ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ダーリンは外国人

2010年06月28日 | 家族とわたし
ずいぶん前に、「これ、おもしろいよ!」と言って友人が買ってくれた『ダーリンは外国人』。
読みながら、うんうん!そやそや!あるある!わかるぅ~くくぅ~!などという相づちを、いったい何度打ったことやら。

来年で、出会ってから丸20年を迎えるわたし達。
なんでそぉ~なるねん?な言葉や事柄をいっぱい乗り越えたり、適当に無視ったりしながらやってきた年月。

ちょいと前から、もうすでにかなり流行ったり映画になったりしているこの本のことを、先日の日本旅行の際に教えてもらった旦那。
自慢そうに、「『ダーリンは外国人』っていう漫画、知ってる?」と聞いてきたので、「そんなん、もう何年も前からうちにあるし」と言うと、「えぇ~!」と思いっきりびっくりした後、「なんでボクに黙ってたん?」と責めてきたので、「なんべんも言うた!」ときっぱり言ってやった。だって本当だもの。

『抜かれるなら、度肝がいいよね』←「これはトニー氏の格言の中の、わたしの一番のお気に入り」とうっとり顔で言うと、
(それぐらいボクだって……)と言いたげな旦那。うふふ、嫉妬しとる。
『三時のおやつの歌』や『タデ食う虫も好き好きの歌』を作詞作曲し、みたらし団子や納豆蕎麦や高菜漬が好物な旦那にとって、今やトニーはライバル?

ではここで、今夜の我が家のエピソードをひとつ。
夕飯の後で、大好物のスイカを食べておりました。
シンクの前に立ち、大胆にブツンブツンと四つ切りにしたのをスプーンでほじくりながら、おぉ~うめぇ~と独りで楽しんでいると、「ひとりで全部食べるつもり?」と旦那。トニー風に奥まった両目が、すでに不機嫌モード。
しゃ~ないので、お皿に乗っけてテーブルの上に置き、ふたりで交互にほじくることにしました。
あっ……冷て!あっまたっ!……どうしてだか、ひとほじくりするたびに、お汁を飛ばしまくる旦那。
ったく……下手くそなんやから……と思いながら、最後の残りの部分をスプーンでガリガリ削っていると、
「あ、めちゃお汁が飛ぶやん、そんなけすったら!」
けすったら?
スイカの実を口の中いっぱいに頬張ったところのわたしの頭の中に、(けすったら~こすったら~けずったら~あ~よいよい)と、盆踊り風の歌が聞こえてきた。
それが自分でも思いも寄らないほどツボにハマってしまい、口の中のスイカを吐き出さないようしばらく苦悶の表情を浮かべながら笑いこけていた。
日本語は実に難しい。旦那にとってなにが一番聞き取りにくいかって、それは小さな『っ』。これが入っているのかいないのか、それはもう宇宙の真理並みにつかみ所の無い問題なのだ。
痛いは『いたい』なのか『いったい』なのか……そんなことをいちいち考え始めると、もうどんな言葉もどっちなのかわからなくなる。
実際の話、痛い時にもいろいろあって、「痛っ!」「痛いなあ~」「いったいやん!」とそのいろいろに応じて言い方が変わる。
ひとつの動作にしても、英語だと同じ単語で済むものを、その時の雰囲気に合わせて言い回しや単語がまるで違ったりする。
大変だよね~ふふ~ん……お互い、苦労している相手を観察しながら、心の中でそう思う。同情はするけど優しくはしない。

さて……いったい旦那は、どんなことを思いながら読んでいるのだろう。
旦那からしてみれば、『ダーリンは外国人』なわたし。
お互い、この漫画風に描いてみたいことはいっぱいあるのだった……いや、きっと、どんな組み合わせの夫婦にだって、描けりゃ描きたいこといっぱいあるはず。
『ダーリンは大阪人』やら『ダーリンは名古屋人』やら、はたまた『ダーリンは宇宙人』やら『ダージリンはインド人』やら……。
みんながそんなふうに、話をし出したらおもしろいだろうなあ。


追加。
今日のお昼ご飯の時、食後にブルーベリーをパクパク食べていた。
すると、手のひらから一粒、スルリと落ちたブルーベリーが、すっかり完食したきゅうりの酢の物の三杯酢の中にポチャンと入った。
あ~あ、でももったいないし、食べちゃお!と口に入れた。三杯酢のマントを羽織ったブルーベリー。まあ別に食べられなくも無い。
などと心の中で独りごちているわたしの目の前で、旦那がなんと、わざとブルーベリーを数粒、三杯酢の中にポトポトと落とし始めたではないか!?
「なにしてんのよ~?」と呆れるわたし。
「どんな味か興味あるから」
「けど、そんなんわざわざ試さんでも……」
「そんなこっちゃまうみ、凄腕のシェフにはなれんで~」……疲れる……。
うち版『ダーリンは外国人』でした