練込は、象嵌が作品の表面に色土を埋込むのと異なり、数種類の色土を練込む装飾方法で、中国
宋の時代より制作されている技法との事です。
練込の工程は大きく分けて、積む、切る、削るが主要な作業となります。
中でも積むと切る作業が、作品の良し悪しを決める要素となります。一見作品造りの準備段階の様に
思われますが、単に準備以上の重要な役割りがあります。
2) 板皿を作る。
練込の特徴として、色土が外部の力によって、模様が容易に伸び縮みして変形する事を利用した
装飾技法と言える事です。
① 色土が平行模様の皿。
) 同じ大きさのタタラ状の色土を模様に従い、数段重ね合わせて積み上げます。
その際、空気を閉じ込めない様にします。場合によっては上面を水で軽く濡らしながら重ね
合わせていきます。 各色土の厚みが模様の幅に成りますので、どの様な模様にするかは、
予め考えておく必要があります。 重ねる段数は模様の数(平行線の数)にします。
皿の両端の色も大切な要素ですので、どの様に配色するかも考慮する必要があります。
) 重ね合わせた土の塊を締める。
全体を叩いたり、テーブル上に落としたりして、土の密着を良くします。
特に重ね合わせた部分から、「ひびや割れ」が入りやすいので、しっかり締めます。
重ね合わせの枚数が多い場合には、万力の様な工具を使い締める事もあります。
又は一枚重ねたら締め、更に上に重ねて締める作業で対応する場合もあります。
) 土の塊の耳の部分を切り落とし整形します。
次の作業後に耳を切り落とす事も可能ですが、一度に切り落とす方が、作品の大きさが
揃い易いです。
) 積み上げた土の塊を横倒しして、タタラ板を使って模様の直角方向に6~10mm程度の
肉厚に糸で切り取ります。肉厚は作品の大きさによって、変化させます。
同様にして数枚~十数枚の板を切り取ります。
) 切り取ったタタラの肉厚方向の四面(前後左右)から力を加え、土を締めます。
締める際、模様に平行に締めないと平行模様が崩れます。
) 真平らの板の四辺を若干持ち上げ、皿の形状にします。
持ち上げる方法には、枕を置く方法と、周囲を縮める様ににして上に持ち上げる方法が
あります。枕は粘土紐を使ったり、紙を数回折って厚みを付け枕にします。
周囲を指で摘み、摘んだ指を近付ける様にすると、摘んだ部分は上に上がってきます。
) 削れる程度に乾燥したら、カンナ等を使い表面を一皮削ります。削る事で表面の模様が
しっかり出現します。切れるカンナを使い一気に掻き取り、削り跡は残さない様にします。
) 更に、上記皿の左右の端を摘み、圧縮する事により弓なりの模様を作る事が出来ます。
② 曲線の平行線を持つ練込皿。
色土は平らではなく、歪ませた(波打った)面で積み重ねると、その面に沿った曲面の平行
模様を作る事ができます。
) 希望する色土の曲線を決めます。
) 厚み30mm以上のタタラ板を作り、その厚み方向に切り糸を入れ、波を打たせながら
二分します。波の形が模様の曲線に成ります。即ち、片面は平坦で反対側が波を打った
形状のタタラは二枚(A、B)できます。この二枚のタタラの間に色土重ね合わせて積み上げ
ます。片面を平らにするのは、端面を平らにする事で、土を締める際、均等に圧が掛る様に
する為です。
) 各色土を上記タタラの1枚(A)の上に積み上げまあす。
) 必要な数の色土を積み上げたら、タタラ(B)が最上段に成る様に積みます。
色土のタタラは歪んでいますが、上下の面は平坦ですので、塊を圧縮し易いです。
後は①の)~)と同様な作業を行います。
以下次回に続きます。