今月になってきれいな夕焼けを見たのは2度目である。童謡に「夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘がなる」というのがあるが、昔の感傷はもうない。ただ、赤く染まった空に、じっと視線をこらすだけである。俳句の歳時記を開いてみる。
子の帰省明日となりをり大夕焼け 細谷 鳩舎
そういえば、わが家でも、娘がとっくにお盆が過ぎたというのに帰省する。春に義母の葬式で会ったが、娘には自分の生活があって、頻繁に帰省もかなわない。所要が済めば、一泊でトンボ帰りとなる。
夕焼けて遠山雲の意にそへり 飯田 龍太
夕焼けは夏に限ったことではないが、歳時記では盛夏に分類されている。燃えるような太陽が沈んで、青空に浮かぶ雲が赤く染まるのがやはり似合っている。つい先週まで、暑い、暑い、熱中症に気をつけてと言ったのが、もうずいぶん以前のことのような気がする。朝夕はめっきり涼しくなり、タオルケットでは心もとない夜になった。