化粧土は自作も可能ですが、市販されている化粧土を使う事もできます。市販の化粧土には、刷毛目
用と粉引(こひき)用の物が有りますが、「掻き落とし」や「飛鉋」には、厚く掛ける事が出来る刷毛目
用の物を使います。
2) 飛鉋の技法。
⑤ 壷や花瓶などの袋物の飛鉋の技法
) 作品は筒状に挽き上げてから、胴を膨らませて作ります。飛鉋の邪魔になる轆轤目は残し
ません。削れる程度に乾燥させてから、底を削ります。
) 底削りが終了したら、直ぐに色化粧土を刷毛で塗ります。
a) やや濃い目の白化粧土を使い、下側から塗っていきます。即ち、亀板や「シッタ」を使い轆轤
上に逆さに伏せ、ゆっくり回転させながら幅広の刷毛で塗ります。
下側が塗れたら、上下を逆にして上側を塗ります。上下の境目は目立たぬ様に丁寧に
塗り合わせます。塗り終えたら直ぐにドライヤーを当てて乾燥させます。
下側から塗る理由は、上向きでは化粧土が下に垂れ、塗り難くなる為です。
b) 白化粧土が乾燥し、表面の艶が無くなったら、同様の順序で黒化粧土を掛けます。
更に、ドライヤーを当て乾燥させます。
3) 飛鉋(とびかんな)を作る。
① 材料: 市販されている鉋用の帯鋼や、梱包用の帯鉄を30cm程度の長さに切断した物を
使うと良いでしょう。その他、バネ性のある材料が入手可能ならば、それらも試します。
横幅は刃の部分の弾力の強弱に関係しますので、幅広、幅狭など数種用意するのも良い
事です。尚、「焼き入れ」した材料は加工し難いです。
② 加工: 最初に帯鋼の端面をグラインダー又はダイヤモンドヤスリ(100円ショップで市販されて
います)を用いて、一直線状に削り刃を付けます。
又、端面全体を緩やかなカーブを付けた刃に加工した鉋も用意します。
次に、帯鋼の先端3~4cmをペンチを使って緩やかなカーブ(R)で90度に曲げたます。
その際、弾力性がありますので、90度以上に曲げなければ成りません。(戻りで90度に
します。) 注: 角の「R」を小さくすると、帯鋼に「ひびや割れ」が生じますのでなるべく
大きい「R」にします。鉋の長手方向の中央部をやや山状に膨らませ、弾力性を持たせます。
刃 とは反対側の端面をやや曲げて持ち手を作ります。
4) 飛鉋の原理と飛鉋模様の種類。
① 鉋の刃が器(作品)に食い込むと、轆轤の回転で弾き飛ばされ、器より離れます。鉋には弾力
性がありますので、再び器に戻り食い込む事に成ります。即ち、鉋は振動(バイブレイション)を
おこし、連続的に文様を刻みます。食い込んだ部分は表面の化粧土を剥ぎ取り、下の色土が
表面に現れます。
② この連続模様は、鉋の振動数によって文様と文様の間隔が決ります。
振動数は、弾力の強弱と持ち手と刃の距離に関係します。即ち、弾力性が強い場合には、
間隔が短くなり、持ち手と刃の距離が短い程、振動数は増え、文様間の間隔が短くなります。
この逆では間隔が長くなります。
③ 鉋の種類や鉋の刃の当て方の違いによって、色々な鉋模様を付ける事が出来ます。
線文(せんもん)、 流れ線文、 交差線文、 くいちがい線文、 三角点文、 渡り鳥文 などが
あります。
次回、これらの文様の付け方に付いて述べます。