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マキノ雅弘監督『弥太郎笠』

2019-06-12 05:53:00 | ノンジャンル
 ラピュタ阿佐ヶ谷にて、マキノ雅弘監督の1960年作品『弥太郎笠』を観ました。

 上州で木材の伐採の労務者たちを束ねる松井田一家の虎太郎親分(大河内傳次郎)のもとにわらじを脱いだ旅烏の“りゃんこの弥太郎”(中村錦之助)は親分の娘お雪(丘さとみ)と相思相愛の仲となり、祭りの日にお雪は皆に冷やかされる。お雪は亡くなった母の墓参りをしているところを弥太郎に見られ、父が今付き合っているお牧という女が、別の親分・神楽組の大八親分(藤田進)とも通じていることを話し、父はお牧に騙されているのだと言う。一方、同じくお雪に惚れていた照吉(田中春男)はやけ酒を飲み、道端で大声で泣きだし、皆から笑われる。仲良く盆踊りをする弥太郎とお雪。そんな中、九つの州を担当する役人(東千代之介)が明日見回りに来ると聞いた弥太郎は、その役人には会いたくないので、今晩に旅に出させてもらうと虎太郎親分に告げる。嘆くお雪に「また必ず会いにくる」と言い残して去る弥太郎。
 翌日、街道で役人と会った弥太郎は無礼を働くが、役人は弥太郎の幼馴染の男だった。旧交を温める二人。
 その夜、役人は大八の接待を受けるが、役人はお牧が虎太郎と大八の二股をかけていることを明かし、それを聞いた虎太郎はお牧とは自分が縁を切り、大八にくれてやると宣言する。怒りだす大八をいさめる役人。
 その後、虎太郎親分は祭りの様子を見に行くが、群衆の中で、お面をつけた男たちに囲まれ、やがて人込みから連れ出されて、殺されてしまう。父の死に動転するお雪。
虎太郎が殺されるところを目撃していた照吉は、大八の子分たちに捕まり、大八から「他の者に言ったら殺す」と脅される。
 その夜の遅く、お雪を訪ねてきた照吉は、リンチを受けて腫れた顔で、お雪の父を殺したのは大八だと教えるが、お雪宅に押し寄せた大八の子分たちが訪ねてくると、「やったのは弥太郎だ!」と大声で叫び、「そうだ。照吉。表に出ろ」と子分たちが答えると、裏から逃げようとするが、斬られて殺される。
 時が経ち、街道を歩く弥太郎。やがて「いかさまだ!」と言って一団の男たちが走りさってゆく。弥太郎はマントを道の下に投げると、それをうけとるいかさま師(千秋実)。いかさま師は弥太郎を気に入り、一緒に旅をしたがるが、弥太郎はカニを使った賭けでいかさまをし、いかさま師とは別の道を行くことにする。
 やがて弥太郎は虎太郎親分が殺されたことを知り、お雪の許へ戻って来る。待ち伏せる大八の子分たちを斬りまくる弥太郎。虎太郎が死んだ後、松井田一家は解散し、その縄張りは全て大八に奪われたと知った弥太郎は、縄張りを一つ一つ訪れては、これからは自分が松井田組の親分だと労務者たちに言い、大八の子分たちを斬りまくる。そうして弥太郎が松井田組の縄張りを取り戻すと、大八とお牧は虎太郎を殺した方法で、弥太郎も亡き者にしようと相談する。一方、いかさまで全員の客の着物までも取り上げたいかさま師に、大八は一対一の勝負を望み、賭けに勝つと、弥太郎を殺せと命じる。
 祭りの夜。弥太郎とお雪が盆踊りを踊っていると、弥太郎は殺気を感じ、お雪が後ろを向いたところで群衆から離れる。林の中、弥太郎を取り囲む面を付けた大勢の男たち。それらのうちの一人がいきなり斬り込むと、それに応戦してその男を倒す弥太郎。そこへいかさま師が現われ、弥太郎の助太刀を買って出る。大八は「裏切りだ!」と言うが、いかさま師は「表切りだ」と返す。次々と襲い来る大八の子分たちをどんどん倒していく弥太郎。いかさま師は一人斬るごとに弥太郎に報告しに行くが、3人をやったところで、逆に殺されてしまう。弥太郎は見事な剣さばきで敵を次々と倒し、やがて大八を斬って捨てると、残った者は逃げ出してしまう。
 翌日。街道の分かれ道。「表なら戻る。裏なら戻らない。どーれ、表が出ろい」と言って笠を空高く投げる弥太郎だったが、笠は裏が出る。笑みを浮かべながら街道を進んで行こうとすると、後ろから旅姿のお雪が追いかけてくる。そして一緒になった二人の姿をロングで撮ったところで映画は終わる。

 提灯に書かれた川柳や都都逸がロマンティックは祭りの夜を演出し、マキノ節炸裂といった感じでした。錦之助の立ち廻りも見事なもので、高倉健が相手を力でたたっ斬るのに対し、錦之助はほとんど見事な舞いを踊っているようにも見えました。マキノ監督の代表作の一つだと思います。

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