今日は、Oakeside Bloomfield Cultural Centerの "Music at the Mansion"というコンサートで演奏した。
急に決まったから、伴奏の依頼も急で、楽譜を手にして5日で仕上げ、オペラ歌手さんらとの合わせはコンサートの1時間前、という、
まあ、わたしにとっては、かなりのカオス的毎日が続いた。
で、とにかく、やっとこさ仕上げた曲の楽譜を持って、まずは会場のピアノの点検に行った。
うちから車でほんの10分ぐらいのとこにあるこのお屋敷は、我が町が所有してるので、我々の税金で運営されてるっちゅうことなんやけど、
まあ、いつ来てもびゅ~てぃふる!
正面左側のサンルームに、椅子がぎっしりと並べられていたので、そこに入ってった。
え……?
電子ピアノやんか……。
玄関ホールには、シュタインウェイのグランドピアノがあるっちゅうのに……。
頭がガンガンしてきた。
運営委員の人にちょっと、ダメもとで聞いてみる。
なんとかならんでしょうか?
う~ん……電子ピアノのどこがあかんのでしょうか?
ちょっと凹みながら、とりあえず試弾してみる。
あかん……微妙な表現てんこ盛りの曲が2曲あるのに、どないもこないも対応してくれへん……。
気分はずいぶんと暗なったけど、まあ、こういうこともある。特にここアメリカでは。
というか、ピアノっちゅう楽器のこと、ピアニストのことなんて、理解してほしいと思う方がおかしいのんかもしれん。
などと、ブツブツぼやき&励ましながら、歌手が集まってるミアの家に。
待ってましたとばかりに、まずはバリトンとの合わせ。
うん?
なんかちょっとおかしいと言う歌手さん。
あ、調が違う!
キミのんはヘ長調で、ボクのんは変ニ長調!
えぇ~!!
とりあえず、彼の楽譜を見て弾いてみた。
だいたいはオッケーやったけど、一番盛り上がるとこでどうしてもつっかえてしまう。
う~ん……と唸ってたら、もうひとりのピアニストが「あ、これ、こないだ弾いたわ」と助け舟を出してくれて解決。
いや、解決は解決やけど、わたしはこの曲をかなり練習してたから、なんかめちゃ悔しい……。
まあ、気を取り直して、次。
ソプラノさんの、歌手との合わせが一番難しい曲。
5小節ぐらい歌たとこでまたまた、「なんかおかしい」と言い出す歌手さん。
これまた、渡された楽譜はヘ長調で、彼女のんは変ロ長調……かんべんしてくれ……。
でもまあ、苦手な♯系やないし、♭が一個増えるだけやから……なんとかできそう。
ミアの曲と、モーツァルトのデュエット曲だけ、無事に同じ調で弾けることを確認して、わたしはダッシュで家に戻った。
こういうことは、この業界では日常茶飯事で、ひどい時などは、元々の楽譜をその場で移調して弾かなあかんかったりするらしい。
その日の歌手の体調とかでも、調はコロコロ変わるらしい。
なので、ピアニストは、相当な初見力と、臨機応変に適当に形にできる能力が必要らしい。
今日はその洗礼をバシャバシャ受けたことになる。
10分だけ、家で調の変わった曲の練習をして、旦那と一緒に会場に戻った。
なんとも、慌ただしい演奏会になったけど、とりあえず無事に、オペラシアター専属伴奏者としてのデビューを果たせた。
あ~しんど。