WOWOWオンデマンドで、石井輝男監督・脚本の’60年作品『黄線地帯(イエローライン)』を見ました。
銀座のナイトクラブの控室で、殺し屋(天地茂)に殺しを依頼し、殺した証拠に殺す対象がしている腕時計を持って来いという男。
手袋をしながら階段を上り、部屋に入っていくと標的となる男が眠っている。気配に目覚めた男が「君は一体誰だ?」というにもかかわらず、殺し屋は躊躇なく消音機付きの拳銃で男を射殺し、ベッドに投げ出された男の腕には腕時計が見える。そのわきに置かれる拳銃。階段を殺し屋が降りていくと、パトカーが下を通り、殺し屋は階段を駆け下りると闇に向かって駆け出す。
銀座の電話ボックスの中には、新聞社で働く恋人のトシオ(吉田輝男)に電話しているショーガールのエミ(三原葉子)がいる。彼女はチラシの募集に応募し、今度神戸に行くことになったと話している。殺し屋は身を隠すために電話ボックスに入り、拳銃で脅し、笑って電話をしているふりをしろと言って電話を切る。「今人を殺してきた。何人殺しても罪は同じ。俺の話が本当かどうかは、明日の朝刊を見れば分かる。これから俺たちは新婚の夫婦だ。お前の切符を俺に渡し、お前は自分の切符を買って来い。駅は警官であふれているだろう」と殺し屋。
発車寸前に列車に乗り込む殺し屋とエミ。ホームに見送りに来たトシオに気づいたエミは、最近トシオから贈られた赤いハイヒールの片方をホームに飛ばす。
発車した列車の車内。「ハイヒールが脱げちゃった」とエミ。一方、トシオはハイヒールを拾った駅員から、それを受け取り、駅員にそれが自分の恋人のものだと言い、「小川エミさん。赤いハイヒールを東京駅で預かっております」という車内放送が殺し屋とエミが乗っている車内に流れる。ハイヒールの紛失届が出ていないと駅員から聞くトシオ。
エミは「トイレ」と言い、殺し屋から靴を借りる。車両を出ると、百円札に「私と一緒にいる男は殺人犯です。小川エミ」と書いて、席に戻る。
トシオの勤める新聞社では、神戸税関長が殺されたという記事作りでごった返している。
トシオは取材で、エミが応募した新日本芸能社は募集期間の3日間だけ部屋を借りていたことを知る。
新聞社の編集室。神戸にある秘密の売春組織と今回の殺しは関係がありそうだとトシオがデスク(沼田曜一)に訴えると、デスクはトシオに飛行機で神戸へ向かうように言う。
神戸駅。足を白い布で巻き、ケガをしたようにしてみせるエミ。殺し屋とエミはタクシーで靴屋に乗りつけると、エミは例の百円札で靴代を払うが、店主はそれに気づかない。エミは腹正しく思い、赤いハイヒールを「これ、あげる」と言って店主に差し出す。2人が店を出ると、若い女性がやって来て、取り寄せてもらっていた靴を買う。
窓に「新神海運」の文字。ユミコは靴屋でもらったお釣りの百円札にメッセージが書いてあるのに気づき、「ちょっとスリルね」と同僚と笑う。
カスバ。慈善家の高松にからむ男を殴り倒す若者。高松は殴られた男とその妻に金を渡して、許しを請う。若者に道案内を受ける高松。
「昨晩は一睡もしなかった」とエミ。殺し屋は「自分もだ」と言う。「このカスバにいれば安全だ。女を信じるほど、俺はバカじゃない」と殺し屋。エミは怒って鞄を置いて去ろうとするが、殺し屋は鞄を拾うと、エミをホテルに連れて入る。「おばさん、いい部屋を頼む」と言うと、女主人は「私はマダムと呼ばれてるんだ。値がはるよ」とマダム。「金のなる木を持っているから大丈夫だ」と殺し屋が言うと、マダムは2人を2階に案内する。マダムが読んでいた新聞を手にする殺し屋。1階の奥からは若い男女が出てきて、男が「また夜にな」と言うと、女は「鉄砲玉じゃいやよ。ユウちゃん」と言う。
2階の部屋。マダム「スペシャルルームだよ。金は前払いだ」殺し屋「5日分だ」。マダムは手を出す。殺し屋「何だ?」マダム「チップだよ」「ふざけんな」。殺し屋はマダムの手にタバコの灰を落とす。
マダムが部屋を去ると、新聞に殺人事件が掲載されているのを確認した殺し屋は「奴らは礼金の代わりにパトカーを寄越しやがった。人殺しなんて何とも思っていない。あこぎな殺しはしてこなかった。しかし今回は騙された」と言う。エミ「信用して。誰にもしゃべらないから、自由にして」殺し屋「女には以前に騙された。女はもう信用しねえ」。殺し屋が近づいてくると、エミ「やめて。許して。命がけで愛している人がいるの」殺し屋「恋愛なんて足の速い食べ物みたいなものだ。すぐ腐る」「それ以上近づいたら、舌を噛み切って死ぬ」。
神戸駅。トシオは駅員、靴屋の店主に取材し、新神海運から靴屋に電話があったことを知る。(明日へ続きます……)
