わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土25 化粧土を用いた技法2 飛鉋(とびかんな)1

2013-11-02 21:43:48 | 陶芸入門(初級、中級編)

化粧土を使った技法に飛鉋と呼ばれる方法があります。

古くは中国の北宋時代(960~1127年)の磁州窯で見られる技法で、我が国では、小鹿田焼

(おんたやき、九州、大分県日田市)が著名な産地になっています。

  注: 小鹿田焼: 飛鉋等の陶芸技術が、1995年(平成7年)に国の重要無形文化財に指定

     されています。

1) 飛鉋とは化粧土を施した作品に、弾力性の有る鉋(かんな)を当て、轆轤を回転させながら表面を

   規則的に削り取る装飾方法です。別名「踊箆(おどりべら)」、「撥箆(はねべら)」などと呼ばれて

  います。

2) 飛鉋の技法

 ① 飛鉋を施 し易い作品。

   飛鉋が作品に均等に当たる為には、轆轤作業による左右対称の皿類や壷、花瓶などが向いて

   います。表面も綺麗に仕上げた物で、作品の大きさも、大きめ(又はやや大きめ)の方が作業が

   し易いです。

 ② 轆轤挽きした作品に、色化粧土を刷毛塗りします。

   今回は白化粧土の上に、黒化粧土を刷毛塗りし、黒地に白模様の鉋痕を残す方法に付いて

   述べます。 尚、一番簡単なのは、素地に色の異なる化粧土を塗り、化粧土の地に素地の色の

   鉋痕を残す方法です。

  ) 不要な轆轤目は付けない様にします。又は、必要に応じて削り取ります。

  ) 高台まで削り終えたら、白化粧土を次に黒化粧土を塗ります。

    a) 皿類の場合、内側のみの場合と、内外の両側に飛鉋の模様を施す場合があります。

      内外両方に施す場合には、外側を先に塗り、次いで内側に化粧土を塗る方が安全です。

    b) 皿類を逆さにして、手回し轆轤上の中央部分にシッタ(湿台)に載せ、濃い目の白化粧土を

      轆轤をゆっくり回転させながら、刷毛で塗っていきます。 作品全体を塗る場合と、口縁と

      高台部を塗り残す方法もあります。但し、縁口まで白化粧土を塗ってしまうと、水分で

      作品が崩れる恐れがありますので、出来れば塗らない方が安全です。

      轆轤上に置いた時に、作品の中心が出ていないと、「塗りむら」や化粧土の厚みに

      「バラツキ」が生じます。

      更に、数度塗り重ね「塗りむら」を無くし、且つ化粧土の厚みを整えます。

    c) 底に板を当て上下をひっくり返します。その際、口縁部は「シッタ」で支えるか、作品の

      高台を持って別の板にそのままの状態で移動し、上下の板で挟んでひっくり返します。

    d) 皿類の内側に白化粧土を刷毛塗りします。

       この場合も、縁には化粧土を塗らない方が安全です。

  ③ 内外に塗った化粧土をドライヤーで速やかに乾燥させる。

    時間の掛かる自然乾燥では、乾燥する迄の間に、化粧土が下に落ちて動いてしまい、化粧土の

    厚みに「バラツキ」が出てしまいますので、早く乾燥させる為に、ドライヤーを使います。

    その際、作品全体が均等に乾燥する様に、手轆轤などで回転させながら乾燥させます。

  ④ 白化粧が触っても「べとつかない」程度に乾燥したら、その上に黒化粧土を塗ります。

     早く黒化粧土を塗ると、白黒の化粧土が混じり合い、濁った色化粧土に成りますので、注意が

     必要です。白化粧の上全てに刷毛塗りする方法が有りますが、白化粧土の一部をあえて残し

     黒地に飛鉋文様を施す他に、白い地を残す方法も捨てがたい趣があります。

以下次回に続きます。

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