黒沢清監督・共同脚本の2020年作品『スパイの妻・劇場版』をWOWOWプライムで観ました。
サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に加筆修正させていただくと、
「1940年.神戸生糸検査所にやってきた憲兵たちが、イギリス人のドラモンドを軍機保護法違反容疑で逮捕する。その日、津森泰治(東出昌大)は軍服を着て、幼なじみの聡子の夫、福原優作(高橋一生)を彼の経営する福原物産のオフィスに訪れる。神戸憲兵分隊に分隊長として赴任した挨拶のためだけでなく、ドラモンドの友人である優作に注意を促すためでもあった。しかし優作は、ただの商人にすぎないドラモンドへのスパイであるという嫌疑を笑い飛ばす。
横浜から神戸に引っ越し、今は洋館に妻と暮らす優作。妻に仮面の女スパイの役をさせたアマチュア映画を甥で福原物産に勤める竹下文雄(坂東龍汰)と作って楽しみながらも、優作はドラモンド釈放のために手を尽くし、ドラモンドは福原家に挨拶に来てから上海へと去った。
本当に危なくなる前に大陸を見ておきたい。優作は聡子(蒼井優)の心配をよそに、文雄をともなって満州へ出張する。撮影機材も一緒だった。夫の留守中、聡子は女中の駒子(恒松祐里)を連れて山に自然薯を掘りに行った時に偶然、天然の氷を取りにきた泰治と会う。福原邸に通された泰治は、聡子も女中も執事も洋装、ウィスキーも舶来ものという福原家の暮らしぶりに、世間の目が厳しくなると心配する。
予定より二週間遅れて優作と文雄が帰国する。港に出迎えた聡子は、しかし、二人が一人の女を日本に連れてきたことに気づかなかった。
その年の福原物産忘年会。社員たちに優作が聡子や文雄と作った映画が披露される。その後、文雄は社員たちを前に退社することを告げる。いつ軍隊に入れられるかもわからない、その前に有馬温泉の旅館たちばなにこもって小説を執筆することにしたと言うのだった。
聡子は泰治に神戸憲兵分隊本部へ呼び出される。旅館たちばなの草壁弘子(玄理)という仲居が殺された。嫌疑がかかっているのは文雄だが彼女を満州から連れてきて仲居の仕事を世話したのは優作だと言われる。帰宅した優作は自分を信じてほしいと聡子に言う。そして自分は聡子に嘘をつけないようにできているから問い詰めないでくれと頼む。
夫と弘子の仲について疑惑の消えない聡子は旅館たちばなに文雄を訪れる。快活さの消えた文雄は聡子に対して「あなたは何も見ていない」と言って多くを語らない。そして、ある包みを優作に渡すように頼む。中身は見ないように、「英訳が終わった」とだけ伝えるようにと言う。旅館の外には文雄を監視する男たちがいた。
しかし、聡子は包みの中身を見ずにはいられなかった。包みの中のノートについて問いただされた優作は真実を話す。満州で彼と文雄は死体の山を目撃する。それは関東軍の細菌戦研究の犠牲者の死体だった。それを告発しようとした医師は殺害され、草壁弘子は看護婦で彼の恋人だった。優作は細菌戦研究の証拠をもちかえり文雄に英訳をさせた。それをアメリカで公表すればアメリカとの間で戦争が始まり日本は負けるだろう。それは売国奴のすることではと問う聡子。自分はコスモポリタンだと優作は答えるのだった。
優作が帝大で野崎医師(笹野高史)と会うために出張したとき、聡子は会社の倉庫にある金庫から文雄から託されたノート、そしてその側にあったフィルム缶を盗み出す。そして和装で憲兵分隊本部に泰治を訪れる。弘子殺しの犯人は横恋慕した旅館主人であったことを知るが、それでも文雄から託されたノートを泰治に渡す。
優作は会社で金庫からノート等が持ち去られたことに気づくが、すぐに憲兵に参考人として連行される。逮捕された文雄が爪をはぎ取られる拷問を受けてスパイ活動を自白したことを知る。通報者は聡子しか考えられない。帰宅した優作は妻を密告者とののしるが、聡子は、文雄が夫を売らないことをわかっていて、夫を守るために泰治にノートを渡したのだった。渡したのは日本語の原本だけで、英訳と、細菌研究の様子や原本のページが撮影されているフィルムはまだ手元にあった。
聡子と優作はアメリカ行きを考えるが、アメリカからの石油輸出が禁止される。もはや亡命以外にアメリカに行く方法はない。「あなたがスパイなら私はスパイの妻になります」と言い放つ聡子にとって今までになく人生が輝いているようだった。
