化粧土特に白化粧土は色の付いた素地の表面を覆う事で、見栄えを良くする目的で行われる様に
成りました。その他、素地を白くする事で、絵を施すと絵の具の色がより明るく鮮明になりますので、
絵を描く際に積極的に行われています。下絵又は上絵であっても状況は一緒です。
その際、塗った痕が残らない粉引きの技法が理想的なのですが、作品を壊す恐れがあります。
そこで白土を刷毛で塗るとより安全なのですが、刷毛目が出てしまう欠点があります。
(素焼き後に粉引き行う方法もありますが、素地との一体感に欠け、出来上がりを好まない人も多い
様です。)
1) 布目(蚊帳目)の技法。
刷毛目を消す方法と共に、素地の表面に布目を付ける事で変化が出、その上に描く絵も落ち
着いた感じになります。
その方法については、当ブログ(2012-03-11)の現代陶芸69伊藤東彦(いとう
もとひこ)氏:1939年(昭和14) ~で取り上げていますので参考にして下さい。
・ 要約すると、素焼きした素地に強く絞った濡らした蚊帳を張り、その上から白化粧土を塗り、
乾燥後に蚊帳を外します。白地に蚊帳目の痕が残ります。この状態で更に素焼き後に絵付け
する方法です。透明釉を掛けて焼成します。(酸化焼成が良い)
2) 型紙の模様を写す方法。(吹き墨の技法と同様の方法です。)
素地の上に型紙を置き、その上から化粧土を刷毛塗りする方法です。この方法は、型紙部分に
化粧土を塗る方法と、化粧土を塗らない方法があります。
① 化粧土を塗らない方法は、型紙をそのまま置いて上から化粧土を塗れば、型紙部分が塗れ
ません。 型紙内に切り抜き部分があれば、その部分には化粧土が残ります。
② 化粧土を塗る方法は、紙面の中に模様をくり貫く方法で、くり貫いた部分に化粧土が残ります
模様内に細かい模様を付け加えるには、細かい型紙を置くよりも筆で描いた方が確実です。
3) 彩延(さいえん)技法について。 尚、彩延とは色を付けた土を言います。
(実際の漢字は「土偏に延の字」で、良く練った土を表します。)
楠部彌弌(くすべやいち)氏 1897‐1984(明治30‐昭和59)が開発した独自の技法です。
磁器土の素地に、色磁土を泥漿(でいしょう)した化粧土で、草花や果実等の文様を描く方法です
薄く色を付けた磁土を、漆塗りの如く何度も塗っては乾かし、塗っては乾かしを繰り返し、文様を
盛り上げて仕上げる技法です。尚、楠部彌弌氏は1978年文化勲章を受章しています。
最後に、化粧土を使う方法では、色々問題が起こり易いです。しかし、化粧土を使う事で新たな表現の
仕方が出来る可能性を秘めています。問題を克服して新たな装飾方法を見つけて下さい。
以上で化粧土の話を終わります。次回より色土に付いてお話します。