銀座のナイトクラブの控室で、殺し屋(天地茂)に殺しを依頼し、殺した証拠に殺す対象がしている腕時計を持って来いという男。
手袋をしながら階段を上り、部屋に入っていくと標的となる男が眠っている。気配に目覚めた男が「君は一体誰だ?」というにもかかわらず、殺し屋は躊躇なく消音機付きの拳銃で男を射殺し、ベッドに投げ出された男の腕には腕時計が見える。そのわきに置かれる拳銃。階段を殺し屋が降りていくと、パトカーが下を通り、殺し屋は階段を駆け下りると闇に向かって駆け出す。
銀座の電話ボックスの中には、新聞社で働く恋人のトシオ(吉田輝男)に電話しているショーガールのエミ(三原葉子)がいる。彼女はチラシの募集に応募し、今度神戸に行くことになったと話している。殺し屋は身を隠すために電話ボックスに入り、拳銃で脅し、笑って電話をしているふりをしろと言って電話を切る。「今人を殺してきた。何人殺しても罪は同じ。俺の話が本当かどうかは、明日の朝刊を見れば分かる。これから俺たちは新婚の夫婦だ。お前の切符を俺に渡し、お前は自分の切符を買って来い。駅は警官であふれているだろう」と殺し屋。
発車寸前に列車に乗り込む殺し屋とエミ。ホームに見送りに来たトシオに気づいたエミは、最近トシオから贈られた赤いハイヒールの片方をホームに飛ばす。
発車した列車の車内。「ハイヒールが脱げちゃった」とエミ。一方、トシオはハイヒールを拾った駅員から、それを受け取り、駅員にそれが自分の恋人のものだと言い、「小川エミさん。赤いハイヒールを東京駅で預かっております」という車内放送が殺し屋とエミが乗っている車内に流れる。ハイヒールの紛失届が出ていないと駅員から聞くトシオ。
エミは「トイレ」と言い、殺し屋から靴を借りる。車両を出ると、百円札に「私と一緒にいる男は殺人犯です。小川エミ」と書いて、席に戻る。
トシオの勤める新聞社では、神戸税関長が殺されたという記事作りでごった返している。
トシオは取材で、エミが応募した新日本芸能社は募集期間の3日間だけ部屋を借りていたことを知る。
新聞社の編集室。神戸にある秘密の売春組織と今回の殺しは関係がありそうだとトシオがデスク(沼田曜一)に訴えると、デスクはトシオに飛行機で神戸へ向かうように言う。
神戸駅。足を白い布で巻き、ケガをしたようにしてみせるエミ。殺し屋とエミはタクシーで靴屋に乗りつけると、エミは例の百円札で靴代を払うが、店主はそれに気づかない。エミは腹正しく思い、赤いハイヒールを「これ、あげる」と言って店主に差し出す。2人が店を出ると、若い女性がやって来て、取り寄せてもらっていた靴を買う。
窓に「新神海運」の文字。ユミコは靴屋でもらったお釣りの百円札にメッセージが書いてあるのに気づき、「ちょっとスリルね」と同僚と笑う。
カスバ。慈善家の高松にからむ男を殴り倒す若者。高松は殴られた男とその妻に金を渡して、許しを請う。若者に道案内を受ける高松。
「昨晩は一睡もしなかった」とエミ。殺し屋は「自分もだ」と言う。「このカスバにいれば安全だ。女を信じるほど、俺はバカじゃない」と殺し屋。エミは怒って鞄を置いて去ろうとするが、殺し屋は鞄を拾うと、エミをホテルに連れて入る。「おばさん、いい部屋を頼む」と言うと、女主人は「私はマダムと呼ばれてるんだ。値がはるよ」とマダム。「金のなる木を持っているから大丈夫だ」と殺し屋が言うと、マダムは2人を2階に案内する。マダムが読んでいた新聞を手にする殺し屋。1階の奥からは若い男女が出てきて、男が「また夜にな」と言うと、女は「鉄砲玉じゃいやよ。ユウちゃん」と言う。
2階の部屋。マダム「スペシャルルームだよ。金は前払いだ」殺し屋「5日分だ」。マダムは手を出す。殺し屋「何だ?」マダム「チップだよ」「ふざけんな」。殺し屋はマダムの手にタバコの灰を落とす。
マダムが部屋を去ると、新聞に殺人事件が掲載されているのを確認した殺し屋は「奴らは礼金の代わりにパトカーを寄越しやがった。人殺しなんて何とも思っていない。あこぎな殺しはしてこなかった。しかし今回は騙された」と言う。エミ「信用して。誰にもしゃべらないから、自由にして」殺し屋「女には以前に騙された。女はもう信用しねえ」。殺し屋が近づいてくると、エミ「やめて。許して。命がけで愛している人がいるの」殺し屋「恋愛なんて足の速い食べ物みたいなものだ。すぐ腐る」「それ以上近づいたら、舌を噛み切って死ぬ」。
神戸駅。トシオは駅員、靴屋の店主に取材し、新神海運から靴屋に電話があったことを知る。(明日へ続きます……)