ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国ヒーロー事情

2010年08月10日 | 米国○○事情
夕飯を作る時には必ずCNNのニュースを観る。というより聞く。
あんたひとりとちゃうで~感が台所に漂うことがとても大切。
なので、別にラジオでもいい。
CDとかの音楽はだめ。ライブでないと。

最後の患者さんが来なかったので、早めに戻って来た旦那。
手を洗い、服を脱ぎ、アンダーウェアマンに変身してテレビを観る。
そして突然「アハハ!」と笑った。

それは先日のこと。
ある航空会社の客室乗務員の男性(38)が、旅客機の乗客の理不尽な振る舞いに怒り、脱出シュートを使って職場放棄し、逮捕された。

事の次第は以下の通り。

『AP通信などによると、この客室乗務員は米ジェット・ブルー航空のスティーブン・スレイターさん(38)。
ペンシルベニア州からニューヨークに向かう機内で9日、荷物の置き場を巡って苦情を訴える女性の乗客から、離陸前と着陸後に再三、悪態をつかれ、殴られて額に傷を負った。

業を煮やしたスレイターさんは、「尊厳と敬意をもって搭乗された皆さん、ありがとう」と機内放送すると、キッチンのビールをつかみ、脱出シュートで機外に立ち去った。その後、迷惑行為などの容疑で逮捕された。

ニューヨーク州の刑事裁判所は10日、保釈を決定。
スレイターさんは停職処分になったものの、インターネット上には、「誰もがやりたいが、出来ないことをやった」と、スレイターさんを支持する書き込みが数時間で1万5000件を超え、米メディアは「職場のイライラを抱える人たちの琴線に触れた」(タイム誌電子版)などと伝えている』


ほとんどが事実だけど、彼が機内放送した言葉はMワードやFワード満載で、そりゃもう強烈だったらしい。
持ち去ったビールは2本。逮捕されたのはクィーンズにある自宅。


ついさきほど、肝気鬱結(Stagnant Liver Qi)のことを記事にしたところだったので、旦那と一緒にわたしも大笑い。
もしそこに旦那が居て、もしそんなことが許されるのであれば、スレイター氏が後ろ手に取り押さえたその女性に『肝気鬱結』治療用の鍼を旦那が打てば、もしかしたら事の顛末は違うものになっていたかも知れない。
などと、好きなことを想像しながらニュースの続きを観た。

もちろんこのご時世だから、即ネットで広がり、「ようやった!」「あんたは正しい!」などと支持するコメントが数多く寄せられ、YouTubeには模倣ビデオやらミュージックビデオまで登場。大騒ぎもいいとこだ。

でもね、『誰もがやりたいが出来ないこと』を出来ないまま、うつうつとしている人達がこんなに多くて、少なくともその人達に、あっつぅ~い日にキリキリッと冷えたサイダーを飲んだ時のような、小さいけれど確実な幸せ(村上さん、またも拝借させていただきました)を与えたことは確か。

生きてりゃいろいろありまんがな……今日も暑かった。






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米国Stagnant Liver Qi事情

2010年08月10日 | 米国○○事情
Kが珍しく朝早くから起きて、同じ時間に朝食を食べました。
いい感じだったのだけど、夏休み明けから始まる大学の最終学年(願わくば……)の学費の支払い手続きがまるで進んでいなくて、そしてそれがどうして進んでいないかというと、旦那からのメールをチェックせずにいるKの怠慢が原因だということで、朝っぱらからお小言が始まりました。

こちらの大学の学費支払いについては、どんなシステムになっているのか丸っきり知らずにいるわたし……。
知らないままで、Tが卒業し、Kがあと1年。すべて旦那がやってくれました。
学生ローンや州からの援助、それから国からの援助などが必要な場合は、そりゃもう面倒くさい書類の申請をしなくてはならなくて、申請をしても、大学の事務所がうだうだしていると、それがちゃんと通ったのか通ってないのかわからないまま新学期を迎え、「え、あなたは授業を受けられませんよ。だって手続きが終わってないんだから」などとシラ~ッと言われた挙げ句に家に戻らなければならなかったりします。
旦那が親としてやるべきことは全部やったので、今度はそれをKが大学に届けたり、自分の書類を記入して申請するのみになっているのです。
ところがそれをKは全くやっていなくて、ずっと黙って待ち続けていた旦那がとうとうキレた、というわけ。

事情は納得できるのだけど、どうも口調がどんどんキツくなってきて、ちょっと余計に怒っている感が無きにしもあらずの旦那。
高温、高湿度の不快指数上がりっ放しの朝だけど、叱られてる方はたまらんわな~と、ちょっと同情しないでもありません。


さて、うちは家長が東洋医学に従事しているので、ちょっとケッタイな言葉がよく使われます。
それが『Stagnant Liver Qi』
片仮名だと、ステグネント リバ チと言っているように聞こえます。
意味を直訳すると、滞った肝臓の気。へへへ、わけわかりませんよね


それではここでちょいと蘊蓄をば。といっても、あっちゃこっちゃ検索して拝借してきたものですが……。

『肝臓』は英語で『Liver』そして、『生命』は英語で『Live』。
英語の語源では『肝臓』と『生命』というのは、共通のルーツを持っていて、『肝臓=生きる人』という意味にもなるそうです。

東洋医学では『肝』が一番、精神的なストレスを受けると考えられています。
ストレスはマインド『精神・感情』の自由なノビノビとした働きを抑圧します。
ストレスによって『肝』としてのノビノビとした働きが抑圧された状態を『肝気鬱結』(←これぞStagnant Liver Qi!)といいます。
イライラとか脇腹・季肋部の張った感じとかが主な症状です。覚えがありませんか?
今でいう心因性の病気とか自律神経失調の病気とかも『肝』と大変深く関わっているようです。


ちょっと余談ですが、ついでに五つの内臓のことをちょいとだけ。

「怒り過ぐれば肝を傷り、喜び過ぐれば心を傷り、思い過ぐれば脾(胃腸)を傷り、悲しみ過ぐれば肺を傷り、驚き過ぐれば腎を傷る」

これは東洋医学の五行理論に基づくもので、五つの臓器(肝、心、脾、肺、腎)の診断、予防、治療法をうまく表現しています。
また、逆の見方もできます。

つまり、このように。

・肝が悪いと怒りっぽくなる。
・心臓が悪いと良く笑うタイプの人が多くみられる。
・脾(胃腸)の弱い人は常に沈み込んだり考え過ぎて思い患いしやすい。
・肺の悪い人は悲しみに沈みやすい。
・腎の悪い人は諸事に恐れおののく。



で、うちではカッと怒りやすかったり、怒る度合いが必要以上だったりすると、「へへ、『Stagnant Liver Qi』だもんね~」などと、自分勝手な言い訳をしながら頭をガリガリ掻くわけです。

どうでしょう、みなさんのおうちでも流行らせませんか?なんちゃって。

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