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フランチェスコ・ロージ監督『シシリーの黒い霧』その2

2018-05-30 06:02:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 「心臓を撃たれた。待ち伏せ中の憲兵に射殺された」「心臓? 腹や肩への銃弾は?」「逃走中に撃たれた」「しかし、なぜ……」「何です?」「なぜジュリアーノがこの町にいると?」「10日前に密告があった。チュニスからの飛行機でアメリカへ逃亡するとね。それで憲兵を配置して……」「通る道まで分かってたんですか?」「会見ですべて話す」「これじゃあ記事にならない」「でっち上げとでも?」。憲兵ら、去る。(中略)
 「憲兵とは一時全員撃ち合いになった」「嘘っぱちを」「激しい撃ち合いがあったと聞いているが」「知らない。ピストル3発と30分後の機関銃だけ」「人は通った?」「誰も通っていない」「憲兵たちがジュリアーノを追いかけ撃った銃声しか聞いていない」。
 酒場。「一杯くれ」「俺にも頼む」「ジュリアーノの評判は?」「貧乏人の味方さ」「本当に?」「そうだ。どこから?」「ローマ」「街の人には分かるまい」。(中略)
 ナレーション「モンテレプレの辺りの平野に村人たちが集まる。そこから数キロ先にはパレルモがある。そしてザガナヤやカルチェラメの山々は、掟と情熱と恐怖で守られたジュリアーノの王国だ。山麓にあるモンテレプレは人々でにぎわっている。ジュリアーノの母親が彼に合図を送る。憲兵がいくら来ても捕まることはない。彼は無線を持ち、敵の動きを把握している。迫撃砲と機関銃が山賊たちの小さな独立軍を守るのだ。(中略)一方、シチリア島中部では1946年当時、軍が既に独立派の暴動を鎮圧していた。だが“モンテレプレの王”は健在だ」。山頂から双眼鏡を覗く独立派の兵士。一本道をやって来る軍の車列。街中を兵士の乗った車が進む。逃げ惑う人々。家に駆けこみ、鍵を掛ける男は、窓も閉める。「何事だ?」「兵隊が来た」「見に行くぞ」。(中略)
 「どうぞ、少佐殿」「司令部にもってこいだな」「すぐ村長を呼んできます」。少佐、飾られている絵を見ながら「田舎には珍しい名品だ」。「少佐、参りました」「来たまえ、村長。300人分の宿舎が必要だ」「300人もですか?」「民家を接収すればいい」「賛成しかねます。難しい土地柄でして」「土地柄はどうでもいい。宿舎を用意するんだ」「食事ならありますが」「面倒だな。もう行け」「失礼します」。村長去る。少佐「村が発展しない訳だ」。
 「壁際を歩く方が安全だ」「北部の者にとっては居心地の悪い場所だ」「地元の者にもだよ」「行こう」。
路上を歩いていた兵士2人が2階の窓からマシンガンで撃たれて倒れる。
 「開けてくれ!」「誰?」「村長だ。ケガ人がいる」。運びこまれた兵士は苦しみもがいている。「ここでいい」。降ろされた兵士は腹を撃たれている。「中尉殿、死にます」。
 夜の路上。トラックの荷台に柩を載せる男たち。トラックは猛スピードで出発する。
夜の路上でドラムをたたきながら歩く男。「お触れだよ。お触れだよ。軍のお達しにより夜間の外出は禁止だよ(中略)」。
 たなびく旗。山の上で待ち伏せるゲリラたち。そこへ迫る軍の兵士たち。ゲリラの首領「俺が命じるまで撃たないように皆に伝えろ」。
 持ち場に付くゲリラたち。マシンガンも準備。前進する兵士たち。マシンガンを撃ち始める。身を伏せる兵士ら。「奴ら、本気だ」「戦争で生き残って、こんな場所で死にたくない」「なぜ撃つんだ? パルチザンか?」「さっさと独立させてやれ」「なぜ俺たちなんだ? 飛行機で蹴散らせばいい」。オートバイ来る。「中尉殿、退却命令が」「全員退却だ!」。逃げ去る兵士に向けて、ゲリラは今度迫撃砲で攻撃。別の山へ走って移動するゲリラたち……。

 この後、1946年5月にシチリアに自治権が認められ、6月にウンベルト2世が去り、イタリア共和国政府が政治犯を釈放すると、独立義勇軍も解散する。ジュリアーノは法外な身代金目当ての誘拐、強盗、恐喝、ゆすりをし、戦利品はマフィアと山分けするようになる。これはマフィアに身の安全を保障してもらうためだった。当局はジュリアーノの仲間としてモンテレプレ村の成人男性全員を広場に集め、該当者を逮捕していき、ジュリアーノは贋の遺体として発見される。1947年、自治州初の選挙で人民連合が勝ち、その数カ月前から大地主制に反対する農民運動が始まっていた。それを暴力で排除しようとする大地主に雇われたジュリアーノら。当局は彼の逮捕に全力を捧げ、大きな犠牲を出しながらも、ジュリアーノは殺し、仲間たちも逮捕することに成功する。裁判で、ジュリアーノの右腕だった男は警察と共謀してジュリアーノを殺したと告白。しかし他の仲間は「何も知らない」と沈黙の掟を守る。そして最後には刑務所の中でジュリアーノの右腕だった男は毒殺されるのだった。

 パンを使ったワンシーンワンカットや俯瞰の多い映画でした。画面の点でも演出の点でも傑作だと思います。

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