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奥田英朗『おれに訊くんじゃない 近そうで遠い男と女のハナシ』その4

2014-12-23 20:00:00 | ノンジャンル
 今日、厚木混声合唱団の定期演奏会に母と行ってきました。ソプラノのソロの方の声の美しさと『帰れソレントへ』の合唱、そしてアンコールで歌われた『群青』の合唱に魅せられました。

 さて、また昨日の続きです。
・いきなり読者の99.9パーセントに関係ないことを書き始めるが、ニルス・ロフグレンは本当にかっこいい。自分にとって、これだけ夢中になるのは珍しい出来事である。私はそんじょそこらのことで何かをホメたり夢中になったりしないタイプなのである。ところでこの冷めた性格は仕事でもいかんなく発揮されている。周囲がハイになって「この雑誌
は必ず売れる!」と大騒ぎしているさなかにおいても、口には出さないものの「半年もつかなあ」と思ってしまうのである。そしてその通りになってしまう。ははは。もっともこの性格のため、新興宗教とか自己開発セミナーとかオカルトなんかは無縁で生きられるのは実にスガスガしい。
・テレビでずーっと前から気になっていたことがある。クロレッツのコマーシャル。このコマーシャルの特徴は、登場する男女が若い美男美女ではなく、トウの立ったカップルというところである。恋愛は見苦しい。実はそうなのである。さらにこのコマーシャルは、もうひとつ訴えていたことがある。それは、恋愛は権利だ!ということである。
・さあお立ち会い。女性誌では前代未聞、キンタマの話だあ。ここではキンタマを蹴られた時の痛みを説明してみたいと思う。まず、レスポンスはあらゆる痛みの中でも群を抜いて速い。タマタマ自体はギュンという痛さで、「気が遠くなる」という表現が適切だ。そして「タマ痛」はここからがやっかいなのだが局部のみに留まるものではない。全身に波及し、あらゆる活動を停止させるのだ。そして間髪を置かず激痛が脳天に向けて走る。続いて内臓という内臓を一度にわしづかみされる気がして、吐き気をもよおしてくる。そして冷汗がタラタラと出て、耳鳴りがする。そして5分ほどで痛みはひく。基本的に後遺症はない。ところで、どうしてこんなに大切でひ弱なものが人体の外側にレイアウトされているかというと、それは神様が男を増長させないためにそうしたのでは、と思っている。
・私は会社員と呼ばれるヒトビトと話をしていていつも驚かされるのは、多くの会社員が本気で自分の勤めている会社を愛していることである。社史の類を作ると、担当者が必ずその出来を誉めて、一般向けにも出版したいと言ってくる。スマナイが売れるわけがないのである。こんなこともあった。一応業界では名の知れたメーカーで新しく雑誌用に広告を作ることになった。若いモデルが三人必要になったが、担当者が「ウチにも可愛い子が何人かいますから」と言い出した。よくあるパターンだ。当日スタジオに行くと、若いだけが取り柄のブスが三人シナを作って「ヤダアヤダア」と騒いでいた。さて、男が自慢するのが会社なら、女性は断然子供だろう。
・一般に女性はギャンブルに向かないといわれているが、本当である。第一にオッズに目がくらむ。第二に当たった気になる。そして第三に、それが当たってしまう……。ところで、私は一時期ドボンと呼ばれるギャンブルに凝っていたことがある。あるときからメンバーに女性がひとり加わった。彼女は他人の負けを一人で背負ったが、結局負けを払わずに結婚し、ワタシらの仲間からは何人かが披露宴に招かれて、包んだご祝儀を置いていった。かえすがえすも女性はギャンブルに不向きなのである。
・肉食のひとびとはコワイのである。先日、ある撮影で外国人モデルが必要になり、知人のイギリス人の家族に頼むことにした。しかし5歳のジュニア君だけはどうも機嫌がわるかったらしかった。結局使えるジュニア君のカットは少なく、予定通りのカットは使えない旨をイギリス人の父に低姿勢に伝えた。なのに父は激怒した。なんと自分の息子に激怒したのである。「お前のせいで撮影がうまくいかなかったんだ」。母も容赦ない。ここで思い出されるのは、91年にロンドンで開催された「ジャパン・フェスティバル」。中村勘九郎の二人の子が出演したのだが、観客の視線は日本で送られる温かいものではなく、冷徹で批評的なものだった。

 文中で言及されるアニタ・オデイの歌唱はYouTubeで見られますので、是非ご覧になることをお勧めします。奥田さんが書いているように見事の一言です。それ以外の文章も楽しく読ませてもらいました。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/