昨日までの雪が止んで青空に葉山の雪嶺が輝いていた。夕べ見たプライムビデオの「パーフェクトデイ」のシーンが目に浮かぶ。渋谷地区の公衆トイレ掃除夫を生業とする主人公の目覚めは日の出前。太陽が出る前の空を見上げながら家を出る。作業用具を積んだ軽ワゴンにはカセットデッキが備えられている。お気に入りの洋楽を聞きながら作業場に向かう。主人公の一日はルーティンと言っていいほど同じ行動を繰り返す。歯磨き、口髭の切りそろえ、鉢で育てている幼木への水やり。そして空を見上げ、樹々の葉が朝日に輝く姿に見入る。トイレ掃除は実にきめ細かい。ゴミを拾い、便器を洗剤をつけた雑巾でしっかりときれいにする。帰宅前に立ち寄る飲み屋での一杯の酎ハイ。布団に入って読む文庫本。幸田文の『木』もその中に入っている。本を手にして眠気がくれば、開いたページをそのまま伏せて眠りに落ちる。夢を見ているような映像が流れて、朝が来る。路地には毎朝、道路を掃くおばあさんがいる。
この映画は2023年に日本とドイツの合作で作られたドラマ映画。監督ヴェンダース。主演役所広司。カンヌ映画祭で役所は男優賞を受賞した。映画のなかに不思議な秘密がある。トイレの備品の間にノートの一枚が切り取られ、二つ折りにして中に縦横の線を交差させて表のようなものが作ってある。真ん中に〇が書きこまれてある。主人公はそれを取り出してじっと見入る。やがて斜め上に×を書き込んで紙をあった場所に戻す。誰が置いたか分からない紙、二人は記号を書き込んでいく日が過ぎる。ページ表に記号が埋まった日、笑顔マークとsankyuという文字が書き込まれた。主人公はだいじそうにその紙をポケットにしまう。名乗らない人との記号のみでの交流。都市の人々の交流にはこんな形もあるのか。
正月が過ぎて夜の酒を止めた。睡眠の質が向上していることをスマートウォッチが知らせてくれる。睡眠スコアが70点台から80点台に。寝入ってから朝まで目覚めることがなくなった。雪が降っても外に出る気持ち高くなってきた。室内入れたハーブの鉢も元気そのものだ。オレガノの株の下の方に、無数の新芽が伸び始めたいる。セージの枝の芽も伸びだしている。植物の香りと成長に日々の元気をもらう。