(明日に続きます……)
サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に加筆修正させていただくと、
「1940年.神戸生糸検査所にやってきた憲兵たちが、イギリス人のドラモンドを軍機保護法違反容疑で逮捕する。その日、津森泰治(東出昌大)は軍服を着て、幼なじみの聡子の夫、福原優作(高橋一生)を彼の経営する福原物産のオフィスに訪れる。神戸憲兵分隊に分隊長として赴任した挨拶のためだけでなく、ドラモンドの友人である優作に注意を促すためでもあった。しかし優作は、ただの商人にすぎないドラモンドへのスパイであるという嫌疑を笑い飛ばす。
横浜から神戸に引っ越し、今は洋館に妻と暮らす優作。妻に仮面の女スパイの役をさせたアマチュア映画を甥で福原物産に勤める竹下文雄(坂東龍汰)と作って楽しみながらも、優作はドラモンド釈放のために手を尽くし、ドラモンドは福原家に挨拶に来てから上海へと去った。
本当に危なくなる前に大陸を見ておきたい。優作は聡子(蒼井優)の心配をよそに、文雄をともなって満州へ出張する。撮影機材も一緒だった。夫の留守中、聡子は女中の駒子(恒松祐里)を連れて山に自然薯を掘りに行った時に偶然、天然の氷を取りにきた泰治と会う。福原邸に通された泰治は、聡子も女中も執事も洋装、ウィスキーも舶来ものという福原家の暮らしぶりに、世間の目が厳しくなると心配する。
予定より二週間遅れて優作と文雄が帰国する。港に出迎えた聡子は、しかし、二人が一人の女を日本に連れてきたことに気づかなかった。
その年の福原物産忘年会。社員たちに優作が聡子や文雄と作った映画が披露される。その後、文雄は社員たちを前に退社することを告げる。いつ軍隊に入れられるかもわからない、その前に有馬温泉の旅館たちばなにこもって小説を執筆することにしたと言うのだった。
聡子は泰治に神戸憲兵分隊本部へ呼び出される。旅館たちばなの草壁弘子(玄理)という仲居が殺された。嫌疑がかかっているのは文雄だが彼女を満州から連れてきて仲居の仕事を世話したのは優作だと言われる。帰宅した優作は自分を信じてほしいと聡子に言う。そして自分は聡子に嘘をつけないようにできているから問い詰めないでくれと頼む。
夫と弘子の仲について疑惑の消えない聡子は旅館たちばなに文雄を訪れる。快活さの消えた文雄は聡子に対して「あなたは何も見ていない」と言って多くを語らない。そして、ある包みを優作に渡すように頼む。中身は見ないように、「英訳が終わった」とだけ伝えるようにと言う。旅館の外には文雄を監視する男たちがいた。
しかし、聡子は包みの中身を見ずにはいられなかった。包みの中のノートについて問いただされた優作は真実を話す。満州で彼と文雄は死体の山を目撃する。それは関東軍の細菌戦研究の犠牲者の死体だった。それを告発しようとした医師は殺害され、草壁弘子は看護婦で彼の恋人だった。優作は細菌戦研究の証拠をもちかえり文雄に英訳をさせた。それをアメリカで公表すればアメリカとの間で戦争が始まり日本は負けるだろう。それは売国奴のすることではと問う聡子。自分はコスモポリタンだと優作は答えるのだった。
優作が帝大で野崎医師(笹野高史)と会うために出張したとき、聡子は会社の倉庫にある金庫から文雄から託されたノート、そしてその側にあったフィルム缶を盗み出す。そして和装で憲兵分隊本部に泰治を訪れる。弘子殺しの犯人は横恋慕した旅館主人であったことを知るが、それでも文雄から託されたノートを泰治に渡す。
優作は会社で金庫からノート等が持ち去られたことに気づくが、すぐに憲兵に参考人として連行される。逮捕された文雄が爪をはぎ取られる拷問を受けてスパイ活動を自白したことを知る。通報者は聡子しか考えられない。帰宅した優作は妻を密告者とののしるが、聡子は、文雄が夫を売らないことをわかっていて、夫を守るために泰治にノートを渡したのだった。渡したのは日本語の原本だけで、英訳と、細菌研究の様子や原本のページが撮影されているフィルムはまだ手元にあった。
聡子と優作はアメリカ行きを考えるが、アメリカからの石油輸出が禁止される。もはや亡命以外にアメリカに行く方法はない。「あなたがスパイなら私はスパイの妻になります」と言い放つ聡子にとって今までになく人生が輝いているようだった。
(明日に続きます……)