gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』

2011-04-14 08:44:00 | ノンジャンル
 鈴木則文監督・共同脚本の'86年作品『大奥十八景』をスカパーの東映チャンネルで見ました。画面構成や音楽の使い方はテレビドラマを見ているようで、ストーリーも紋切り型でしたが、タイトルバックの大俯瞰は見ごたえがありました。

 さて、朝日新聞の特集記事「読んで感じる時代の声」の中で朝吹真理子さんが推薦していた、大江健三郎さんの'83年作品『新しい人よ眼ざめよ』を読みました。著者の日常に関するエッセイ集です。
 「無垢の歌、経験の歌」は、僕がヨーロッパに行っている間に暴力的になった、障害を持つ長男イーヨーと、ブレイクの詩とニューデリーで作家のHさんが見せた「悲嘆」を介して和解する話。
 「怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって」は、ブレイクの詩で書かれている戻るべき谷で、溺死しそうになった幼い頃の僕の経験と、イーヨーの癲癇の発作の話。
 「落ちる、落ちる、叫びながら‥‥」は、イーヨーに泳ぎを教えにプールに通った時の話。
 「蚤の幽霊」は、イーヨーが夢を見ない話と、ブレイクの絵に影響されて僕が見た夢の中のイーヨー、台風の中をイーヨーと僕が伊豆の山荘に出かけた話。
 「魂が星のように降って、あし骨のところへ」は、イーヨーが音楽を介して周囲とコミュニケートしてきた今までの歴史の話。
 「鎖につながれたる魂として」は、イーヨーが職業訓練のために福祉作業所へ通う話など。
 「新しい人よ眼ざめよ」は、バリ島で出会った「雨の樹」と、ヨーロッパで再会した朝鮮人女性、イーヨーが寄宿舎生活を始めた話などです。
 著者の思念が詳しく書かれているのですが、難解な内容についていけませんでした。ブレイクの詩に興味のある方には特にオススメかもしれません。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)