沖縄ししとう。でかい。ちなみに、この手はわたしの手ではない。わたしの手の親指は、この方のように美しくなくて扇子のように平たくて不細工。
H師匠と一緒にファーマーズマーケットに行った時、きゅうりとししとうを買った。
「きゅうりを味噌につけてポリポリ食べたい」
「ししとうを軽く油で炒めて、醤油をさっとかけて食べたい」
あまりに明快な望みだったし、わたしも久しぶりにそういう、シンプルな野菜料理を食べたくなったので、できるだけ新鮮なのをと、あちこちのテントを回って探した。
キュウリは、アメリカンサイズではない、へたの部分が生き生きしているもの。
ししとうは……う~ん、見つからない。
三つ目のテントで、ししとうとそっくりの、けれども三倍はデカいのを見つけた。
店の人に、何度もしつっこく聞く。
「これってどれぐらいの辛さですか?」
「ああ、それはそれほど辛くないよ。少しピリッとするぐらい」
そうか!それはまさにししとう!ししとう君見っけ!
でもまあ、調子に乗らず、食べたいだけ買おう。縁起のいいところで7本、しめて75セント。安ぅ~!
けれども結局、師匠はきゅうりの胡麻味噌つけで満足して、ししとうは冷蔵庫の中で出番を待っていた。
最近、冷蔵庫の掃除週間に入っていて(←ただ買い物に行ってないだけ、ともいふ)、冷凍庫も冷蔵庫もなかなかいい感じに空いてきた。
そこで今夜は、だぁ~いぶ前に買った冷凍の肉団子と少しくたびれてきた野菜達で、甘酢あんかけを作ることにした。
赤いパプリカと緑のししとう、う~ん、なかなかいい感じ。
炒め油の香り付けのために、ニンニクと生姜とネギをみじん切りする。
パプリカは種を取り除きざく切り。玉ねぎもざく切り。
そしていよいよししとうの出番。
パプリカ同様中の種を取り除き、適当な大きさに切り分けていると、
ん?
なんか喉がいがらっぽい。ゲホン!しばらくするとまたゲホン!
おかしいなあ~、風邪なんかひいてないしなあ~。
そうこうしていると、今度はおでこから汗が流れ落ちてきた。
え?
みるみるうちに汗があちこちに吹き出してきた。なんじゃこりゃ?
その時になってやっと、もしかしてコレか?と思い当たった。
そう、ししとう君……。取り除いた種がシンクいっぱいに落ちている。
恐る恐る、既に切り分けたししとうの端っこをかじってみると、
からぁ~!!
たまたま遊びに来ていたKのガールフレンドのRちゃんにもかじってもらう。
だって、彼女は辛いもの好きだから、辛さを見極めることができるから。
「あ、辛っ!これはだめだよ~まうみ。まうみは辛いの苦手でしょ?わたしでも辛いよこれ!」
まるでハラペーニョ……誰やね~ん!それほど辛ない言うたんは!どこがちょっとだけピリッとやねん!
モノは冒頭の写真とそっくり。写真は沖縄産のししとうで、辛いのに当たる時もあるけれど、だいたいはししとう味の巨大ししとう。
アメリカはなんでもデカいし、だからそれと一緒やろ、と思たわたしが甘かった……。
食べる頃になって、手の甲が軽くやけどしたみたいにヒリヒリし出した。
アロエさんに登場してもらい、やれやれと一息ついた頃、今度は指先の爪の奥の辺りがヒリヒリ。
恐るべし唐辛子。