色土を使った技法は色々ありますが、ここでは2色以上の土を使った作品の作り方をお話します。
但し、色土を使う技法は、無駄になる土が多くなるのが欠点です。
1) 鳴海(なるみ)織部。
白土と赤土をはぎ合わせ(接合)て作る方法に、美濃(岐阜県)の鳴海織部があります。
手付き鉢や向付、茶碗などが代表的な作品です。
① 鳴海織部の特徴。
a) 接合した赤土部分には筆などを使い、白化粧土(白絵土)で紋様を描き、その上に鬼板などで
鉄絵を施します。白土部分には青織部釉を掛け、酸化焼成する事で緑色に発色させますので、
華やかな器となります。
b) 美濃では、木節粘土に五斗蒔(ごとまき)土を混ぜて織部用の土を作るとの事です。
赤土と白土の割合は、半々又はやや赤土の方が少ない程度です。
赤と白土を重ね合わせてしっかり叩き伸ばし、タタラにしますので、接着面は強固になります。
c) 作品は素焼きした土型、又は石膏型を用いたタタラ作りです。
土型は壊れ易いですが、補修も簡単にできます。壊れた場合には、接着剤で直す事も出来ます
但し、昔より、生の状態(素焼きをしない、天日干し)の型も多く使われています。
生の状態の方が柔らかい線が出るそうで、現在でも、好んで使う人も多い様です。
作品に応じて、大小数種類の型を作っておきます。
② 鳴海織部の手付鉢の作り方。
) 赤白の土を密着させタタラを作る。
a) 良く菊練りした赤土と白土をほぼ等量用意し、凹凸の無い様に丸めます。
この二種類の土を叩き付け、お正月の鏡餅の様に、上下に二段重ねします。
上から拳(こぶし)で中心から外側に叩き、空気を外に逃がしながら、更に密着させます。
b) 土を垂直に立てて、赤白が手前と向こう側に成る様にします。
この状態で真上から拳で土を叩き伸ばします。叩く事で密着度を上げ、「割れやひび」の
発生を少なくします。伸ばす面積は、型よりやや大きくする事です。
赤土と白土は境界線でしっかり分かれる様にします。
c) タタラを作る。
上記叩いた状態では、表面が凸凹ですので、タタラ板を用いて、均等な肉厚に成る様に
糸で切り取ります。表面をヘラ等で撫ぜ滑らかにします。 タタラの厚みは作品の大きさに
より6~8mm程度にします。
) タタラを型に押し当てる。
a) 型を手轆轤の上にセットし、水で濡らし硬く絞った蚊帳を型の上に被せます。その際蚊帳に
皺が寄らない様に注意します。蚊帳以外に木綿の布を使う事もあります。
これらの布類は、型離れを良くする為のものですが、布目が器に残る事も想定しています。
b) タタラを型の上に載せる。
赤白土の境界線が、型の中央部に来る様にタタラを型に載せます。赤白の中央線をどの様に
配置するかによっても、作品の表情が変化しますので、十分効果を考えて載せる事です。
c) タタラを型に合わせて切り取る。
タタラは型よりも大きく取っている為、大き過ぎる部分は型に土を沿わせる際、余ってしまい
拠れ(ギャザー)が出来て作業がし難いです。 そこで余分の土は弓を用いて切り取ります。
d) 型にタタラを押し込み、角に土を盛る。
型に沿わせる様に土を押し当てると、自然と土は薄く伸びます。特に角部は大きく伸びて
肉が薄くなり易いですので、土を押し上げる様にして、土を押し込み肉厚に成る様にします。
但し、このような作業でも角部は必要な肉厚になりません。そこで全ての角部に同じ色の土を
外側より付ける必要があります。付けた部分は指で良く均しておきます。
・ 型に沿わせる際、蚊帳などの布が拠れてタタラに傷が付きますので、布を外側に引っ張り
ながら、作業する必要があります。
) 型より外す。
以下次回に続きます。