わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土31 化粧土を用いた技法5 三島1

2013-11-09 17:18:33 | 陶芸入門(初級、中級編)

三島(みしま)は高麗青磁の流れを汲む技法で、一般には作品の表面に、印花文を施し、化粧土で

象嵌をする方法を言います。その他に、箆(へら)で文様を彫り込む彫三島や、釘(又は釘状の物)を

用いて模様を彫り込む、釘彫(くぎぼり)三島の技法もあります。

1) 三島の技法

  ① 三島を施す作品は皿類、壷類、茶碗類(抹茶々碗やご飯茶碗)、市販の土鍋など多彩です。

    特に、大皿など面積の大きな作品に向いています。

  ② 赤土交じりの土に印花を捺し、白化粧を施すと印花と地の色の対比が綺麗に見えます。

     即ち、印花部分は凹みで、地よりも白化粧が厚く掛り濃く発色し、浮き出てきます。

  ③ 作品はやや肉厚に作ります。

     細かい印花を連続r的に多数押し当て、凹みを作りますので、肉厚の方が印も深くはっきり

     捺す事が出来、器の変形も少なくなります。

2) 作業手順

  ① 一般に、轆轤挽きした作品を使います。勿論、手捻りでも可能ですが、表面が綺麗な面

    (平面、曲面)に成るのは、轆轤挽きが優れています。

  ② 印を捺すタイミングは粘土がやや乾燥し、素地の形が崩れない状態の時行います。

  ③ 印花文の輪郭がはっきり出す様に捺す。

     作業に取り掛かる前に、構想を練って置く必要があります。赤インクで当たりをつけます。

     印を捺す範囲、印の種類、印を捺す間隔、印以外の装飾を加えるか等を決めておきます。  

   ) 印の捺(お)し方。

      印を捺す前に、捺したい位置に片栗粉を刷毛で塗って、土離れを良くします。

      場合によっては、印面に片栗粉を付ける場合もあります。

     a) 平面の器等には、印面が平らの物を使います。壷の側面の様に、弱い凸状態の器には

       凹みのある印を使い、逆に凹みのある面(茶碗などの内側など)に捺印する為には、弱い

       凸状の印を使います。勿論、印の捺し方により、平面の印で代用する事も可能です。

     b) 印を器面に直角に押し当て、少し凹ませてから印の角が一周する様にやや力を入れて

       捺します。更に、中央に力を入れ直角に捺印します。 裏から手指で支える事で、力を

      入れる事ができます。印の深さが斜めの場合にも、綺麗な模様に成りません。

     c) 印面に方向性(上下関係など)が有る場合には、捺す方向を間違わない事です。

   ) 印花模様の見所は、印花の輪郭がはっきり出ている事と、印花の配置です。

      輪郭がはっきりしない原因は、印花の凹みが少ない事と、印花の角が崩れる事です。

     a) 凹みが少ない場合は、土が乾燥し過ぎた為か、捺す力の不足です。

        やや固くなった場合には、印は深く入りません。その場合、スポンジ等に水を含ませ

        器を濡らし、しばらく時間を置いてから行います。

        更に、印の捺し方が悪い時にも、深みが出ません。印の角をしっかり出す様にします。

     b) 印花の配置は好みにもよりますが、印花の端が重なり合う様に密に印花する方法と、

       適度に散りばめる方法があります。細かい模様の印花では重なり合うのも良いのですが、

       大きめの印花では、重なり合うと「うるさい」感じになり、模様も崩れますので、なるたけ

       重なりを避けた方が良いかもしれません。

   ④ 印花の作業を行った直後に、化粧掛けを行います。

 以下次回に続きます。

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