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樋口毅宏『さらば雑司ヶ谷』

2010-05-28 15:18:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、樋口毅浩さんの'09年作品『さらば雑司ヶ谷』を読みました。
 雑司ヶ谷にある宗教法人「泰幸会」の教祖・泰は政財界に隠然たる力を持っています。泰を祖母に持つ太郎は、幼馴染みの京介の不良グループに属していましたが、彼に敵対する芳一が中国に売り飛ばした少女を探すため、京介の頼みで中国へ飛びます。そこで知り合った中国マフィアのボス・閣鉄心に性具とされた太郎は体も心もボロボロされた後、日本への帰国を許されますが、既に京介は芳一に殺されていました。太郎は泰に雑司ヶ谷に降ったゲリラ豪雨の原因を探るよう命じられますが、それは娘を売り飛ばされた黄和平が降らせたものでした。太郎は芳一の手下に襲われて足に銃弾を浴び、入院したところを閣鉄心を急襲され、そこにまた芳一の部隊が襲いかかりますが、何とか脱出に成功し、最後、雑司ヶ谷霊園に皆をおびき出し、黄和平にゲリラ豪雨を降らせて、閣と芳一を倒して、雑司ヶ谷を去るのでした。
 他にも幼馴染みで芳一の私生児を産む雅子や、雅子と京介と太郎をモデルとした小説を書く男、泰の元夫で未だに泰の執事として働く山下などなど、面白いキャラクターにあふれています。が、如何せんピカレスク・ロマンの範疇に収まってしまっていて、あとがきにも書かれてあるように、様々な作品のデクパージュになっているのですが、その影響を受けている作品がどれも(意識的なのか)二流のものばかりなので、今一つインパクトに欠けました。手軽に読めるエンターテイメント小説としてはオススメです。

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