goo blog サービス終了のお知らせ 

わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土30 化粧土を用いた技法4 スリップウエア

2013-11-07 21:54:08 | 陶芸入門(初級、中級編)

1) スリップウエアとは。

  スリップは泥漿(でいしょう)化された化粧土の事で、「エンゴーベ」とも呼ばれています。

  スリップウエアは、紀元前から中国や中東で考案され、その後朝鮮半島やイスラム陶器に取り入れ

  られます。17~18世紀には、英国で制作されていますが、産業革命の大量生産の陶器に押され

  技術は衰退していきます。20世紀に入り濱田庄司氏らによって再発見され、民芸陶器に取り入れ

  られる様になり、現在に至っています。

2) スリップウエアのやり方。

   単に化粧土の上に別の色化粧土を線状、又は細い面で網目文様や「ぐにゃぐなした」曲線に

   塗り重ねて文様を描く方法もありますが、一工夫して、趣ある作品を作りたいものです。

  ・ 伝統的なスリップウエアに付いて述べます。  

   白化粧土と色の異なる複数の色化粧土、鳥の羽の軸や細い竹串、釘などを用意します。

   いずれも、化粧土を引っ掻く用具です。

 ① 大皿など口径の広い作品や、平板な板状の作品に、白化粧土を流し掛け又は刷毛塗りします。

    大皿に仕上げてからスリップウエアを施すと、縁の立ち上がりが邪魔になりますので、丸い

    円盤を轆轤挽きし、スリップウエアを施し終了後に縁を持ち上げ、皿状にする方が模様が

    綺麗に出来ます。

 ② スポイトや絞り袋(料理で使う物)に、好みの色化粧土を詰め準備完了です。

  ・ 化粧土を途中で継ぎ足す必要が無い程度の、量が入る必要があります。

  ・ 当然、小さな力でもスポイト等から色化粧土が絞り出される程度に、軟らかく無ければなりま

    せんが、軟らか過ぎて自然に流れ出るようですと、作業が出来ません。

  ・ スポイト等で線を描く場合、轆轤を使って同心円状に描いたり、螺旋状に描く方法や直線で

    平行線を描く方法などがあります。

  ) スポイト等で同心円、又は渦巻き文を描く。

   a) 綺麗な同心円や渦巻き文を描くには、スポイト等は両手でしっかり保持し、手が「ぶれない」

     事が大事です。轆轤をゆっくり回転させながら、化粧土を絞り出します。

   b) 中心から外側に向かって描く方法と、外側から中心に向かう方法があります。

     中心部は必ずしも綺麗に中心点を塗る必要はありません。むしろわざと外し作品の堅苦しさ

     を除去します。(余りにも規則的過ぎると堅苦しくなります。)

   c) 複数の色土を使う場合、各化粧土は隙間を開ける必要があります。

      線同士は接触しない様にします。

  ) 羽根軸(鳥の羽の軸)や竹串を使い中心より、外側へ放射状に軽いタッチで引っ張ります。

     スポイト掛けした化粧土は伸びて、尖った凸状の模様になります。

     羽根軸などの移動方向によって文様も変化します。

  ) 平行線を多数スポイト掛けし、上記と同様に羽根軸などで、線に直角に軽く引っ張れば、

    上の色化粧土が移動して、尖った凸状の文様を多数持つ、直線の文様を得る事が出来ます。

 ・ 模様を施したら素焼き後、透明釉を掛けて焼成します。

  一般に酸化焼成の方が、色良く焼き上がります。

 尚、黒化粧土や茶色の化粧土を塗った後、白化粧土でスポイト掛けして、色違いの器を作る事が

 出来ます。

以下次回に続きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする