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山田詠美『熱血ポンちゃんから騒ぎ』

2013-12-22 09:23:00 | ノンジャンル
 石井輝男監督・脚本の'69年作品『異常性欲実録ハレンチ』をスカパーの東映チャンネルで見ました。バーのママの典子に熱を上げる深畑は、セックスに貪欲で、嫉妬深く、嫉妬にかられると暴力も働き、ゲイ好みで、女装趣味で、マゾという男でした。典子は深畑と別れて、新しい恋人、吉岡(吉田輝男)と一緒になろうとしますが、嫉妬に狂った深畑は雷鳴の中、ナイフを持って吉岡宅を襲撃します。しかし深畑は雷が落ちたアパートの手すりにナイフを触れさせ感電死するのでした。深畑は典子と2人になると「愛してるよ~ん」「寂しいんだよ~ん」という言葉を連発し、目を剥いて典子に迫る無気味な男で、その変態性が強調されている映画でした。
また、 加藤泰監督の'57年作品『源氏九郎颯爽記 濡れ髪二刀流』をスカパーの東映チャンネルで見ました。義経の末裔である白装束の剣士・源氏九郎(中村錦之助)が義経が残した2つの名刀を合わせ持つことによって、義経の財宝を手に入れるという話で、錦之助の顔は白塗りで、ローアングルもまだ見られない映画でした。

 さて、山田詠美さんの'13年作品『熱血ポンちゃから騒ぎ』を読みました。「熱血ポンちゃん」シリーズの最新エッセイ集です。
 山田さんのこのシリーズはいつも楽しませてくれるのですが、今回特に面白いところを引用させていただくと、「主人公の相手役の女のこんなふうな台詞がある。正確ではないのだが。(改行)『私が、このまま、ずっと濡れないままでも好きでいられる?』(改行)とか、なんとか。この、濡れる濡れないが、全編に渡って重要なキーワードになっているらしいのだが、そして、そこに繊細さを見なくてはいけないらしいのだが、(何故なら、自殺した彼氏が原因みたいなので)、野蛮な私は、苛々して、こう叫びたくなっちゃったんだなー。あー、もー、ローションか何か使えばいいじゃん! ヴァセリンでも、蜂蜜でも、くず湯でも、納豆でも、とろろでも(あ、これは痒いか)、何でもいいよ、ぬるぬる系、べとべと系、片っぱしから持って来ーい!」とか、「『エイミーっ、勝新太郎に似てない?』(改行)‥‥岡本太郎、草間彌生に続いて、あろうことか今度は若かりし頃の勝新‥‥」とか、「足並みそろえて急ぐべきは、小説家でない人々だろう。足並みをそろえないからこそその小説家の言葉が、意味を持つこともある筈だ」とか、「あ、そういや、私、『パンツいっちょう』って言葉、生まれて初めて使ったんだ。一丁? 一張? 前者だとお豆腐のような柔らかいものを包んでいる感じがするし、後者だとぱんぱんに固くなったものに押し上げられた感があり、どちらも甲乙付けがたい納得の綴りである」とかでした。
 また、この本を読んで新たに知ったことは、関西の人たちって、正面から歩いて来て、ぶつかりそうになっても、絶対にさける気がないこと、関西の人は歩くのが速いこと、著者の知人はこの十年で3人も自殺していること、巣鴨には赤パンツに代表される赤いものしか売っていない店が存在すること、放置してしなびてしまった野菜は五十度の湯で数分洗うと、新鮮さを甦らせることができること、火打石が仏具店に置いてあること、日本には精をつけると言い伝えられている食べ物が数多くあるのに、アメリカにはほとんどないこと、議論好きに見られるアメリカ人は、案外、そうでもなく、自分たちの正論を脅かされたくないための反論が議論に見えているだけであること、沖縄で「明日は、読谷村の方に行きましょうね」と言われたら、それは「明日、私、読谷村の方に用事があるの」という意味であり、別に誘われている訳ではないこと、沖縄の人はめったに傘を差さないこと、沖縄料理で著者が一番おいしいと思ったのは、アグー豚のしゃぶしゃぶだったことなどでした。
 また、この本で言及されている本で読んでみたくなった本は、福永武彦著『草の花』と宋美玄著『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』でした。
 相変わらず切れ味するどい語り口は健在で、読んでいて元気をもらえる本でした。

→「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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