わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土29 化粧土を用いた技法3 打ち刷毛

2013-11-06 22:36:09 | 陶芸入門(初級、中級編)

1) 打ち刷毛(うちばけ)。

  生(素焼き前)の作品の表面に化粧土の付いた刷毛を、細かく打ち付ける事で規則的な文様を

  出す法です。一般に大皿の様な平たい作品の内側、又は内外に施す場合が多い様です。

  手轆轤の上に作品を載せ、ゆっくり回転させながら刷毛を置いていくか、もしくはある程度の力で

  刷毛を打ち付けた、放射状の文様が良く見受けられます。

   ① 作業方法は以下の通りです。

   ) 皿などの内側と外側の両方に打ち刷毛を行う場合、外側から先に行うと、作品を壊す恐れが

      少なく成ります。ここでは内側のみに行う場合に付いて述べます。

   ) 手轆轤上で作業すると、放射状の文様を描く事ができますので、作品を轆轤の中心に

       置きます。

   ) 刷毛の幅と毛の量によって、文様の長さと幅が決りますので、模様の形や太さ、長さ

       などに応じて刷毛を用意します。

   ) 色化粧土(白色が多い)を皿の内側に刷毛で、中央から外側に向けて均一の厚みに塗り

      ます。 厚くしようとして、力を加えると、逆に土を剥ぎ取る事になります。数回に分けて塗る

      事です。 尚、濃度が流れ落ちる程、ゆるくてはいけません。

   ) 直ぐに選んだ刷毛に同じ化粧土を付け、轆轤を回転させながら、トントンと打ち付けながら

      放射状の線を間欠的に付けていきます。 刷毛を強く打ちつけた部分は、化粧土が周囲に

      逃げ化粧土が剥ぎ取られて肉薄になり、素地の一部が現われます。

   ) 化粧土を付けた刷毛を置いて行く様にすると、その刷毛の部分は、化粧土を盛る事に

      なります。即ち、強く叩くとその部分は凹んで薄くなり、弱く置いていくと化粧土を付け加え

      盛り上がる事になります。

  ② 打ち刷毛の注意点。

    ) 器全体に塗る化粧土は、やや緩めの方が土が移動(逃げる)し易いですので、塗った後

       手早く刷毛打ちをする必要があります。

    ) 逆に、化粧土を盛る場合には、最初の化粧土がある程度乾燥した後の方が効果がでます

    ) 内外に施す場合には、外側に打ち刷毛をした後、完全に乾燥させてから、内側の作業に

       取り掛かる必要があります。さもないと、作品が水分を吸い過ぎ作品が壊れる恐れが

       大きくなります。

    ) 生素地の時に行いますので、化粧土を打ち付ける際、力が強過ぎれば作品を壊す事に

        なります。又、刷毛の弾力性も影響します。硬めの刷毛は効果的ですが、作品に衝撃を

        与える事になりますので、ある程度腰の弱い刷毛を使います。

  ③ 打ち刷毛のバリエーション。

    ) 刷毛の一端を中心に向けて作業すると、放射状の線が現れます。そしてその線の外側は

       円形になります。刷毛の角度を変化させれば、文様も変化します。風車の様にねじれた

       線にする事も可能です。その他、ジグザク文様など好みの形を付ける事もできます。

    ) 今までは器全てに、化粧土を塗ってからの作業としましたが、打ち刷毛のみで化粧土を

       塗る方法もあります。即ち、一部重ね合わさる様にして打ち刷毛を行うと、その部分のみが

       肉厚になります。逆に塗り残しながら塗る事により、素地が現れます。

    ) 打つ刷毛と他の装飾との組み合わせ。

       竹箆(へら)等で、同心円状に数本の線を掻き落としたり、口縁周辺に櫛目などを入れ

       模様に変化を持たせる事も出来ます。

次回は「スリップウエアー」に付いてお話します。       

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