい時もあるし困る時もあります。
それにしてもひとの子ってほんとに早い……。

ワイン好きが高じてソムリエの資格を取るための学校に通っているウーヴェ。仕事をしながらの勉強なので大変です。
一回目の記念すべき試験は、ヨハンが生まれたその日にあったそうです。一日半寝ずの付き添いをしていたけれど、気がたっていたので、自分がどんなに疲れているのか全く分からなかったそうな。
それが、喧噪の中の病院から試験場に入り、静かな教室の机の前に座った途端にとんでもない睡魔が襲ってきて、
試験が終わるまではせめて起きていたいと、そればかり考えて、緊張する余裕もなかったウーヴェ。見事、難関で有名な試験をパスしました。
あと6週間で終了試験を受け、それに合格すれば見事ソムリエウーヴェの誕生です。
その彼が選んで持ってきてくれた2004年のリースリングワイン、美味かぁ~!

ヨハンははじめのうち、なかなか笑ってくれなかったけれど、瞬間かくれんぼの芸でちょっと和んだのか、ケタケタっと笑ってくれました。
音楽にかなり興味がある彼、ベートーヴェンの『喜びの歌』のメロディが大好きだというので、ここで点数稼がにゃ~とばかりに弾いたわたし。セコっ!

マンハッタンに通い易いし、静かだし、木がいっぱいだし、いつか近所に引っ越してきたらヨハンにピアノを教えてねと、ケリーママからの予約です。

あの一家が近くに住むようになったらいいなあ。

窓を少しだけしか開けていないのに、外からひんやりとした風が入ってきてちょっと肌寒くなりました。
秋がぐんと近くなったようです。
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日本は変わるのだろうか

2009年08月30日 | 世界とわたし
予想はしていたけれど、それ以上の勢いでもって有権者が投票しに出かけ、そして結果が出た。
アメリカ東海岸でも大きくそのニュースは取り上げられ、旦那も興味深くその記事を読んでいた。

長い長いトンネルの中で、差し込む光を見つけても、それが出口につながらないことが多過ぎて、気持ちはくさり、諦め上手になるばかり。
けれども、人は根本のところで希望を捨てない。命が続く限り、なにがしかの望みを持って生きることができる生き物。

ここアメリカで起こった歴史的な変革。その後のわたし達の暮らしや周りの様子はどうなったか。
別にこれといって大きく変わったことは見当たらない。
失業保険をもらっていた友人が、本来は半年が期限だったところをあと半年増やしてもらえた。
我々のように、この時期に家を買った者には、政府からお礼のような形で80万円の給付金が送られるなどなど。
ほんの一部の、たまたまその時期になにがしかの状況になった者だけに与えられるお金など、変革のへの字も相当しない。

政権がごっそり変わった日本。
けれども、都道府県に住む人々の周りはなにも変わらず、主導権を握る政治家だって同じ顔ぶれなのだから、劇的な変化など起こることはない。


昨日、マンハッタンはアッパーウエストの街をぶらぶら旦那と歩いていた時、美味しそうなベーグルを売っている店にふらりと入った。
「胡麻を二つとミックスを二つ」
そう旦那が注文すると、店の親父がこう言った。
「そんなみみっちい注文はお断り。1ダース8ドルにしたるからガンガン頼め」
店じまいの時間が迫っているので、売れ残りがイヤなんだそうな。
そこで気が大きくなったわたし達、親父の言う通りガンガン注文した。
半分に切って冷凍しとけばいつでも美味しく食べられる。
親父のベーグル、見た目通りの、もっちりカリカリ、とても美味いベーグルだった。これから当分の間楽しめる。



うちは、炊きたてのご飯も、あら熱を取った後、簡単な保存容器にお茶碗一杯分ずつ入れて冷凍する。



はじめのうちはラップを使っていたのだけれど、旦那に叱られて止めた。
旦那はラップを気軽に使うことを毛嫌いしている。そして、プラスチック製の容器を食べ物ごと熱することも。
なので、今はこうやって冷凍する時だけプラスチックを使い、温める時は陶器かガラス容器に移し替えてから。ラップは滅多に使わない。

わたし達はこうして、地道に、コツコツと、自分達の体や環境に良いことを試行錯誤しながら、工夫して生きている。
それはとても小さなことだけど、それがもとになって、気がつけば大きなことにつながることを知っている。
そんな市民の一票一票が投じられた今回の選挙。
弱い立場の人達から救い上げてくれるような政治が行われることを願う今日この頃。

コメント (4)
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