わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代陶芸142(坪井明日香1)

2012-06-17 19:36:23 | 現代陶芸と工芸家達

女性陶芸家の地位向上を目指し、グループ「女流陶芸」を主宰しながら、所属する新匠会で活躍し、

昭和40年代に、前衛作品に転向した京都在住の作家に坪井明日香氏がいます。

1) 坪井明日香(つぼい あすか): 1932年(昭和7)~

 ① 経歴

   ) 梵鐘の研究家で、民間考古学者の坪井良平の長女として、大阪市に生まれます。

      1944年 大阪市立常盤小学校卒業後、東京に移り住みます。

      1953年 自由学園を卒業します。京都泉涌(せんにゅう)寺の釉彩工芸で、基礎を学びます。

       同年、新匠会に「蘭の花の図皿」を出品し、以後毎年出品する様になります。

   ) 1954年 富本憲吉に師事します。新匠会展に出品し、新匠賞と富本賞などを受賞します。

      1956年 新匠会会友になります。

      1957年 全国の女流陶芸家に呼びかけ、「女流陶芸」を結成します。

       以後「女流陶芸展」に毎年出品します。

      1959年 新匠会会友努力賞を受賞し、同会会員になります。同年神戸大丸で個展を開催します。

       注: 新匠会とは、1947年 富本憲吉を中心に「新匠美術工芸会」として発足しましす。

        創作による工芸作品の発表を目的としている在野の工芸団体です。

        第1回新匠美術工芸会の公募展が、同年、東京日本橋高島屋で開催されましす。

        以後毎年公募展が開催されています。1951年 「新匠会」と改名します。

      1961年 「朝日陶芸展示」に入選します。

      1965年 「女流陶芸展」(毎日新聞社主催)に招待出品します。

    1966年 訪中日本京都工芸美術家代表団の一員として、50日間中国の古い陶磁器を見て

       回ります。(この事が後の坪井が前衛陶芸に向かう切っ掛けになります。)

      1970年 「現代工芸ーヨーロッパと日本展」(京都・東京国立近代美術館主催)に「ふろしき

       A・B」を招待出品します。

      1971年 「ファエンシア国際陶芸展示」に「キモノデイマニカA・B・C・D・E」を出品し、ファエンシア

        国際陶磁博物館と、ローマ日本文化館に収蔵されます。

        同年、「現代の陶芸ーアメリカ・カナダ・メキシコと日本展」(京都、東京国立美術館主催)に、

        「笛師の戯れA・B・C」を招待出品し、京都国立近代美術館のお買い上げとなります。

        「第一回日本陶芸展」(毎日新聞社主催)に、「袖シリーズA・B」を出品します。

      1972年 新匠会に「女のおしゃべり」を出品し、富本賞を受賞します。

       尚、1976年 新匠会を退会します。

      1973年 「現代陶芸の鳥瞰(ちょうかん)展」(京都近代美術館主催)に彼女の代表作とも言える

       「歓楽の木の実」と「禁断の木の実」を出品します。両作品とも京都近代美術館の買い上げと

       なります。

      1976年 京都朝日画廊での個展で、「女・しずく・地図」シリーズの作品を発表します。

      1978年 作品「不死鳥」が、国際交流基金の買い上げとなります。

       同年 帝塚山短期大学陶芸の教授に就任します。

      1980年 「現代陶芸百選展示」(日本経済新聞社主催)に、「歓楽の木の実」を出品します。    

    ) その後も、「日本陶芸展」(毎日新聞社主催)、「クレーワーク展」(西部百貨店主催)、

      「アート・ナウ70~80年」(兵庫近代美術館主催)、「緑鬼展」(陶千房画廊)、

      「国際陶芸展」(国際交流基金主催)、「現代女流美術展」(上野の森、箱根彫刻の森美術館)、

      「京都の作家展」(福井県立美術館)、「女流陶芸in Tokyo」(東京東急百貨店)、

      「現代の陶芸1950~1990」(愛知県立美術館)、「現代京都の工芸展」(京都文化博物館)、

      「京の工芸1945~2000展」(京都・東京国立近代美術館)など、多数の展示会に出品して

      います。

   ) 海外でも「カナダ国際陶芸展」、「国際陶芸展」(ドイツ)、「現代日本陶芸展」(ハワイ)、

      「日本陶芸展」(ベルギー)、 「日華現代陶芸展」(台北)、「ユーゴスラビア国際陶芸展」など

      諸外国で作品を発表しています。  

     1984年 フランス国立セーブル製陶所製作アトリエに招聘され、渡仏します。        

   ) 個展は京都大丸(1969)、大阪大丸(1967)、東京大丸(1961)、京都朝日画廊(1976)、

      銀座和光(1982)、大雅堂(1983)等多数開催しています。

    2004年 平成16年日本陶磁協会賞の金賞を受賞します。

  ② 「女流陶芸」の結成

   ) 1953年 京都で陶芸修行を始めた頃は、作品は共同窯で焼いており、女人禁制で女性蔑視の

      風潮が強く、窯の近くにも近寄れない女性差別がなされていた様です。

      そんな環境の中で、新匠会の会員にまで、上り詰めます。

   ) 1957年に彼女の呼びかけで、我が国初の女性集団「女流陶芸」が結成されます。

      女性作家は 当初7人で後に11人になります。そのメンバーは以下の女性です。

      会員=坪井明日香、荒木薫、伊藤みちよ、塩冶友未子、奥田知子、桜井智子、高野好子、

          中島敬子、長谷川園恵、安原幸子、山内紅子、吉田里香の女性達です。

   ) 十年後に、毎日新聞社主催の「女流陶芸」公募展として、開催される様になります。

 ③ 坪井明日香氏の陶芸

以下次回(坪井明日香2)に続きます。

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