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サミュエル・フラー監督『ショック集団』

2010-11-10 06:10:00 | ノンジャンル
 サミュエル・フラー製作・監督・脚本の'63年作品『ショック集団』をスカパーの洋画★シネフィル・イマジカで再見しました。
 「私はジョニー・バレット。実話に基づく話です」というナレーション。「人類を滅ぼすには狂人にすればいい」という聖書の言葉の字幕。ピューリッツァー賞に野心を燃やす新聞記者ジョニー・バレットは、編集者と精神科医フォンの指導の元、精神病者として受け答えする練習を積んでいます。酒場で半裸で歌う恋人キャシー(コンスタンス・タワーズ)は本当に狂ってしまうことを心配して反対しますが、結局彼が強姦未遂をした妹の役を演じることに同意します。ジョン・バレットの名の元、精神病院に入院することに成功した彼は、病院内で起こった殺人事件の3人の目撃者から証言を得ようとします。1人目は自分が南軍の少将であると思い込んでいる男でしたが、彼が一瞬正気に戻って時に、犯人が白いズボンをはいていたことを彼から聞き出すことに成功します。2人目は、黒人で唯一大学に入学して迫害を受けたことによって自ら白人至上主義者になってしまった若者で、彼も正気に戻った時に看護人が犯人だということを証言しますが、名前を告げる直前にまた発狂してしまいます。バレットは面談に来たキャシーにキスされることを拒み、キャシーは彼が自分を本当の妹と思ってしまっていることに気付き愕然とします。3人目は原爆を発明したにもかかわらず精神年齢が6才の物理学者で、バレットはついに彼から看護人のウィルクスが犯人であることを聞き出しますが、直後に記憶をなくし、廊下に雷雨が振り注ぐ幻覚を見ます。そして名前を思い出せた彼はウィルクスと死闘を演じ、最後に彼の口から犯行を自供させますが、既に狂人と化したバレットの言うことを院長は信じられません。廊下に茫然と座り、腕を差し出したまま動かない彼の姿に、冒頭の字幕が重なって映画は終わります。
 奥行きのある構図・シルエットの多用が映画的な空間を作り出していましたが、カリカチュアライズされている登場人物の振舞いや、バレットの夢に現れるキャシーの映像などは、リアリティには欠けていたように思います。それでもやはり廊下の雷雨のシーンには今回も鳥肌が立ちました。このシーンを見るためだけでも一見の価値のある映画です。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto