③ 小野氏の作品
珀子氏は繊細な模様、鮮やかな色彩溢れる作品を数多く作っています。
) 文様は、台形や不定形な四角形を隙間無く敷き詰めた物や、適度に間隔を空けた文様、
丸や楕円の文様を散りばめた幾何学的文様(輪郭をボヤカシタ物など)や、紫陽花、葡萄等の
写実的な植物文様、更には鳥等の文様があります。
) 色彩に付いても、透明系の釉、赤(茜)釉系、黄釉系、青釉系の色釉が施されています。
) 透明系の作品: 「釉裏金彩花入」(高 34 X 径 25cm)(1979年)
黄系の作品: 「釉裏金彩黄釉壺」(高 31 X 径 28cm)(1981年)
「釉裏金彩黄釉水指」(高 14 X 径 20cm)(1982年)
青系の作品: 「釉裏金彩青釉鳥文壺」(高 25 X 径 31cm)(1976年)
「釉裏金彩青釉紫陽花水指」(高 16 X 径 22cm)(1980年)
「釉裏金彩青釉壺」(高 29 X 径 37cm)(1982年)
「釉裏金彩葡萄文壺」(高 28 X 径 29cm)(1982年)
赤(茜)系の作品: 「釉裏金彩紅釉壺・茜の森」(高 34 X 径 37cm)(1981年)
) その他、金襴手の作品も多く作っています。組み物の食器類などです。
「金襴手草花文小鉢」(高 8 X 径 13cm)(1981年)などの作品です。
2) 小野 次郎(おの じろう): 1953年(昭和28)~2010年(平成22)
① 経歴
) 陶芸家小野珀子の次男として生まれます。
(尚、長男太郎氏は、陶芸の世界には入らなかった様です。)
21歳の時 有田の窯業試験所で轆轤の修行に入ります。その後祖父が設立した琥山窯に
入り、1977年頃より、本格的に作陶を始めます。
母や叔父(祥瓷=珀子の実弟、琥山窯を経営)の作品や制作方法に触れ、刺激を受けます。
1978年 日本工芸会西部工芸展に入選し、以後連続入選しています。
1979年 第26回日本伝統工芸展で、初入選を果たします。以後連続入選。
1982年 日本工芸会正会員になります。
以後、日本陶芸展、伝統工芸展などで入賞、入選を数多く果たしています。
2000~2001年 「大英博物館佐賀県陶芸展」(大英博物館ジャパンギャラリー:佐賀県、
佐賀県陶芸協会、佐賀新聞社主催)の出品の「釉裏金彩花入」が2001年 大英博物館に
収蔵されます。
2002年 琥山窯を退社し、琥珀陶芸舎を開窯します。
同年 東京・大阪・神戸・新潟・福岡などで個展開催しています。
2010年 佐賀「県陶芸協会展」に次郎氏の遺作、「釉裏金彩壷」が喪章とともに展示されます。
大小の円の金箔が、青釉の下から神秘的に浮かび上る作品になっています。
② 小野次郎氏の陶芸
現在、「釉裏金彩」の技法は、公になっていますが、手間が掛かり、大量生産できない為、
この技法に取り組む人は少ない様です。漆で金箔を貼る行為が一番大変との事です。
1996年 母珀子氏死亡により、金襴手、釉裏金彩の技術を受け継ぐべきと決心します。
それまで、鉄彩を中心にした制作を展開していました。直接母珀子氏より釉裏金彩の手ほどきを
受けていませんが、長年珀子氏の制作過程を目の当たりにした事が、貴重な財産と成っています。
・ 次郎氏はプラチナ(白金)箔を使った銀彩も用いて、金彩とは違った味わいを表現しています。
「釉裏白金彩壺」等があります。
次回(上出喜山)に続きます。