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新井満『子どもにおくる般若心経』

2009-06-07 12:49:00 | ノンジャンル
 先日デヴィッド・キャラダインの死亡記事が新聞に載っていましたが、彼が70年代のアメリカを象徴する俳優であるとともに、ジョン・キャラダインの息子であることを思い出させてくれました。ジョン・キャラダインはジョン・フォードの映画、とりわけ「怒りの葡萄」で最後に撲殺される労働運動家や「駅馬車」のキザな賭博師が印象的な、映画史上忘れられない俳優でした。改めて記憶に刻みこみたいと思います。

 さて、新井満さんが'08年に出された「子どもにおくる般若心経」を読みました。子どもにも分かるように、般若心経の内容を分かりやすく説明した本です。
 先ず説かれることは、すべての物は変化し、滅んで無に帰り、またその無からすべての物が生じるということです。したがって、そのようなうつろいやすい物にこだわることを止めろ、つまり悟れと述べます。そしてそれと同時に我々の存在、命というものは、多くの周囲のものによって支えられ、また多くの奇跡によって生まれてきたものなのだから、そのことに感謝し、また自分を支えてくれるものに対して、自分の役割を果たしなさいと述べます。そして最後に、悟るための呪文があるとして、「往くぞ 往くぞ 彼岸に往くぞ 悟りにいたるぞ おお、往った 往った 完全に往った ああ よくぞ往ってくれた めでたい すばらしい 最高だ ばんざい ばんざい ばんざい」という文句を教えてくれるのでした。
 すべての物は生々流転しているので、それにこだわるなと言うのは、確かにその通りだと思いました。また自分と周囲との関係を尊重するというのも、先日読んだ内田樹さんの思想とも相通ずるところがあり、これまた納得しました。しかし笑ってしまうのは最後の呪文で、ただのかけ声でしかないこの文句を聞いた仏陀の弟子たちが皆有り難がって涙を流したというのには、ある種のおおらかさを感じました。今読んでもまったく古びることない名文だと思います。世の中の真理に興味のある方にはオススメです。

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