わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土43 色土の技法3 練上手(練込)2 板皿1

2013-11-25 20:43:05 | 陶芸入門(初級、中級編)

練込は、象嵌が作品の表面に色土を埋込むのと異なり、数種類の色土を練込む装飾方法で、中国

宋の時代より制作されている技法との事です。

練込の工程は大きく分けて、積む、切る、削るが主要な作業となります。

中でも積むと切る作業が、作品の良し悪しを決める要素となります。一見作品造りの準備段階の様に

思われますが、単に準備以上の重要な役割りがあります。

2) 板皿を作る。

  練込の特徴として、色土が外部の力によって、模様が容易に伸び縮みして変形する事を利用した

  装飾技法と言える事です。

 ① 色土が平行模様の皿。

  ) 同じ大きさのタタラ状の色土を模様に従い、数段重ね合わせて積み上げます。

     その際、空気を閉じ込めない様にします。場合によっては上面を水で軽く濡らしながら重ね

     合わせていきます。 各色土の厚みが模様の幅に成りますので、どの様な模様にするかは、

     予め考えておく必要があります。 重ねる段数は模様の数(平行線の数)にします。

     皿の両端の色も大切な要素ですので、どの様に配色するかも考慮する必要があります。

  ) 重ね合わせた土の塊を締める。

     全体を叩いたり、テーブル上に落としたりして、土の密着を良くします。

     特に重ね合わせた部分から、「ひびや割れ」が入りやすいので、しっかり締めます。

     重ね合わせの枚数が多い場合には、万力の様な工具を使い締める事もあります。

     又は一枚重ねたら締め、更に上に重ねて締める作業で対応する場合もあります。

  ) 土の塊の耳の部分を切り落とし整形します。

     次の作業後に耳を切り落とす事も可能ですが、一度に切り落とす方が、作品の大きさが

     揃い易いです。

  ) 積み上げた土の塊を横倒しして、タタラ板を使って模様の直角方向に6~10mm程度の

     肉厚に糸で切り取ります。肉厚は作品の大きさによって、変化させます。

     同様にして数枚~十数枚の板を切り取ります。

  ) 切り取ったタタラの肉厚方向の四面(前後左右)から力を加え、土を締めます。

     締める際、模様に平行に締めないと平行模様が崩れます。

  ) 真平らの板の四辺を若干持ち上げ、皿の形状にします。

     持ち上げる方法には、枕を置く方法と、周囲を縮める様ににして上に持ち上げる方法が

     あります。枕は粘土紐を使ったり、紙を数回折って厚みを付け枕にします。

     周囲を指で摘み、摘んだ指を近付ける様にすると、摘んだ部分は上に上がってきます。

   ) 削れる程度に乾燥したら、カンナ等を使い表面を一皮削ります。削る事で表面の模様が

     しっかり出現します。切れるカンナを使い一気に掻き取り、削り跡は残さない様にします。

   ) 更に、上記皿の左右の端を摘み、圧縮する事により弓なりの模様を作る事が出来ます。

  ② 曲線の平行線を持つ練込皿。

    色土は平らではなく、歪ませた(波打った)面で積み重ねると、その面に沿った曲面の平行

    模様を作る事ができます。

   ) 希望する色土の曲線を決めます。

   ) 厚み30mm以上のタタラ板を作り、その厚み方向に切り糸を入れ、波を打たせながら

      二分します。波の形が模様の曲線に成ります。即ち、片面は平坦で反対側が波を打った

      形状のタタラは二枚(A、B)できます。この二枚のタタラの間に色土重ね合わせて積み上げ

      ます。片面を平らにするのは、端面を平らにする事で、土を締める際、均等に圧が掛る様に

      する為です。

   ) 各色土を上記タタラの1枚(A)の上に積み上げまあす。

   ) 必要な数の色土を積み上げたら、タタラ(B)が最上段に成る様に積みます。

       色土のタタラは歪んでいますが、上下の面は平坦ですので、塊を圧縮し易いです。

    後は①の)~)と同様な作業を行います。 

以下次回に続きます。

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