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日々の暮らしのなかで

金比羅はん

2007年11月24日 | 日記・エッセイ・コラム
地元の三大祭りの一つ、金比羅神社の祭りがあった。

「ひすゎしぶりに、行ってみるべか!」

よく行っていたのは中学生ぐらいまでか。
小学生の頃は、親戚が集まって宴会をひらいては
ホロ酔い気分で繰り出した。
家から見える国鉄の車両も、この日だけは満員。
さすがは三大祭りだ。

汽車に乗って行けば、降りると目の前には露店が並ぶ。
もう、祭りの真っ只中に降り立つ訳だ。
駅を一歩出れば、現実世界から離れた、
小学生にとっては、まさに夢の世界への入り口のようだった。

中学生になると、付き合っている奴らは、
女の子を誘っていくわけだ。
こっちが額に汗をかきながら、どこかインチキ臭いゲームに
没頭したりとか、景品が「舘ひろし」のステッカーだったりして
騒いでいると、恥ずかしそうにカップルが横切る。

「でやぁ!」

得意満面の男とは別に、女の子は少し恥ずかしそうだ。
それを見ているこっちはもっと恥ずかしい。

そんな思い出の祭りだったんで、
久しぶりに行ってみようと思ったが、
駐車場が満杯って言うか、行くまでに
普段は渋滞とは無縁の道が少々込んでいたんで、

「やめます!」

宣言をして引き返して来た。

帰りの車の中でも、昔の光景が蘇る。
怪しげな特設の小屋が建って、不気味な看板が
上がっている。
見世物小屋って言うんだろうか?
あれが果てしなく恐くて、親父にしがみついて歩いた。

親父はいつもこの祭りで、“七味とうがらし”を買っていた。
露店の親父と丁々発止。粋なやり取りで会話が弾む。
スーパーで買っても同じなんだろうけど、
それをここで買うってのが粋なんだよ。

そんな親父を見上げながら、
江戸っ子らしいなぁ~なんて、漠然と思っていた。

江戸っ子じゃないけど。